表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
COLONY  作者: 歌語
1/5

第一話【帰還者の息子】

初めまして。


この作品は、SF・ホラー・バトルを融合させた物語です。


人類初の有人火星探査。


それは、人類の未来を切り開く偉大な一歩になるはずでした。


しかし、人類が火星から持ち帰ったものは、希望ではありませんでした。


未知の寄生生命体「MARS」。


人間を侵食し、姿を変え、地球を新たな生息地へ変えようとする存在。


そして、それに対抗するもう一つの生命「GAIA」。


これは、人類と異星生命の生存をかけた戦いの物語です。


もし楽しんでいただけましたら、ブックマークや感想をいただけると励みになります。


それでは、物語をお楽しみください。

西暦2053年6月14日


日本・東京都 第七隔離区画


雨が降っていた。


灰色の空の下、崩壊した街にはサイレンの音だけが響いている。


かつて人が暮らしていた場所。


今は、MARS感染体が徘徊する死の区域。


俺は瓦礫の上に立ち、目の前の怪物を睨んでいた。


それは人間の姿を残していた。


だが、人間ではない。


皮膚の下を黒い粒子が流れ、腕は異形の刃へ変化している。


MARS感染体。


火星から持ち込まれた未知の寄生生命。


人間の身体を利用し、別の生命へ作り変える存在。


「……まだ人間だった頃の記憶は残っているか?」


俺の問いに、怪物は答えない。


ただ、獣のような声を漏らして突進してくる。


俺は右腕を前へ出した。


白銀の粒子が腕を覆う。


装甲。


刃。


盾。


俺の意思に反応して形を変える、もう一つの生命。


GAIA。


MARSと同じ、ナノサイズの生命体。


だが、奴らとは違う。


奪うためではなく、共に生きるために存在する生命。


「悪いな」


俺は構える。


「この星は、お前たちの巣にはさせない」


怪物の爪と、俺の刃がぶつかる。


衝撃で周囲の瓦礫が吹き飛ぶ。


MARSは強い。


宿主の筋肉、骨格、細胞をすべて武器へ変える。


普通の人間なら、一瞬で殺される。


だが。


俺の中にいるGAIAは、奴らの動きを理解していた。


同じナノ生命。


同じ異星由来の力。


だから戦える。


「終わりだ」


一瞬の隙。


俺は胸部へ刃を突き立てた。


黒い粒子が空中へ舞う。


怪物の身体が崩れていく。


やがて、静寂が戻った。


戦いは終わった。


しかし、俺は知っている。


これは終わりではない。


始まりだった。


すべての原因は、六年前。


父が火星から持ち帰ったものから始まった。


---


西暦2047年3月8日


地球軌道上・有人火星探査船《ARES》


「こちらアレス。火星航行へ移行する」


人類初の有人火星探査計画。


ARES計画。


船長を務めるのは、レオン・ハワード。


アメリカ出身の宇宙飛行士。


そして俺の父親だった。


当時、俺は17歳。


世界中が父を英雄と呼んでいた。


父は笑って言った。


「必ず帰ってくる」


その言葉を、俺は信じていた。


---


火星到着まで七か月。


火星での調査期間三か月。


帰還まで七か月。


人類史上初の火星探査は、順調に進んでいるように見えた。


しかし。


西暦2047年10月21日


火星地下洞窟


「地下に空洞を確認」


科学担当のミア・クロフォードが報告する。


「自然洞窟か?」


レオンが尋ねる。


「……分かりません」


隊員たちは地下へ向かった。


そこには、火星表面とは違う世界が広がっていた。


静寂。


暗闇。


そして、壁一面に広がる黒い物質。


「岩石ではありません」


分析結果を見た隊員が呟く。


「では、何だ?」


返答はなかった。


画面に表示された反応。


それは、存在するはずのないものだった。


生命反応。


---


隊員たちはサンプルを回収した。


黒い土。


岩石。


未知の粒子。


それが、人類最大の発見になると思っていた。


しかし。


彼らは知らなかった。


それは発見ではない。


侵入だった。


---


西暦2048年5月3日


地球・帰還施設


有人火星探査船《ARES》帰還。


世界中が英雄たちを迎えた。


六人の宇宙飛行士。


その中には父もいた。


だが。


帰還したのは六人だけではなかった。


宇宙船内に持ち込まれたMARSは、七か月の帰還期間で成長していた。


酸素。


水。


温度。


地球の環境。


すべてが、奴らにとって理想だった。


---


西暦2048年5月6日


最初の感染記録


最初の変異者。


レオン・ハワード。


俺の父だった。


医療記録には、そう残されている。


しかし、その日の詳細は国家機密となった。


父が最後に残した言葉。


それだけが、俺の記憶に残っている。


「レン……もし私が私でなくなったら」


「お前が止めてくれ」


---


そして現在。


西暦2053年。


俺は戦っている。


父が持ち帰った災厄と。


俺の中に存在する、もう一つの生命と共に。


人類を守るために。


この星を、奴らの植民地にさせないために。


─COLONY─

第一話を読んでいただき、ありがとうございます。


今回は、物語の始まりとなる火星探査とMARS感染の発端、そして主人公が戦う現在の状況を描きました。


『COLONY』というタイトルには、


・MARSが地球を新たなコロニーにすること

・人間の身体が寄生生命の活動場所になること

・異なる生命が生存領域を争うこと


という複数の意味を込めています。


次回以降は、主人公とGAIAの関係、そして火星から帰還した探査隊に何が起きたのかをさらに掘り下げていきます。


感想や評価などいただけると、今後の執筆の励みになります。


次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ