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89話 小悪魔的

「タミーさん、タミー姉さん」

「!?」


マーヤがタミーをお姉さん呼びしたことに驚いて口をパクパク動かしている。

驚きと共に少し照れが見え隠れしているのが分かる。


「私、姉さんの心配になることはしませんしジンは姉さんの思っている人じゃないです」

「姉さん……くぅ……でも……」


マーヤの姉さん攻撃……安価な名前だけど、タミー相手にはよく効いているようだ。

自分の意思を伝えつつ、タミーにも美味しい思いをさせる……


「もし、ジンとのデートを許してくれたら……」

「くれたら?」

「次は姉さんとデートしたいなぁ……って」

「ぐぅ!」


タミーの心に何か突き刺さる音がした気がする。

上目遣い、甘えた声、そして、壁を感じさせないタメ語。

タメ語の耐性がある俺でも墜落する自信がある。


「それは本当?ジンとデートしたいから仕方なく……とか」

「仕方なくなんてないです。今日話してみて姉さんの事知らないんだなぁって……もっと姉さんの事を知りたいって思いました」

「ひゃう!!」


無垢な瞳、そして笑顔。

完全にタミーもやられてしまった様子だ


「……わかったわ、お姉さん、許可するわ……」

「ちょろくない?タミー」

「ちょろくもなるわ……アンタなんか1つ前で即落ちよ……」

「……否定は出来ない」


あれは危険だ、可愛い、あざと可愛い。

だがそれがいい。おかげでデートの許可を貰えた。

……自分で振っといてなんだけどデート、でいいのだろうか?


「アンタ、マーヤに手を出したら消し炭にするから覚悟しなさい……」

「…………善処します」

「間があったのが気になるけど、聞いたから。私も疲れたからこれで終わりでいいわ……せいぜい気をつけて帰ることね」


タミーが、俺の心配をする……だと……!?


「何?その腑抜けた顔?アンタを心配してるんじゃなくて、マーヤが明日デートする前に何かあったらマーヤが悲しむでしょ?アンタの約束が果たされないと私のデートの話も果たされないから言っただけ、勘違いしないで」

「わかってるよ、それ含めてでも嬉しいよ」

「帰れ!」


何時もの調子のタミーが戻ってきた。


「そうだね、長居して悪いね。メッセージパッドでどこで落ち合うか決めようか」

「わかったよジン、明日、楽しみにしてるね」

「アンタがイチャイチャするのは明日!早く帰りなさい!」


そう言われ、さっさと部屋を追い出されてしまった。

帰ると言っといて結構長居してしまったが、あの嫌悪感の視線が突き刺さった時に帰ってたら少し心を痛めた状態で帰らなくて良かった。

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