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72話 買い出し

唐揚げに必要な食材を探しに市場に来た。

夕食時なのが当たっていたのか人が多く往来している。


「凄い人だー」

「マーヤはここの市場は初めて?」

「そうだね、ジンがいなくなってそんなに市場も行かなくなったからこの光景は久しぶりだよ」


前の街では食材の買い出しとかマーヤに余裕があるときに着いてきてくれてた。

マーヤが言った通り、二人での買い出しも久々で少し懐かしい。


「そしたら久々に食べ歩きでもする?色々屋台も出てるし」

「ううん、いいよ。ジンの料理食べられなくなるし、屋台巡りは明日にしよう。期待してるからね」

「期待するほどの物じゃないよ?」

「何時も期待以上の物が出てるから期待して言っているんだよジンシェフ」


人の事をおちょくる、年齢相応のこの姿が本来のマーヤなんだろう。

こういう姿を見てると自分がまだクリアアトランティスに所属してる錯覚に陥りそうになる。


「そう言われてしまったら今回も期待に沿えるように頑張らないと。なんならマーヤの胃袋を掴むくらいの勢いで」

「……もう……んだけどなー」


市場と人混みの雑音、少し声のトーンが小さくなったマーヤの言葉が聞き取れなかった。


「ごめん、よく聞こえなかった。もう一回言って?」

「あ……!何でもないよ!ただの一人言だから。早く食材買っちゃおうよ、お腹空いてきちゃった」


マーヤが先導し、その後ろを着いていく。

急に早足になり追いかける形になる。


「ちょ……!どうしたの!いきなり速くなって……!!」


少し離れた所でその二人の姿を見ていた人影があったが、ジンとマーヤはそれ目線に気づかないでいた。







リクエストの唐揚げの食料に移動時に食べる携帯食料など買い込んだ袋を両手に持って、パーティで使ってる宿屋まで着く。


「そういえば、マーヤ達が泊まってる宿屋は変わってない?この近くだったよね」

「うん、もしかして遠かったら送ってくれてたり?」

「当たり前だよ。暗い中一人にするわけにはいかないし」


それでもし、クリアアトランティスの誰かに遭遇しても構わない。

今回はすぐ近くだから大丈夫だとは思うけど……


「えへへ、ジンの優しい所は変わってないね」

「優しい……かどうかはわからないけど俺を庇ってくれたマーヤ程ではないよ」


二人で会話をしながら宿屋のドアを取り、入っていく。

受付の人に部屋番号を伝え、利用者の確認を取る。

その際、調理場を借りる申請をし、二人で調理場に向かってる最中、食堂で聞き覚えのある声が複数。

それも大分盛り上がっている様子だった。

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