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53話 ライブクッキング

「有り難うシル」

「大したことはしてないッスよ!これから焼くんスか?」

「そうだね。いいタイミングだよ。これから焼くんだけど、よかったら一緒に肉持ってきてくれると嬉しい」

「いいッスよ!ヤッホイ!肉パーティの始まりッス!」

「お!じゃあ俺も手伝うか、焼くぜー超焼くぜー!!」


シルとケイが仕込んだ肉を持ってくれる。

肉にテンションが高くなっている様子を見ると俺も何だか気分が高揚する。

やっぱり肉を目の前すると誰もがテンション上がるものね。


「やけに騒いでると思ったら調理中だったのか」

「リュウさんお疲れ様ッス!」

「皆もお疲れ。テントの設営……は終わってるのか。今回は早いな」

「皆あれだろ。ジンが何作るか気になって急いで仕事を終わらせたんだと思うぜ?俺もその一人だけどさ」

「そんな、急いで仕事を終わらせてまで見るものでもないと思うんだけど……」


俺の発言にシルが「何言ってるッスか!?」と反応。

そしてそのまま言葉を続けていく。


「ジンさんにとっては当たり前だったことでも俺達からしたら楽しみの一つになってるんスよ料理は一種のエンターテイメントッス!」

「確かにライブクッキングって言葉があるからな。料理が出てくるまでの過程で料理の音、匂い、視覚。いいパフォーマンスはそのまま食欲を刺激し、期待感を生む。ジンの料理はそれほどのパフォーマンス性があるってことさ」

「いや、そんなこと……。いえ、有り難うございます……!よし!これから焼いていきますよ!」


充分に熱された鉄板に一枚一枚、下準備した肉を並べる。

肉の焼ける心地いい音、香ばしく焼けていく匂いは、空腹にしている男達の胃袋を刺激し、気分を高揚させていく。


「かああああああああ!!今すぐ食いてえ!!」

「これアカンやつッス……」

「わかる。自分で作ってて毎回つまみ食いしたくて仕方ないと思う瞬間だし」

「なぁ、少し味見しねえのか?するなら俺が見てもいいぜ!」

「ああ!ズルいッス!俺も立候補するッス!」

「そうだね。塩加減、焼き加減見たいから一枚切ってみようか」


その言葉に二人歓喜する。

見た感じ、良さそうなやつを一枚取り、ナイフで切り分ける。

赤い汁が出てたらまだ焼く必要があったけど大丈夫そうだ。


「火は通ってそうだね。じゃあ味を見てくれないかな?」

「おう!」

「任せるッス!」


ケイとシルが一切れずつ取り、口に含む。

口のなかでゆっくりと噛み、飲み込む。


「ジン……これうっめえな!!」

「完璧な味付けッス!ああもう食べたいッスよ!」

「塩が効きすぎてるとかはない?」

「ないッス!寧ろ動いてたんで効いてる方が有難いッス!」


食べるのが好きな二人から太鼓判を貰えたようだった。

よかった。やっぱり味見役いると少しは自信持って出せる。

味見役……か。


「どうしたジン?」

「え?何がですか?」

「いや、少し笑ったように見えてな。何か思い出して笑ったのかと思ってね」

「そうですね……。前の味見役の事を思い出してつい。やっぱり俺にとって、味見役は重要だなって」

「マジか!それなら俺が見てやる!」

「ああズルいッス!ケイさん!俺も見たいッス!てかケイさん他の料理番の時の味見は『絶対ぇ嫌だ』っていってたくせに!」

「うるせー!お前だって同じ事言ってたじゃねぇか!」


その後、焼き上げたダッシュボアのステーキは好評だった。

ただ一つ誤算だったのが、一人5枚じゃ足りなかった。

特にケイとシルが凄まじく、二人の適量を確認する必要があることを知った。


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