36話 シルの存在
「恥ずかしいか……俺としてはこれ以上悪くなってなくてよかったよ」
「でも……俺のせいでパーティ全員に同じ様になってたかもしれないッス」
さらに深く落ち込んでいる。
ズーンといったオノマトペ音が出てきそうな勢いな程。
「そうだね。確かにその危険性はリュウさんがいった通りだと思う。でも、悪意で皆を陥れるわけじゃなくて、皆で鍋を食べたくて取ってきてくれたんでしょ?その気持ちは皆分かってくれてると思うよ?」
「……」
シルは少し困った顔をしていた。
何か俺、悪いこと言ったかな……
「……なんで罵倒しないんッスか?いっそのこと悪く言ってくれた方が気が楽ッス……」
「なんでって、さっきリュウさんが注意したことで十分でしょ?それにちゃんと反省してるじゃんか。それに、今回の事で取り扱う食材についてシルも学べたも思うし、俺自身、改めて気を引き締めることにもなったよ」
「ジンさん……」
「これを気に、俺、野草について学んでみようと思う。そんなに野草については詳しくないからさ、良ければ一緒に学んでいこうよ」
シルの目がうるうるし始める。
「ジンさーん……!!俺も勉強するッス……!!もう間違わないッス……!!」
「じゃあ一緒にやっていこう。と、少しでも食べられる?殆どスープみたいなものだけど……」
持ってきた個別に用意した物をシルに持っていく。
「これは……なんか仕込んでた鍋の出汁より色が薄めッスね」
「鍋で一回つかった骨でもう一回煮出したんだ。一度目は濃厚でコクがある出汁が出るんだけど、2回目はあっさりした出汁が出るから、体に優しいかなって」
「ありがたいッス……早速頂くッス」
シルは出されたスープを一口啜る。
さっきまで戻してたからゆっくり味わってる。
その後二口、三口とゆっくり含む。
「……優しい味ッスね。それに温かい……なんか今凄く身に染みる感じッス……」
「よかった。本当は米あれば雑炊とか出来たんだけどね。次の街着いたら何か美味しいもの食べられる様に元気になろう」
「そッスね……ジンさん、有り難うッス……少し元気になった気がするッス」
その後シルが食べ進めると、テントにケイ達が入ってきて
「ようシル、体調はどうだ?」
「思ったよりいささか回復してそうだ。君の回復力は素晴らしい」
「回復祈願」
メンバーがシルに声をかけている。
この光景を見て、シルは皆に好かれてるのが分かる。少し羨ましいなぁ。
「皆さんごめんなさいッス……俺」
「なにしょんぼりしてるんだよ!らしくねえじゃねえか!さっさと早く治せよ!」
「シルに元気ないと我らも寂しいではないか」
「元気沸き出せ」
「皆……有り難うッス……!!ううっ……」
シルが泣き出し始め、ケイ達が励ましたり、弄り始める。
皆がここまで元気づけるなら俺はもういいかな。
俺は静かにテントを出る。
辺りが暗くなり、テントの近くで焚いている焚き火の炎が煌めいて見えている。
リュウさんの姿はなく、おそらくもう一つ建てているテントの中にいるのだろうか。
そうやって辺りを見渡していると俺の衣類の一部が点滅しているのに気づいた。




