街道での野宿
「この辺りで、野宿をしましょうか」
街道を歩いているうちに、日が暮れてきた。
橙色だった空は藍色に染まっていく。
星も見えていて、綺麗だって思ってしまう。
だが、このまま歩いても、危険性が高まっていくだけだろう。
ろくでもない人物も来そうだからな。
俺達は追放されてから初めて、野宿をすることになった。
「そうね。ちょうど良い場所は……」
探していくと、ちょうど良さそうな木があった。
その下でたき火をすることに。
「火はお任せください」
ルーチェが魔法で薪に火をつけた。
家事魔法として使っているのだろうか。
とりあえず、木の下で夜を明かすことにした。
焚き火の炎は、暗闇を照らしているのに、遠くまでは届かなかった。
「お嬢様、こちらを」
彼女は袋から保存食である干し肉を取り出した。
どこで手に入れたのだろうか。
「ありがとう。これって?」
「マルム村で買ったものです。日数は経っていませんので、問題はないかと」
いつの間に買ったのだろうか。
結構一緒に居たが。
でも、ありがたい。
俺はゆっくりと食べていく。
「美味しいわね」
こんな場面だったら、とても美味しく感じる。
空腹だったのもあるだろうが。
「街道で、空腹のままだったら危ないですから」
そっか。
あの人物も空腹だったのだろうか。
時間が経ったが、まだ生きているのだろうか。
(助けなかったのは正解だったよな?)
俺の命が無かったかもしれないし。
でも、”正しかった”とは言い切れないが。
別方向から助けられる可能性があったかもしれないから。
だが、UIは何も答えなかった。
『聖女様を信じるの?』
『ええ』
どうしてだろうな。
昨日のあのやりとりをまた思い出した。
聖女は困っている人を助けて導く存在。
エミリアは違うかもしれないが。
あの人物だって、助けられたのだろうか。
分からない。
後悔でもない、迷いでもない。
今の俺にあったのは、”引っかかり”だけ。
「お嬢様、もしかして先程の事で悩んでらっしゃるのでしょうか?」
するとルーチェが俺の様子を見て、話しかけてきた。
「ええ」
「確かにお嬢様は、王都で暮らしていたので分からないかもしれません。ですが、街道で声をかけることは、襲われる前提で考えるべきです」
「襲われる前提……」
人を見たら泥棒と思え。
そのことわざ通りだな。
「同じ場所に引きずり込まれることになります」
その言葉は、誰かから聞いたものではなく、経験から出てきた声音だった。
ミイラ取りがミイラ、なのか。
考えるにそうかもしれない。
「お嬢様が助けなかったのは、冷酷だからではありません。”生き残る側”を選んだからです」
助けて命を失えば、最悪の結果になる。
だからルーチェは生き残ろうとしていると解釈したのか。
彼女は知っているんだな。
そう考えながら、夜が更けていく。
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◆同行状態更新
・判断速度:微上昇
・情動抑制:不安定
・人間観:再定義中
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