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ベーコンレタスな旦那様  作者:
公爵家編
1/8

1

初投稿ですので何分至らない点があるかと思いますが、楽しんでいただければ幸いです


※ごっそりリメイクさせていだきました……



眩しい。

アルサンドラは目を細めた。

セラドゥール王国西領王宮の謁見の間には王族がずらりと整列していた。


「遠路はるばるおいでいただき……」


壇上からの挨拶は滔々と長い。


この人が西朝の王なのかなー。


目をぱちぱちとさせながら、アルサンドラは心の中で呟く。

何故って、彼が誰よりも輝いているからである。

物理的に。

西朝の王族は銀髪が多く生まれると言われており、目の前に並んでいる王族たちのほとんどが伝聞の通り美しい銀糸を揺らしている。


正面の挨拶を続けている男は揺らすほど髪がないようだが。


謁見の間には天井から大きなシャンデリアが吊られているのだが、そこからの光が見事に男の頭に反射している。

故郷の東領でも禿げ……頭の寂しい人を見つけて笑い、従姉によく見咎められていたが、これほどの輝きはお目にかかったことがない。

物足りなくなった銀の髪とつるりとした頭皮があいまって、絶妙な鏡と化している。


「長い……それに、眩しい」


後ろから義弟の呟きが耳に入り、思わずアルサンドラは口元を押さえる。


「……どうかなさいましたか?」


件の男が挨拶の途中で声をかけてくる。


「いえ……少し咳が出ただけですのでお気になさらず」


咳払いをして、にっこりと微笑む。

男が気遣うように首を傾げると背後から「反射が……」とまたもや呟きが聞こえてくる。

頼むから、黙っててくれ。

コルセットの下の腹筋に力を入れる。


「大丈夫ですか?」


……大丈夫だから、それ以上頭を動かさないでください。

とは言えずに、大丈夫です、と返す。

こちらを気遣ったのか、男が挨拶を切り上げ、脇に下がる。

男の動きに従って変化する艶めきにそろそろ腹筋が限界だ。


「アルサンドラ殿、カリシュード殿も無理はせぬようにな」


先ほどの男と交代で壇上に上がった男が言う。同じ銀髪だが、量が格段に違うことにアルサンドラは安堵する。


「お気遣いありがとうございます」


男がうむ、と頷く。


「私がセラドゥール王国西朝が王、ディエスタ・エク・ドゥールだ」


こっちが王様だったか。

予想が外れ、先ほどの男に目をやると相変わらず王よりも輝いている。

ディエスタ王も当たり障りのない挨拶を続けるので、飽きてしまったアルサンドラは横に控える王族たちに目を移した。


すぐ右側にいるのは金髪の女性で恐らく第一王妃だろう。その横にその息子らしき青年たちが立っている。そのまた右に第二王妃親子、第三王妃親子が並んでおり、列の端まで目線を動かして、おやと首を傾げた。

セラドゥール王国は西も東も貴族と平民は一夫一妻制、王だけが三人まで王妃を持つことを許されている。

ということは、列の端にいる女性たちは愛妾とその子供ということか、と納得する。

愛妾らしき女性の横には肩までの真っ直ぐな銀髪の少年とまだ幼い少女が並んでいた。

一方、壇の左には先ほどの眩しい男が立っており、僅かな髪色から判断するに王の兄か弟だろう。その左にも何人か銀髪が見られたので、左には王族の傍系が並んでいるのだと思われる。

やはり、王族は覇気が違う、とその存在感に圧倒される。

眩しい男は物理的覇気だが、王家の血を引いた者や王族を惹きつける者は常人とは異なるのだと改めて実感した。


そんな中に一人だけ存在感の薄い青年がいた。他の王子王女が軒並み銀の長髪なのに対し、彼だけ鋼色の短髪をしている。

一人だけ違う色が混ざっていれば目立つはずなのに、他の王族の覇気に負けてすっかり影が薄くなっている。

平たく言えば地味なのだ。

自分が地味だと自覚しているせいか、同じ地味王子に目がいく。

一人だけ髪色が違うなんて、苦労しただろうな、と同情しながら王を再び見ると、ちょうど挨拶が終わったようだ。


「アルサンドラ殿、フィルイール公爵は後ほど紹介させていただくとして、とりあえず、夫となるトゥーファイズを紹介しよう」


アルサンドラは一度西領の公爵家の養子として、花嫁修業をしてから、王子に嫁ぐことになっている。


「トゥーファイズ、こちらへ来なさい」


王が右を向いて王子を呼ぶ。

こつり、と足音が謁見の間に響き、アルサンドラはそちらを見た。


「トゥーファイズと申します。以後、宜しく申し上げる」


王の横に立ったのは先ほど見ていたの鋼色の王子だった。


なるほど、と内心呟いて会釈し、うつむいて相手から見えなくなった顔でにやりと笑う。


彼がベーコンレタスか。

と。



投稿は不定期になると思いますが、宜しくお願いします

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