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勝利への罠

 ミーミルは、グレネードの炸裂で吹き飛ばされた仲間たちを目の当たりにして、驚きと興奮が入り混じった表情を浮かべた。

配信の視聴者たちも、チャット欄に「何が起きた!?」「グレネード一発で4人消し飛んだぞ!」と驚きのコメントを連投していた。


「すごい…あのグレランの使い方、まさに芸術的ね!フレイヤちゃんか…」

ミーミルは感心した声でつぶやき、画面の向こう側の視聴者に向けて明るい声を届けた。

「みんな、この相手…ちょっと強敵かもしれない!でも、まだ終わらないよ~。私が華麗にリベンジしてみせるから!」


 ミーミルの視聴者たちはその声に煽られ、チャット欄は「がんばれミーミル!」「ガルムの本気を見せて!」と応援の嵐となった。


 一方、優里は爆発の手応えを感じつつも、緊張を緩めることなく次の手を考えていた。

 敵の数は一時的に減らしたが、ミーミルがまだ生き残っている以上、安心はできない。

 彼女の配信を見たことがある優里は、ミーミルの冷静で計算された動きの恐ろしさをよく知っている。


 その傍ら、吹き飛ばされた敵を目の当たりにした味方のデモリッシャーが興奮した様子で声を上げた。

「すごい!一撃で4人もやっつけたなんて…!」

 しかし、優里は冷静に答えた。

「まだ終わってないわ…。それより、あなた、デモリッシャー? 爆破武器は持ってる?」


 その問いかけにデモリッシャーは少し驚きつつも、「あ、はい。C4爆弾があと一つだけ残ってます」と答えた。

「わかった。じゃあ、そのC4をあそこに仕掛けて」

 優里が指示した場所をモニター越しに示すと、デモリッシャーは目を丸くする。


「ええっ?そんなのありですか?」と戸惑うが優里は迷いのない声で答える。

「大丈夫、あそこが一番の死角だから。ミーミルも気づかないわ」


 デモリッシャーは半信半疑のまま指示通りにC4を指定の場所に仕掛けた。

 優里は「さて、上手く事が運べばいいけど」と画面を見つめながらつぶやいた。


 その時、ミーミルが画面の端から姿を現した。

 ツインテールを揺らしながら、MP5を軽快に構えた彼女は、まるで踊るようにジグザグに動きながら近づいてくる。

 その動きは無駄がなく、正確に優里の死角を狙っているのがわかった。


「さすが、ただのストリーマーじゃないわね…」

 優里は息を呑みつつ、フレイヤを操作して後退しながら応戦する。

 しかし、ミーミルの動きは速く、隠れたと思った次の瞬間には射線を確保されてしまう。


挿絵(By みてみん)


「さあ、フレイヤちゃん!覚悟して!」

 ミーミルがそう叫ぶと、MP5の銃弾が優里のキャラクターに襲いかかった。


「くっ…!」

 優里はギリギリで物陰に滑り込んだが、被弾したせいで体力ゲージが大きく削られてしまう。


「まだまだ追い詰めるよ!」

 ミーミルが嬉々として距離を詰めてくる。その様子に、舞香は背後から優里に声をかけた。


「優里ちゃん、あの子は狙撃手が本業だけど、こういう接近戦も慣れてるわ。でも、あなたなら逆転の余地はあるはずよ。焦らず行きなさい」


 舞香の励ましを受け、優里は深呼吸をして冷静さを取り戻した。

 そして、再び視線をモニターに向ける。

「そうだ、確かに相手の動きは速いけど…アイツほどの速さじゃない!」


 フレイヤを操作して後退しながら、優里は射撃をするが、それも簡単に避けられてしまう。

 ミーミルも視聴者へのパフォーマンスを意識しつつ、笑顔で言葉を紡いだ。

「さあ、もう逃げられないよ、フレイヤちゃん!ここで私が――」


「今よ!」

 優里は味方のデモリッシャーに合図を送り、デモリッシャーがスイッチを押す。

 ちょうどその下には、先ほどまで倒れていた敵の亡骸があった。

 その瞬間、地面がえぐられるように真下から大きな爆発が起こり、ミーミルのキャラクターが吹き飛んだ。


「きゃっ!」


 ミーミルの声が配信中に響き渡り、視聴者たちが驚きのコメントを送り始める。

「なんだ今の!」「ミーミルがやられた!」「でも可愛い!」


 舞香が後ろで優里を見て、満足そうに微笑む。

「いいわね、優里ちゃん。まさか敵の死体を利用して真下にC4を仕掛けるとはね」

 優里は静かにモニターを見つめながら、口元にほのかな笑みを浮かべた。

「これで5人目…。次は、占領エリアを奪い返す番ね」


 ミーミルはリスポーン画面に切り替わった画面を見つめながら、驚いた表情を浮かべていた。

「すごいわ…あの人、誰なの…?」

 ミーミルは配信視聴者たちに向けて、悔しそうな笑顔を見せた。

 するとチャット欄には「戦火の皇女だ!」というコメントが流れる。

「戦火の皇女…? あれが噂の…そう」

 ミーミルはその相手の正体がわかると何かを決心したかのようにリスポーンしたキャラで再度、銃を構えた。

 一方で、優里は次々と繰り出される敵の動きに備え、さらなる戦術を思案し始めた。


「あ、あの次どうしましょうか?」

 デモリッシャーの味方が聞いてくる。正直、優里は悩んでいた。

 先ほどは敵が余裕を見せていたので、強襲できたが、今度は違う。

 敵はガルムの戦略リーダーのミーミルであり、次は敵全員が既にリスポーンした状態だ。

 全力で戦略を考えたうえでこちらに攻めてくることは確実である。

 ただ優里は彼女の動画や配信を見ていて、いつも気になっていた点があった。

 それをやるにはこのデモリッシャーの味方にあるお願いをする必要がある。


「あんた…逃げ足に自信ある?」

「えっ?」


 彼女の逆襲は、まだ終わりではない――。



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