強欲と強欲 42
これでわかりやすく、不平不満たらたらとか暴れるとかしてくれたらいいんだけど、そういうことも全くしないで、どっちかっていうと協力的なのが不気味だった。
親切心とか恩があるからじゃない、そっちのほうが自分に有益だからっていうのがわかるんだ。いや、どうしてそんなのわかるのって言われればそうなんだけどさ、でも、やっぱりそう思えるんだよ。
元の世界のニュースで、8人も殺したおじさんの特集してたのを思い出すよ。確か写真で見てるとなんてことないんだけど、実際にあった人がどこか怖かったって言ってた。
お母さんは全部分かった後でいってるだけ、わかるわけないって呟いてたけど、ごめん、あの人は嘘ついてないと思う。怖い人っていうの結構わかるよ。
「どうするの?」
「希望の場所がある人はそこに、ない人は……モニモスじゃない大きめの街に」
だって、そうするしかないもん。ああ、恨みがましい目でおれを見る人が……けどずっとは面倒見切れないし、一緒に行くなんて無理だよ。
おれってこんな嫌な性格だったのかな……やっぱり、助けてあげたのにってどうしても思っちゃう。
これに、前に参加したっていう英雄とか他のプレイヤーはどうやって向き合ってたんだろう。
はあ……とにかく今は眠って朝を待つことにした。街からの追手は、心配ないはず。寒いなあ、布団で寝たいなあ。お父さんとお母さんに会いたいなあ……。
「やっぱり国をもってからがスタートよねえ」
「国はともかく家は欲しいわね」
そして、プリアもリロもくっつかないでって。寒いのはわかるけど……寝づらいでしょ。解放された人たちも、バラバラに寝てるでしょ。
結局、眠ったは眠ったけど、全然疲れは取れないままで朝を迎えちゃった。
「あれ?」
おまけに、また洒落にならない事態になってるよ……。罪人たちがごっそり消えてるんだ。
やった、不安が消えた……なんて言えるはずもないよ。このまま罪を犯して死にかけたことを反省し、罪を償いまっとうに生きるとはどうしても思えない……。
「どこにいった⁉」
解放された人たちも、プリアもわからなかった。疲れてたろうし仕方ないんだろうけど……放っておけない。
「リロ⁉」
「ケレッサの村にいるよお」
うわあ、すっごくいい笑顔……絶対良くないことが起こってるし待ってるよね。
「見てこないと」
「ま、待って私も」
おれたちはすぐに出発……とはいかなかった。待っててと言っても解放された人たちは不安がって一緒に行くって聞かない。追手がないって言われても、まあ怖いよね。兵士とかはそれならもう自分で国に帰るって準備を始めた、これはまあ助かった。戦えるだろうしね。
結局、アーミーチクバさんを置いていく羽目になった。これで所持金は殆どゼロ。
「くそお、あの傷野郎があ」
言動が不安だけど、チクバさんは頼んだことをさぼったりはしないから安心できると思う。てか、他にどうしようもないしね。
おれとプリア、リロ、兵士とかの人たちは森を出るまで一緒に行動して、そこで別れてそれぞれの目的地に向かった。
その時兵士たちは感謝してくれた。そうだよ、これでいいんだよリロ。これでどっちも良かったじゃない。ゲームはそういうのでいいの。




