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来年の今日、またこの場所で。  作者: 若隼 士紀
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エピローグ 手紙


 パパ・ママ・拓海へ


 お元気ですか?

 あたしが2度目に消えてから、1年が経ちました。

 拓海は無事に高校生になったかな。


 あたしと遼は元気です。

 あたしはこちらの世界で大学に合格し、通い始めたよ。

 まだ教養だけどいずれ近代史を専攻する予定。

 

 あの日、桜の木の下には、皆が来ててくれてた。

 乳母の命日に墓参するという名目で、お忍びで皇帝と多華さんまでいたのにはすごく驚いた。

 いきなりキスするとか、お恥ずかしいところをお見せしてしまって恐縮しちゃったよ。

 皇帝は穏やかに笑って「末永く遼を頼むぞ、我が妹」と言った。


 誰からともなく拍手がおこって、遼は嬉しそうにあたしの肩を抱いたまま制帽を取って皆に挨拶した。

 あたしもお辞儀して、皆さんに心から感謝した。


 あたしは多華さんにハードディスクを渡した。

 多華さんは「わあ!ありがとう。瞬も楽しみにしてたから喜ぶわ!」と言ってくれた。

 皇帝は暇を見つけては読んでくれているらしい。

 すごい勉強家。

 パパ、買ってくれた資料、とても役に立ってるよ。

 戦争のない国にしてもらえると良いな。心からそう思う。


 遼…あたしの夫は、以前にも増して忙しいよ。

 最近、准将に昇格して、ますます凛々しくカッコいい。なんちゃって。

 皆にも一度会わせたいけれど…

 やっぱり無理矢理空間を歪めて広げてってやっちゃうと、環境に大きな負荷がかかるらしくて、あの桜の木は枯れてしまったの…

 あたしと遼のために申し訳ないことをしてしまった。


 佐生侑李さんや鬼堂龍河さんやドクター、陽成椎音氏と何故か元代さんもしょっちゅう遊びに来てくれる。

 遼が切れ者の元代さんを気に入り、元代さんも遼のことを結構好きみたいで最近では昔からの友達みたいになってる。

 

 そこでいつも俎上に乗る話は、あたしが皆川駅から帰った時のこと。

 あたしが言った「来年のあの日にあの場所で」という言葉の意味が解らず呆然としている遼に、皆が寄ってたかって「早葵さんはまたこの世界に帰ってくる、リョウを幸せにするために」と言ったんだって。

 

 それを聞いた遼は、手で顔を覆い、天に向かって号泣したらしい。

 ライブ配信を見ていた皇帝にまで、宮殿で会ってからかわれたそうで、ちょっと可哀相。

 でもまあ、一生懸命あたしを帰してくれた皆さんに、楽しい話題を提供できてよかったわ。ほほほ。


 あたしもいろいろ料理を作っては皆に食べさせて感想をもらったり批評を受けたりして、ちょっとずつ上達してるんじゃないかな?

 遼はあたしが作ったものなら何でも美味いとしか言わないので、参考にならないんだよね。

 

 ショウさんは、遼の熱心な減刑歎願により(あたしも署名して協力した)思ったよりも軽い罪で出所して、遼の紹介でうちの近所の飲食店で働いてる。

 一度謝りに来てくれて、あたしの手を取って泣いてくれた。

 今では、あたしが一人で彼の働くお店にご飯を食べに行くと、輝く笑顔で応対してくれていろいろサービスしてくれる。

 軍人さんより、今の方が楽しいんだって。何より。


 大学では友達もできたよ。

 今まで遼の友達か、多華さんしかいなかったから、すごく嬉しい。

 偉い軍人の妻ってことで、最初はちょっといやかなり遠巻きにされてたんだけど、だんだん話しかけてくれる人が増えて。

 

 男友達もいるけど…遼がヤキモチすごい妬くからあまり仲良くなれない。

 妻の交友関係を狭めるなんて、そういうの良くない!って喧嘩したら、少しは軟化したけど。

 遼が女性を一切シャットアウトしてるのは自分が面倒だからでしょ~


 こちらの世界はそちらに比べて、女性の地位がまだ低いみたい。

 女性の社会進出も軍人以外は少ないし、あたしから見たらご主人威張ってるな~という家庭も多い。

 あたし、女性の地位向上への関心が出てきた。

 そちらの方面に進むことも考えたいと思ってる。


 そうだ。

 ほんの数日前に判ったんだけど…

 あたし、赤ちゃんができたの。

 12月の中旬くらいが予定日。

 

 パパとママには初孫になるね。

 拓海は高校生で叔父さんだ。ははは。

 

 遼はほんっとーに、あたしがビックリするくらい喜んでくれた。

 すぐに皆にLINEしちゃって。まだなんともなってない、あたしのお腹の画像付きで。

 皇帝にまでするなぁ!

 また皆でうちに集まってどんちゃんやるんだろう。楽しみ。


 大学はギリギリまで通って休学することになっちゃうけど、必ず卒業するように頑張る。

 そして仕事を持って、子育てもする、自立した素敵な女性を目指す。

 伊哉遼玲の妻だけの人生では終わらないように。

 

 届くあてのない手紙。

 また書くね。

 パパ、ママ、拓海が幸せでありますように。

 早葵は遠い異世界からいつも祈っています。



長いことお読みになっていただき、ありがとうございました。

文章を書き慣れなくて、お見苦しい点が多々ありましたこと幾重にもお詫び申し上げます。


初めての長編小説、なんとか終わりを迎えられて良かったとほっとしています。

異世界というカテゴリの概念がよく解っておらず四苦八苦しました。

整合性の無い箇所は、少しずつ直して更新しようと思っています。


これで遼君と早葵ちゃんの話は終わりですが、他の話でお目にかかれれば幸いです。

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