アンラッキーヒーロー11
「オレ、疫病神なんすよ……」
宮部は顔を掌で覆った。
「三年くらい前だったかな。通り魔がこのへんに出没しましてね」
宮部ははっきりと覚えていた。暗闇を切り裂くような悲鳴とともに、前を歩いていたオバサンが倒れたことを。
「その半年くらい後だったかな、朝方に轢き逃げ事件があって……」
これも昨日のことのように覚えている。学校に行こうとして車道の端を歩いていた宮部の前に、老人が突っ立っていた。その老人が前触れもなく宮部に物凄い勢いで覆い被さった。
妖怪にでも襲われたかと勘違いして力の限り絶叫した彼だったが、その断末魔を耳にして近隣の住人が通報したお陰で老人は一命をとりとめたのだった。
「そして、忘れもしない一年半前…ゲームのリサイクル屋が火事になったんすよ。わかりますか?目の前のコレっすよ!」
日凪は後ろを振り向いた。黒焦げになった壁や資材が、炭と化した扉の隙間から覗いていた。この店が災害によって閉鎖されたことに、今さらながら気付かされた。
「あの事故のせいで…ノリオは体中に火傷を負って……」
宮部と共に店にいた親友は、その人生を大きく狂わされてしまった。有名国立大の入学が期待された優等生が、全治年単位の大火傷のせいで進学を諦めざるを得なくなった。
そして
この親友を被害に遭わせた火事こそが、宮部に社会生活を断念させた決定的事件だった。




