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アンラッキーヒーロー10
「なるほど、あるあるそういうの。オレも一時期は同じことを考えたな。オレってどう考えても悪の帝国マクーにしかなれないんじゃないかって、大真面目に考えたことあるな。うん」
日凪は尤もらしく頷いた。
(ああ、この辺が潮時だな)
宮部の持つ悩み事は、そう簡単に共感できるものではないのだ。そうありふれた悩みで死に至る覚悟を決めたのではない。この世界でも二人といない、絶対に解決不能な悩みだというのに。
「いい加減なこと言わないでくださいよ……」
宮部は憤怒した。一瞬だけでも期待したからこそ、腹立たしかった。
「あなたには分かりませんよ。オレがどんなに苦しんでるか、絶対に……」
宮部は確信していた。分かりもしないくせにいい加減なことを言う日凪は、絶対に信用してはならないことを。
「そりゃ、わからんさ。まだ言ってもないことがわかるもんか。わからんから、聞いてるんじゃないか。たまたまオレも同じ経験があるから正直な気持ちを言った、それだけのことだ」
日凪は悪びれずに言い切った。
宮部は思った。これだけ思いっきり信用できない相手なら、逆に話をしやすい。なぜなら宮部の語る真実は、普通の人間には絶対に理解できないし信じられないことであると、完璧に分かりきっているからだ。




