『離してください』
今回は街へ出掛けた桜花とお嬢様のお話。
「お嬢様……?」
「ん、どうしたの?」
キョトンとした顔で返事をするお嬢様。
周りはガヤガヤとゲームの効果音や音楽で賑わっている。
「あの…何故ゲーム会社のご令嬢であるお嬢様が…こんな街中のゲームセンターに来ているのでしょうか…?」
そう、ボクとお嬢様は今ゲーセンに来ている。
時は数分前に遡る。
「あーあ…このゲーム飽きたわね…」
コントローラーをソファーに投げだらーっと寝そべるお嬢様。
パッケージを見ると可愛らしい少女の絵が描いてある。
『百合な執事を緊縛して、白濁液を』
「…?桜花、どうしたの?」
「……はは、な、何でもありません…」
私の体はどうなるのか…と心配になってきた。性的な意味で。
パッケージのレーティングを見ると、名前からして察していたが
R-18だった。
「ねぇ、桜花…」
「…はっ!はい!」
妙な詮索に気づかれたのか、と思い慌てて返事をする。
「ゲームセンターに行くわよ」
**************
それで、今に至る。
「ちょ、ちょっと離しなさいよ!」
「いいじゃねぇか、ちょっと来いよ…!」
しまった…!回想をしていたら…!
迂闊だった、目を離した隙にお嬢様がナンパに…
「その手を離してください。」
「あぁ?」
高身長の男の手を掴みお嬢様から離そうとする。
「何すンだこのアマァ!離しがれ!」
「がはっ…!!」
しかし、腕を掴まれ床に叩きつけられる。
「ったく、来い!」
「や、やめっ…」
バキッ
「あ…?」
「もう手加減しません…お嬢様は…ボクが守ります!」
「お、おい…腕が…」
「あ、あ…?っ…!いってぇぇぇぇ!!」
高身長の男の腕が180度回転している。床に叩きつけられたが、受け身を取ったので大して怪我もなく、すぐに復帰できた。
「この…クソガキィィィィ!」
「……!!」
「んなっ!」
振りかざした拳を避けその勢いを利用し投げる。
「がっはぁ…!か、勝てるわけ…ねぇ…」
そのまま残党を倒し、お嬢様の元へ向かう。
「お嬢様!申し訳ありません!お怪我はありませんか?」
慌てて近寄ると…
ピシッ
「っ……!!」
思いっきり頬を打たれた。
「お嬢様…申し訳ありません…」
「もう、バカね…ほんと…」
そして優しく抱かれる。その温かさに思わず涙が流れる。
そんなボクを抱きながらお嬢様は、呆れたようにしながら
「まったく…心配したじゃない…」
と優しく…抱く力を強くしながら声をかけてくれた。
その後、ゆっくり買い物をしてボクとお嬢様は帰宅した。
目を通していただきありがとうございます。
現在、お嬢様のゲームソフト名を見直し、「あれでよかったのか?」
と自問自答をしております笑
次回は、お嬢様のお姉さまが登場します。お楽しみに!