41話
調理場に着くなりなにを作ろうかと考える。
外にいる人全員に手軽で美味しいもの、そしてお腹いっぱいに、なってもらうには何がいいだろう。定番なのはカレーなんだろうけど、スパイスは無いし、それになりよりお米がない。
焼きそばもありだろうけど、具材はあるが麺が無いしな。さーて何にしようかな。時間に今回は制限が無いのがいい。
「さーてと、とりあえずジャム作った時にはそこまで深く探さなかったけど、あ、そうだ女将さんにとりあえず冷蔵庫を見ていいか聞かないと。」
そう呟いて女将さんを呼ぼうとドアの前まで行くと外から女将さんと部隊長2人が話し合っているのが聞こえる。3人にはごめんないだけどすぐ近くで聞かせてもらおうっと。
「今ミールは、調理場に行ったよ。だからめちゃくちゃ美味しいもんがまた食べられそうだね。」
「えー!!そうなんですか!!みんなにも伝えてこないと!!」
「おいおい!!そんなに焦らないでも。」
そんなに楽しみなんだ。これは気合い入れてやらないとね。っとそうだ女将さんに確認しなきゃいけない。そこからドアを開けて顔を出すと3人ともこっちを見たので軽く頭を下げると
「おー!!ちょうど何を作るのかってこの二人と話していたところだよ。」
「ちょっ。女将さん。主の前ですので……私達の事は内密にお願いします。」
「いや、それはもう無理だろう。だってミールの事だタイミングを見てドアを開けたから話は聞こえているだろう。」
「そ、そうなんですか!!」
「すみません。聞こえてました。楽しみにしてもらってるので、頑張って作ります!!」
「主。ありがとうございます。なら全員に伝えれば士気も上がるぞ〜!!伝えてきます!!」
そう言って女エルフさんが飛び出して行ったのを見て男の人は苦笑いを浮かべつつこちらを振り返り一礼してから追いかけ行った。
「本当にあいつらあんたの作るご飯が好きなんだね。」
「まぁ。作ったと言ってもジャムだけなんですけどね。」
「それがよかったんだろうさ。それで、あんたの用事はなんだい?」
「そうでした。あの〜食材を探しているのでいろいろと探してもいいですか?例えば魔道具の中とか。」
「なんだいそんな事かい。そりゃもちろんこの店にあるのは全部使っていいよ。」
「ありがとうございます!!そこまで信用してもらって、期待に応えられる様に頑張ります!!」
「あいらのためにも頑張りな。なんかあればいつでも言っておくれ。」
「はーい。」
そう言ってまた調理場に戻っていく。
「よしよし、そのまま集中しておくれよ。」
女将さんが呟いたこの言葉を聞き逃したまま。
調理場に戻ると早速許可してもらった通り、何かあるか探しているとバートのお肉を見つけた。バートとは鶏みたいな魔物の肉であって結構な数があるのを見つけた、そうだ!!材料が揃えばあれにしよう。そこからは、鬼の様に探し回ってついに見つけてしまった。材料達これで作れるぞ!!
(ギー)
「ヒー!!なんですかあれは!!」
「あれが女将さんとラードが言っていた主の集中している時のオーラなんですね。」
「そうだよ。あれを奴らにも感じさせたらビビり散らかして帰ってくだろうさ。」
「確かにあれなら戦うどころか話をするまでも無く、あいつらはすぐに退散するでしょう。それほどまでに恐ろしい。」
「あの状態のミールには誰がなんと言っても相手にされないだろうさ。」
「経験があるみたいですね。」
「あぁ〜。ラードとね。あの時からもしものことがあればと考えてなんだよ。あんたらに使わなくて良かった。」
「本当に。この姿を……この威圧感を感じたら、さっきみたいな態度は取れなかったですね。」
なんか話し声が聞こえる様な気がするけど、気にしたらダメだ。今はこの料理に集中しなきゃ。下ごしらえも終わったし、さてと後は揚げるだけだ。ここはより集中しなければいけない。火を使っているのもそうだけど、なにより焦がしたら材料がもったいない。時間が勝負だろう。
(ドーン!!)
「ランドリー子爵の娘さんお父様が探されて……」
「なにか。今料理をしているので後にしてください。気が散るので。」
「はい。すみません。」
「ここは調理場です。あなた方が戦場で気が抜けないように、私も今気が抜けません。お分かりいただけたでしょうか。」
「えぇ。わかります。し、失礼しました。」
まったく邪魔しないでよね。本当に。こっちは今全力で美味しいものを作ろうとしているのに、それには油の温度を絶対に計らないといけないのに。
「ランドリー子爵は、あの子を連れ戻して何をされるおつもりなんでしょう……」
「そんなの私達が知る訳ないだろうよ。でもその子爵は、この状態を知らないだろうね。この鬼でも逃げそうな状態をね。それで、あんたらはこれからどうするんだい?」
「とりあえず、指示を仰ぎに連絡を出します。我等ではお連れできないと。お叱りを受けるでしょうが、またあの子の前に立つよりは全然マシです。」
「そうか、そうか。ならいいんだ。」
ドアの外で女将さんとさっき調理場に入ってきた人と何か話していたが、女将さんの笑い声が聞こえてきたのでそんなに悪い事にはならないだろうな。
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