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朱雀さんの愛情表現87
「では、私はまいります」葛の葉は立ち上がった。
「お前はいいと言われただろう」前任の白虎殿が言った。
「あの二人は凄腕ですが、幻術がつかえませんの、ですからこっそり見張るだけですわ」
そういって葛の葉は指をついてお辞儀をした。
「今のお名前はおうかがいいたしませんが清明様にだけでも会いにいらしてください
では」
そういって、薄い布をかぶると空気に溶け込むようにその姿が消えた。
美しく澄んだ目の奥に力を取り戻している。
その目は何度も見てきた真実を知っている
酷い罪を犯しても暗闇に逃げ込めばいい
そういう風に考えているものがたくさんいる。
ところが、いざそういう事態に直面するとついそのことを忘れてしまう
そして、雪礫姫が悲しんでいたら、優しく、今まで優しくあったことが誰の何のためになったろう
という傷を引きずっていたならば、そのときは犠牲者になる時だ。




