朱雀さんの愛情表現85
葛の葉と朱雀が慌てて車を降りて膝をついた。
白虎も当惑しながら同じようにした。
前任の白虎と呼ばれていた男もそうした。
誰だってそうするだろう
まだハンドルを握ったままだったが、そこにいたのはあでやかな女だった。
あでやかなだけでなく、品よく高尚で白い雪のような髪が美しいが
貞淑をおもわせる厳しさと強さを感じさせた。
「おかえりなさいませ、雪礫姫様」男が言った。
「ご英断感謝いたします」屑の葉が声を詰まらせて言った。
空気まで澄んで浄化されたように感じられる中
その人は車を降りて道に立った。
朱雀が白虎に言った。
「白虎殿、十二神将の一人雪礫姫様です」
白虎は、ますます唖然とした。
あの、みすぼらしい老婆が十二神将の女神だったとは、
だが
「やっとわかったよ、相手を殺そうと思ったら、完全に殺さなきゃダメなんだ
さもないとそいつは何としてでも殺しに来るからね」
意味は分かからなかったが、その姿に似合わないセリフを吐いた、その口調は変わっていなかった。
「朱雀と白虎は手伝ってくれるかい?」
「はい」二人は同時に言った。




