それは図書室から始まる 2
『相談に乗ってくれるの?』その紙にはそう書いてあった。
僕はさっき彼女が返却した本に挟まっていた紙を見ていた。
不思議なことに返事は紙で来た。直接話したほうが早いとおもわれると思うが、そこは、そういう年頃なのだとまとめてしまうことにしようと思う。僕自身、直接話せといわれたら緊張するだろう。
『相談に乗るよ―――力になれるか分からないけど』
彼の返事はそれだけだった。
『じゃあ、火曜日の放課後に二人だけで会える?』
彼女からの返事は……なんか、すごかった。
『もちろん』
彼の返事はその一言だけだった。
――火曜日の放課後――
僕は彼女が今日、相談に来るのか、それとも紙で日時を指定され相談に来るのは別の日になるのかが気になって、今日の授業はほとんど上の空だった。
まあ、結論から言うと彼女は来た。本を持たずに。
ということは、相談しに来たということだろう。
「あの、初めまして……ってことでもないよね。アハハハハ……。あっ、自己紹介がまだだったね!私の名前は、美波香奈絵。たぶん学年は一緒だと思うんだけど……」
「うん、学年は一緒だよね。でも、不思議なことに見かけたことはなかったかな……僕の自己紹介もまだだったよね。僕は、大和望って言うんだけど……よ、よろしく」
「うん、よろしくね。大和君」
彼女に呼ばれるとなんだか不思議な気持ちになる。なんだろう、この気持ち。
「あ……うん。で、相談しに来たんでしょ。もう下校時間まであまり時間がないけど大丈夫?」
図書室から見える夕日はすでに沈みかけていた。
「しまった!遅くなりすぎちゃったな。えーと、どうしよう?」
「どうしよう?っていわれてもなー……昼休みとかに会うってのでもいいよ。暇だし」
「で、できれば人のいない時間帯がいいかな」
「そ、そうだよね。みんなに誤解されたら美波さんに迷惑だもんね……」
「いや、そういうことじゃなくってね。やっぱり、他の人には聞かれたくないことだったり……」
「あっ、そうだったね。ごめん」
「べ、別にいいのよ。そんなことで謝らなくても。で、でね……この後……時間ある?」
「こ、この後!」
あまりにも急な話で僕の声は裏返ってしまった。
「ごめん。やっぱ無理だよね。急に言われても」
「いや違うよ!時間はあるんだけど……どこで?」
「正門を出てちょっと行ったところに神社があるでしょ。あそこ意外と人がいなかったりするの。だから、神社で相談しようかな?……とか思ったんだけど」
「あー、あの神社か。別に遠回りするわけでもないし……いいよ」
「いいの?じゃあ、行こっか。もう下校時間でしょ?」
「えっ!」
図書室に備え付けられている時計の針は下校時間の6分前を指していた。
「そうだね。すぐ準備するよ」
そのとき、校内アナウンスが
「下校時間5分前です。校内に残ってる生徒はすみやかに下校してください」
と、告げた。




