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3話 主観

 この学校のクラス分けは少し特殊だ。


 入試の際の順位が関わってくるのだ。ただ順位別というわけではない。


 a組は、平均学力が高いが、突出した学力の高さはないグループ。


 b組は、2位と一桁台が多いグループ。


 俺のクラス、c組は、1位と3位と学力が低めのやつのグループ。


 かなりの難関校なので、低いと言っても並外れているわけだが。


 それもあって、入学後の早期から一位はあかりではないかと噂されていた。逆に言えば、どんなに学力が高いやつでもc組でなければ一位ではなかったということだ。


 無事、見事にその予想は的中したわけだが……。


 進級の際にもこのシステムが使用されるので、大抵のやつはb組を目指して勉強をする。


 ――それでも、たった数人は、c組の頂点を狙っているらしい。



 ◇◆◆◆◇



「部活、どうだった?」


「とても静かだった」


 昼休み。葵に話しかけられた。


「人数、少なかったらしいね」


 たったの二人だったが。


「俺と明だけだった」


「えっ?二人?じゃあ、ここの部活で一番少ないじゃん」


 だろうな。読書は中学に入りたての者にとっては、そう面白いものではないのかもしれない。


 ――この学校は庶民出身が少ないので、家でさんざん読まされていたり、親に部活を選ばされている場合もあるだろうが。


「そっちは何人入部したんだ?」


 彼女はボードゲーム部に入ったと言っていた。交流が好きなやつには向いていそうだ。


「五人。先輩も合わせて十三人」


 今年の一年の入学者数は六十人だったので、1/12か。文化部にしては多い方なのかもしれない。


「賑やかそうだな」


 率直な感想を伝える。そんな人数でするボードゲームは数少なそうだ。


「うん。先輩も優しかったよ。やっぱり涼太も入ればよかったのに」


 少し後悔したような、そんな言い方だった。



 ◇◆◆◆◇



 このクラスの室長の一人は、暁渚あかつきなぎさ。父は食品会社の重要職らしい。


 入試の順位は確か、十一位だったと思う。


「私は十二位だった。柏」


「人の考えていることを見透かすんじゃない」


「君は素晴らしい成績だったね。両親は教育熱心というわけではないと聞いたよ」


「両親って言い方はちょっと違うが……。むしろ放任主義だ」


 子供ほっぽり出して海外で仕事をしている。


「私の認識が間違っていたみたいだ。すまない」


「いや、謝るほどのことじゃない。話す機会があれば、経緯を教えてやるよ」


「それはいいね。よかったら、その順位を取る方法なんかも聞きたいところだ」


 なんだか普通に会話していたら、言ってはいけないことまで言ってしまいそうだ。ペースが乱される。


「そういえば、部活はどこにしたんだ?」


「バスケットボール部だ」


 確かにバスケットボールをしていたら画になりそうだ。そのリーダー格で、チームを統率してくれそうだ。


 腑に落ちない。なんだか違う。


「……本当にバスケットボール部か?」


「何故そう思う?」


「体育の授業の時だ。一つはバスケットボールに慣れているやつとの動きが若干違っていたこと。よく見ていたら、試合の時トラベリングしていた。これは決定的な証拠にはならないかもしれないが」


 涼太も気づいていた。バスケットボールの経験があるのかもしれない。


「二つ、これも試合の時だが、ボールを追う際の動きだ。ゴール型の動きというよりは、重心を下げて移動するネット型の動きが混ざっているように感じた」


「それから?」


「三つ、渚のシューズはバスケットボールのそれじゃなかった」


「では、私の本当の部活は何でしょう?」


 思案する。シューズは普通のものを使っていたので、ネット型でもバレーボールではないだろう。


 外でするネット型の部活は、ソフトテニスかバドミントン。


 まぁ、すべて引っ掛けで全く違うかもしれないが。


「そうだな。ソフトテニスとバドミントンで迷うところだが、ここはバドミントンといこう」


「どうして?」


「持久力と瞬発力で比べたら、渚は瞬発力のほうが似合う」


「主観じゃないか。でも、完敗だ」


 良かった。合っていたみたいだ。


「どうして試すような真似を?」


「君とみやはこのクラスの中では軍を抜いている。どんな人物かは、知っておくべきだろう?」


 中学生がそんなことしないでほしい。


「合格だ。これからもよろしく」


「ああ。こちらこそ」


 よく読めないやつだ。苦手なタイプかも知れない。

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