03 天地創造しよう
一ヶ月で、まず分かったことを発表しよう。
俺は、死んではない。死んだの定義は知らないが、こうして自由に動けているのだ、違うのだろう。全て妄想なのでは?、と言われたら反論は出来ないけど。
一ヶ月の間で、結局、俺は人を創ることは出来なかった。
そう、俺はついに人と一ヶ月も会うことをなしえなかったのだ。俺は人との隔離生活を得て、ついには言葉も分からなくなり、髭は猿のように生え、退化してしまい。
なんて、流石にそこまではいかなかった。
俺も独り言を喋り続けて、何とか耐えてきた。が、一度だけ、幻聴が聞こえた時は正直、焦った。でも、確認してみると、それは山の方角から来ていたので、多分やまびこだったのだろう。
それでも、充分俺が疲弊したことを自分でも察したので、やはり、早く人と出会わなければならないと思う。そうでなければ、俺の精神が今にも崩壊しそうである。
しかし、世の中には俺以上の猛者が数ヶ月、何年もろくに部屋からも出ず、家族以外とは、喋らずに生きているらしいので、案外、俺はまだ問題ないのかもしれない。
この感じでは、中々進展がなさそうに感じるが、俺も、のうのうしていた訳ではない。
……
天地創造をしよう。
そう思い立ったのは、あの後すぐのことだった。
山を創り、海を創り、空を創り、これで世界の始まりだ。
雑に創られたムラのない統一された色で塗られた自然物は、自然界には存在しなそうだ。
所々で色が変化することはなく、子供がクレヨンで描いた絵の方が色にはバリエーションがあり、自然に近いのであろう。
創るのには、それを立体的にするのはもちろんだ。
ハリボテの山が出来た時には、どうするべきかを悩んだな。
創造することが出来るのだから、創造したものを消すことなんて容易と思っていたが、どうやら違ったようだ。
それから今もハリボテも残っている。
触れたとしても、倒れることもない。
と言っても、俺の身長を凌駕する大きさの山を創ろうとしたのだ。その大きさのハリボテ倒せるはずがないのだ。
そのハリボテの前には、色を変えることも人力で可能になっていたので、ハリボテは色が出来ていた。しかし、その色も美術の評定がニだった俺にとって、完璧とはまるで遠かった。
この時は、脳にキャンパスがあって、そこに色と形を想像するような感覚で、自然物を創っていた。
しかし、想像通りと言うべきか、考えられないほど、時間が掛かる。
このハリボテの山だって、三時間は掛かった気がする。
しかし、三時間というのは、ずいぶんと適当な気がする。何故ならこの空間では時間の概念が曖昧なのだ。太陽がないので、信じられるのは、己の感覚のみ。
己の感覚が言うには、三時間というだけ。
一ヶ月というのも己の感覚だ。感覚だからアテにならない。一ヶ月になればなおさらだ。
しかし、全くのちんぷんかんぷんを述べているのではい。俺は感覚で一日、立つたびに印を創っているのでズレていたとしても、数時間から、三日くらいだと踏んでいる。
天地創造。
言葉の通り天と地を創って、世界を創るということだ。
世界の始まりには必要不可欠なことだ。
それでも、世界を創るのに、天と地を創るだけでは、意味ないようだ。
元の世界には、当たり前にあった、世界を初めから構成するもの達も創り出さないといけないようだ。
天気や重力さえ初めから創らなければならないらしい。
天気はあれからずっと同じの淡い空であった。ほして俺は何故か、空を飛べた。
あれは、創造物を確認しようと、少しジャンプしてみた時だった。
身体が身軽に跳ねたかと思ったら、俺は宙に浮いていた。そのまま地面に落ちることなく、低空飛行をしていた。その低空飛行の状態から何度かジャンプする度に、飛行する高さは高くなった。二段ジャンプが何度も空中で出来る感覚だ。
飛行は、その後、ジャンプせずとも、空を飛びたいと思ったら飛べるようになっていた。
こんなあり得ないことは初めて体験した。
空中飛行を自由に出来るようになってから、俺はまず太陽を創った。
時間感覚が欲しかったので、一番必要なものであろう。しかし、俺の世界、これまで通りオレンジ色の太陽だと、何の捻りも存在しないので、俺が完全オリジナルの太陽を創った。
まず形は球にした。この前提が崩れると、まだ考えてもいなかったが、この地面はどんな形か分からなくなるし、どうせ球にした方が分かりやすいという理由で、そこは統一した。
色は、緑であった。しかも濃いめの緑だ。
その中心に三角形を五つ、頂点を外側に向けて、周している。
俺の才能に驚きだよ。色んな意味で。
しかし、太陽が出来たとしても、それは空に浮かぶ球体に過ぎなかった。何故なら、あれは空に浮かぶだけで、この地面が動かないので、昇ることも、沈むこともない、不動の球体となっていた。
なので、俺は一時的な解決策として、太陽をこの地を囲うように移動させるようにした。これぞ、天道説。
けれど、陽が昇って、陽が落ちる。そんなことを設定しても、世界の明るさは変わらない。
明るさと影が存在しないのだ。
朝になったら、陽が当たる場所は明るくさせ、陽が当たらない場所は、暗くさせる。
それをどのくらい当たっているのかで、地道に調整していく。
それでもコピーペーストの要領で、同じ設定のものは、別の場所では簡単に説明できる。
それを何度か繰り返していた時のことだった。俺の身体が急にぶっ倒れた。
ついに神がお迎えにきたのかと思ったが、そこから目覚めると、同じ場所で寝転がっていた。
俺は起き上がってから、すぐに創造を続けてみると、また倒れた。
俺は、創造することで、体力、MPなどが減ったのではと考察した訳だ。
しかし、これまではそんなことがなかった。何で急に……
と空を見上げてみると、答えが見えていた。
そうして、今に至るということだ。
次は、地面をどうにかするか。




