平行線の煙草ED
『めでたしめでたし、ってな。』
「どこがめでたいのさ。企業ごと街ひとつ潰れてるよね。」
『おう、再建は苦労したぜ。だが俺たちにはタバコがある。こいつで一服すればどんな困難でも乗り越えられるのさ。』
だめだ。脳が完全にニコチンにやられている。
『ハハッ、俺たちが命を救われたのは合ってるだろ?』
「そうだね。それでウチにお供えしているってわけだ。」
ガハハと笑うホリゾンタルさん。
『そういうわけで、諦めろ。』と言って通信を切ってしまった。
ハァ、とため息を吐いて開梱作業の続きを行う。
葉タバコは綺麗な茶色だ。収穫時は普通の植物と同様に緑だけど、発酵する事で茶色になる。紅茶と同じ原理らしい。
いつものようにタッパーに詰め替えていると、店の入り口から毛玉が入ってきた。猫獣人タイプのサイバーボディ、バイトのバイトだ。
「よーす、店長。……あれ?今日煙草の日だっけ?」
「いつもよりはちょっと早いね。それでバイト、今日のバイト代はどっちで払う?」
「ミャハハ。もっちろん煙草!ウヒョー、テンション上がってきた!」
何故か首をカクカクさせて従業員用の部屋に入って行った。なんかのネットミームらしい。
開梱作業が終わり、開店準備を進めていたが、ふと思い立って葉タバコを一枚取って丸め、火をつけて灰皿の上に乗せる。
「今日は父さんの武勇伝を聞いたよ。でも裏社会に手を出すのはどうかと思う。」
と、写真立てに映る父さんへ報告した。




