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その23

数秒置いて奏が口を開いた。


「あのね、さっき助けてもらった時凄く嬉しかった。私泣いてばっかでお礼も言ってなかった。ありがとう優、でも優が危ない目に合うのは見てられない。凄く怖かった」


「あの状況じゃ仕方なかったんだ。てか冷静に考えるとああならない方法もあったけどそんなの考える暇がなかったし‥」


「うん、わかってる。私もどうしたらいいか分からなかった、ただ優を助けたくて‥」

また奏の表情が沈んでいきそうだった。

俺はチクリと胸が痛んだのは奏のことが好きなんだ、本当の意味で。1年の頃と今までの奏と過ごした日々を思い出す。

他愛ない話で笑っていた奏。一緒に登校しようとしていつも俺の時間に合わせてくれた奏、俺が告白を断っても明るく大好きだと振舞っていてくれた奏、俺の弁当を作ってくれる奏、思い出すといつも奏は俺のために一生懸命になってくれていた。俺はそれを見ようともしなかった。


奏はどんな俺でも好きだと言ってくれた。俺は逃げてばかりでそんな俺でも奏は認めていてくれているのだと思う。



「奏、俺は付き合うとかよくわかんないけど奏のことが好きだ」


「え?そ、それは友達として?」


「違う、奏のことが1人の女の人として好きだ」


「俺はそんな風に今までなったことないから分からないから奏のことをまた傷付けたりするかもしれない」

俺がそう言うと奏は真剣な顔をして真っ直ぐ俺の目を見ている。


「俺と付き合ってください」


「はい、こちらこそこんな私で良ければお願いします」

その途端奏は満面の笑みになり俺に抱きついた。


「やったぁ!やっと優の彼女になれた!私今人生で1番幸せだよぉ!」


「そんな大袈裟な‥」


「優、キスして下さい」


「デパートの駐車場でしてくれたのが私のファーストキスだったの‥あれも嬉しかったけど突然すぎたから‥‥今度はゆっくりじっくりお願い」


「ゆっくりじっくりって‥」

恥ずかしいなぁ、でも目を閉じてねだってくる奏を見ていると俺もキスしたくなってきた。

そして唇を重ねる。先程までとは違う意味で静かに時計の音だけがリビングに響いていた。




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