14話
サンゴと一緒に山を登り、山頂までやってきた。
途中でだんだんと口数が少なくなっていったサンゴは、少し前からすっかり無言のままだ。
山頂の端、崖を見下ろす場所にあったのは「お墓」だった。
不揃いの石が積まれ、その上に枯れた花が手向けられている。ただそれだけで、それが誰かの墓標なのだと分かった。
「ここ、僕のお父さんとお母さんのお墓なんだ」
立ち止まったサンゴの背中越しに、ぽつりと声が届く。
「二人とも、人間殺されたの」
「え……」
思わず声が漏れた。
「一瞬だった。気が付いたら弓矢で撃たれて死んでいたんだ。最初にお父さんが撃たれて、すぐにお母さんが背中を押してくれたおかげで、僕は走って逃げられた。だけど振り返ってみたら、お母さんも倒れていて……」
「そうか……」
胸の奥から、重苦しい罪悪感が押し寄せてくる。
俺はもともと人間だった。そしてゴブリンとなった今も、心は人間のつもりのままだ。
「人間はお墓に石を積んで、その上に花を置くんでしょ? だから、僕も真似してるんだ」
「え……?」
思いがけない言葉に、目を見張った。
「変だよね。お父さんとお母さんが人間に殺されたのに、僕は人間のことが気になって仕方がないんだ。お父さんたちに怒られるかもしれないな。『人間の真似なんかするな』って」
山の涼しく強い風が、二人の間を吹き抜けていく。
「……俺だったら、嬉しいよ」
「え?」
「サンゴのその気持ちが嬉しいと思う。大変だったろ、こんな高所に墓を作るのは」
「っ……」
「それに、綺麗なお花まで供えてくれたんだ。俺が親だったら、すごく嬉しいよ」
サンゴの嗚咽が聞こえてきた。
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