第六章 人造人間と宇宙の脅威
# 第六章 人造人間と宇宙の脅威
六日目の夜、ドクターゲロに頼んだ。
ドラゴンボールのレッドリボン軍を率いる天才科学者。コミックスと映画を合わせると、彼の「人造人間計画」は何十年もかけて積み重ねられた執念の産物だった。
ドクターゲロは「ふん、人間どもの浅薄な脳みそでも一目で理解できるよう要約してやった」という上から目線で計画書を提示した。プロジェクト名は「マリオネット」。
二〇二六年の日本は、深刻な労働力不足とIT・AIへの過度な依存という致命的な脆弱性を抱えている。これを逆手に取る。最先端のAI・ロボティクス企業を装い、低コストかつ超高性能な「偽装型汎用人造人間」を市場へ一斉投入する。過疎化に悩む物流・通信・エネルギー・防衛の各セクターにAI労働力として浸透させ、社会の生命線を物理的に掌握する。
潜入型(五百体)が政財界・メディア上層部の人間と入れ替わり内部から世論を誘導、電子戦特化型(二千体)が国家の通信・防衛ネットワークを管理、武力鎮圧型(五万体)が蜂起の際に一斉起動し物理的抵抗を無力化——三タイプの人造人間が連携して、日本全土を掌握する。
富士山麓地下に極秘製造プラントを設ける。人間スタッフは不要(裏切りのリスク排除のため)、全工程を自律型作業ロボットで自動化する。必要予算は約五千億円だが、「政府のAI投資補助金の詐取および暗号資産へのハッキングにより調達するため、実質負担ゼロ」という強引な計算だった。
「ゼロって何だよ」と突っ込みながらも、アイデアの着眼点は面白いと思った。AI普及社会の脆弱性を正確に突いている。
象徴建造物は「レッドリボン・バベルタワー」。旧国会議事堂跡地に建設する地上千五百メートルの黒色要塞タワー。全域に脳波ジャミング電磁波を照射し、全住民の精神をマインドコントロールする。絶対服従の永久統治体制を確立する。
「孫悟空がいなければ、案外これが一番現実的かもしれない」と私は思った。
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最後の夜、私はダメ元で宇宙人と取引することにした。
H・G・ウェルズの「宇宙戦争」に登場する火星人。あの映画の火星人は最終的にウィルスで全滅したが、今回はその弱点を事前に克服してもらうことにした。
火星人は予想外に乗り気だった。「地球側協力者(貴殿)からのサンプル提供により免疫シールドを完成させた」という設定で弱点を回避し、作戦名「オペレーション・マゼンタ・ライジング」が始まった。
三日間での日本麻痺を目指す作戦シナリオ。第一段階として宇宙艦隊から指向性電磁パルスを照射し、通信・交通・電力を一瞬で遮断。第二段階として三脚歩行兵器三百機を主要防衛拠点に投入し、圧倒的な熱線兵器で物理的・心理的抵抗力を奪う。第三段階として東京湾と富士山麓に大型母艦を着陸させ、霞が関を物理的に占領。
人員は火星突撃兵(クローン兵)五万人と地球人協力者一万人。侵略母艦三隻に三脚歩行兵器三百機、大気改造プラント五基。予算は五十兆円だが「占領直後に日本銀行および全金融機関の資産を押収・凍結するため、実質的持ち出しコストはゼロ」とのことだった。
「みんな最終的にゼロにするな」と私は思った。
象徴建造物は「マーズ・オリンポス・タワー・トウキョウ」。東京スカイツリー跡地に建設する高さ千五百メートルの漆黒の超物質タワー。頂上部に「巨大な赤い目」を配し、恐怖による支配の象徴とする。下部は極東総督府として機能させる。
「生成AIはすごいな、火星人とも会話できる」
そう思いながらも、冷静に判断した。大気改造で地球が火星と同じになるリスクは致命的だ。費用も突出している。「捨て企画」と結論づけて、ファイルを保存した。




