「最後の恋 プレミアム―つまり、自分史上最高の恋。」 阿川佐和子
阿川佐和子「最後の恋 プレミアム―つまり、自分史上最高の恋。」(新潮文庫)(246ページ)(2012/12/18)
「甘い記憶」大島真寿美
「あたしの二の舞にはならずにすんだ」と、あの人はいった。『三人姉妹』のポルシェのお姉さん再登場。
「ブーツ」井上荒野
「この曲がヒットしたとき私はまだ生まれていなかった。」そして今夜私はバンド創設メンバーの一人がやめることを聞いた。「七年はあっという間に経っていた。」
「ヨハネスブルグのマフィア」森絵都
「三十九年と二ヶ月生きていて起こらなかったことも、三十九年と三ヶ月には起こり得る。」傑作!
「森で待つ」阿川佐和子
駆け落ちした七歳年下の夫が放浪癖の末についに家に戻らなくなり数十年が過ぎ去った。そんな夫が最後に妻に送ったとんでもないプレゼントとは? 二番目の妻のガチャガチャした感じが面白い。彼女にも○○が見えたわけだ。
「ときめき」島本理生
「本当は男の強さが怖かった。おそれていたのはわたしのほうだった。」語り手は「海」。ラストがしみじみ。
「THUNAMI」村山由佳
「もし本当に、どこまでも純度の高い執着のことを恋と呼ぶのなら――後にも先にも、始めて拾ったこの猫ほど強く執着できる存在を見出すことは、もう二度とないだろう。」背景は大震災。
「それは秘密の」乃南アサ
台風のために道路が寸断されトンネル内に取り残された男は横転し土砂に飲み込まれたバスの中から一人の女を救い出した。真暗闇での共有時間は何ものにも変え難い。
総じてレベルが高い。




