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剣は少々 魔法も少々 でも信頼度は最強だから…まじで苦痛です  作者: ke-go


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1/5

新人教官

剣は少々 魔法も少々 そして信頼度は最強だから…まじで苦痛です。


親元を離れて、16歳で冒険者になった。薬草採取に始まり魔物を討伐して15年。冒険者ランクはCランク。


まぁ中堅の冒険者で間違いない。

そして、それが俺の限界だろう。

15年の間に世界情勢は一変した。

魔王を名乗る者が魔物を支配し、人類を襲いだした。

初めは、魔王討伐だと意気込んでいたが沢山の人が死んだ。

仲の良かった冒険者に良くしてくれた街の人達。

世界は一変した。


どこか自由があった冒険者ギルドの掲示板も今は魔物討伐の依頼だらけ、これは冒険ではなく国の兵士と変わらない。


俺に伸びしろがあれば、まだ良かったかも知れないが成長の限界は自分が1番良くわかる。


俺はここまでの人間だったんだ。


「レナウドさん。今日から宜しくお願いします。」


俺に軽く頭を下げる女性。

新しく新設された[冒険者ギルド]の新人教官が俺の新しい仕事だ。ベテラン冒険者と言うことで声がかかり、俺はそれを受諾した。


自分の成長はもうないなら、第二の人生を探すのは普通だろう?


「宜しくお願いします。」


新設されたギルドの中庭。屋根は無い。木剣に的。実に平和な仕事場じゃないか。


「宜しくお願いします!聞いてますか?」


「あ、ああ。聞いているぞ。」


ひとり思いに耽っていた俺に挨拶をする女性。

随分と小柄で視界に入らなかった。


簡単に間合いを詰められいたな。魔物だったら致命傷確定だった。


「君は…新人冒険者かな?…小さいな!」


「…!なんですか!セクハラですよ!」


セクハラ?


知らない言葉だが、怒らせたのはわかる。

気にしているのだろう。


「名前は?」


俺も随分と冷たい態度だな。せっかくの新人冒険者なのに印象は良くないだろうな。


「カタセ ナツハ。…貴方は?」


「カタセ…ナツハ?苗字持ちか珍しい名前だな。俺はレナウドだ。宜しくな。」


小さな女性は俺を見て頷く。どうやら、極端には嫌われてはいないようだ。


「魔王討伐するから、戦い方教えてよ!」


あー。その軽口は昔の俺にもあったな。

どこか恥ずかしい気持ちになった俺は、小さな女性の頭を撫でながら笑ってしまった。


「何よ!魔王倒さないと日本に戻れないの!」


ニホン…知らない名だが、この子の故郷だろうか?

もしかしたら、もう滅んだ国かも知れない。魔王軍の勢いは俺達人類を凌駕する勢いだからな。


「意気込みは、わかった。だったら死なないように訓練しないとな!」


また頷いた。


どうやら、言う事は聞いてくれるようだ。


「何すれば良いの?」


俺は急ぐなと笑いながら木剣に手をかけた。彼女の適正はまだわからないが剣を振れなければ話しにならないからな。


「長いんですけど!」


ん?普通の剣のサイズの筈だが…まぁ彼女の体格には不釣り合いだな。


「お前が小さいからだ。普通のサイズだぞ!」


「あ。またセクハラ!最低!」


セクハラとは…どうやら不快な時に出る言葉のようだ。

ニホン?の独自な言語なのだろうか?


「まず、あの丸太にその木剣を打ち込んでみろ!ちなみに普通のサイズだから木剣は悪くないからな。」


両手で柄を握る彼女。大きな目を細めて俺を睨んでいるが、軽く手を出し、さっさと打ち込んでみろとつけ放した。


「ちゃんと教えてくださいよ!」


そう言いながら丸太めがけ走り出す彼女…


(あんなにとろくさいと魔物に当たらんだろうな。)


ぷっ!


まるで子供のかけっこだ。たぶん彼女の身長の問題だろうが、運動神経も悪そうだ。


「やー!」


ぷっ!


掛け声とスピードが合ってない。


俺は子供の頃を思い出していた。

俺もあんな可愛い時期があったんだろう。

そして、丸太の硬さで手が痺れる未来も見えてしまう。


……何でそうなる?


鈍臭い彼女の振り下ろし。絶対に魔物には当たらんだろと言わんばかりの剣筋。


「何よこれ!教官…何これ?」


教官と呼んでくれるのは嬉しいが、その言葉は俺が発する言葉だ。


基本もなってない彼女の剣筋。鈍臭い彼女の振り下ろしで丸太は丸太のままだったが木剣が折れてしまった。握る柄は砂のように細かく砕け散っていた。


「絶対に不良品だし!」


木剣の質は個体差はあるだろうが、どんな木剣でも砂のようにはならないだろう。


…10本目だぞ!


その後も彼女が手にした木剣は、ことごとく砕け散ってしまった。


「君はなんだ?」


「…え?普通の日本人ですけど!」


「…今日の訓練は終了だ!」


納得していない彼女と共に俺はギルドの事務室に向かった。


「あ。レナウドさん。訓練終わりました。カタセさんどうでした?やっていけそうですか?」


受付主任のマーサさん。たぶん彼女が、この子の担当をしたのだろうが…


「この子は…握力が魔物並みだ。」


「あ!…それもセクハラだ!」


とりあえず、俺は新人教官として握力とセクハラを今日は学ぶことができた。


たぶん少し成長したかもしれない。

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