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十河(そごう)監督、前半はまあまあの入り方が出来たんじゃないですか? 後半は新しいパターンを試していきますか?」

若いコーチの言葉に真鳥戸フェンリルユースを率いる十河は「うん」と低い声で応え、眉間にしわを寄せる。

その鋭い視線の先には、前半を終えて灰の降り注ぐピッチから引き上げてくる選手たちの姿があった。

「エイク」

通り過ぎようとした英久を、チーム内での愛称で呼びとめる。

「言うとおりには出来ないか」

十河の言葉に英久は自然と奥歯に力がこもる?

「あんたのやりたいことは分かってる」

苛立ちを込めた視線を向けられても、十河は表現一つ変えず、両の目で受け止める。

「分かってる上でやっている! あんたが指示した戦術よりもゴールの可能性を感じたから、そう選択したんだ」

「その可能性とやらがどれだけ高くても、残念ながらチームメイトがイメージを共有できてなければ意味がないんだ。これはチームスポーツなんだよ、エイク」

十河の力強い視線を振り払うように英久は首を振る。

「俺が俺でないプレーをするなら、俺じゃなくてもいいだろ」

「ああ、お前である必要はない」

「じゃあ勝手にやってろ!」

吐き捨てるように言って、ピッチを後にする英久。十河は振り返る事もなく、ホワイトボードに書かれた英久の名前を親指で消した。

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