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オーバークロック・ノア  作者: くじらちさと
灰の足音
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section8『灰ノ会』

戦いが終わり、静寂が戻った路地裏。

だが、それは安堵ではなく、重たい余熱をまとった静けさだった。

彼の登場は、ただの“戦いの後”を、“物語の始まり”へと変えていく。

静まり返った路地裏に、まだ余熱のような緊張が残っていた。


「……はぁ……終わった、のかな」


レイラが肩で息をしながら呟く。


凪は黙ったまま、再び手を開き、氷を霧散させた。


隼人も黙って頷き、傷の具合を確認する。


その空気を、飄々とした声が割った。


「おつかれさん。なかなか見ごたえある試合だったな」


匡さんが、いつもの調子で笑いながら近づいてくる。


だが、その瞳には微かな緊張と鋭さが宿っていた。


その一歩一歩が、場の空気を変えていく。まるで、空間そのものが張り詰めるような感覚だった。


(この人……やっぱり、普通じゃない)


「……ちょっと待って。見てたなら、助けてくれたってよくない……?」


レイラが思わず声を上げると、神瀬は肩をすくめた。


「いやいや、最初から見てたわけじゃないって。来た頃にはもう、君らが面白いくらい必死で頑張っててな。邪魔したら悪いかなって思ってさ」


「……悪趣味かよ……」


隼人がぼそっと呟き、真も呆れ気味にため息をついた。


「で、何しに来たんですか」


真の問いに、神瀬はポケットに手を突っ込んだまま答える。


「いや、最近ちょっと気になる連中がいてさ。まさかお前たちが先に接触するとは思わなかったよ」


「気になる連中……?」


鳴が眉を寄せる。


神瀬は立ち止まり、わずかに表情を引き締めた。


「“灰ノ会”――って名前、聞いたことあるか?」


真たちは顔を見合わせるが、誰も知らないようだった。


「それ、さっきの奴らと関係あるんですか?」


隼人の問いに、神瀬は頷く。


「ああ。さっきの男……おそらく“灰ノ会”の一員。しかも、かなり上の」


「上って……幹部、みたいな……?」


レイラが言葉を探しながら問う。


「だろうな。もっとも、そいつがどんな経歴か、どこでノアを得たか、俺にもわからない。連中の全容は未だに謎だ。


だが、確かに動き始めてる。俺の予感じゃなく、“証拠”がな」


神瀬はため息混じりに言いながら、少し間を置いてから続けた。


「ただ――今日みたいな“ノア使い”の事件がこれから増えてくるなら……お前の“目”は、かなり有用だろうな」


鳴が目を見開く。


「……僕の識刻眼のことですか?」


「ああ。あれは戦闘力の測定だけじゃない。“兆し”を読む力でもある。……武器にもなる」


神瀬の口調は軽いままだったが、その奥には重みがあった。


鳴は、ふと目を伏せた。


(僕の“目”が、武器になる……?)


怖さと期待。責任と可能性。まだ使いこなせていない“力”の重さが、今さらのようにのしかかってくる。


誰もが、次に何が起きるのか――その足音を、感じていた。

告げられた名前、“灰ノ会”。

それは、これまでの戦いとは別次元の、組織された“敵”の存在。

鳴の“識刻眼”もまた、ただの能力ではなく、戦いの鍵を握る“武器”となる。

神瀬が現れた意味。灰ノ会が動き出した現実。

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