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格闘タイプのお姉さんが護衛と引き換えに私の体を要求して来るんだけど!? ~意外とウブな芋ジャー女ドラゴンに溺愛されるキケンな二人暮らし~  作者: 枕頭皮
第3話 本当に一緒にお風呂に入っていただけるんですか!? ~真・同棲初日はドキドキ爆発~
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3-4

~~~


 そして寮の私の部屋に辿り着き、今に至る。道すがらメメちゃんにLINEを送り、私が体調不良で早退したと口裏を合わせて貰えるよう頼んだので寮母さんに連絡が行くこともないだろう。これでようやく一息つける。


「つ、疲れた……」


 心の底からそんな言葉が出た。しかし、このままベッドに倒れこんだりしたらシーツが血まみれになってしまうため、最後の力を振り絞ってシャワーと着替えを済ませなければならない。もちろん美夢さんも同様だ。


「まずはシャワーですね。香織さん、どうぞお先に」


「悪いね。じゃあ遠慮なく……」


 と、何気ないやり取りを交わしていた時、私は重大なことに気が付いた。


(私、どこで着替えればいいの!?)


 生徒寮の部屋は狭い。そもそも人一人が暮らす最低限のスペースしか用意されていないため、着替えのため身を隠す場所なんてあるわけがない。いやまあ、そこは女同士だし、私だって友達が遊びに来た時とかその辺で部屋着に着替えたりするけどさ。今目の前に居る成人女性は、私のことを性的な目で見てる人なんだよね。


(どうしよう……正直あんまり見られなくない。生理的に嫌っていうのもあるし、同年代ならともかく大人の女の人に私の貧相なスタイルなんて見せたくないぞ。でも、こっちからわざわざ言うのも意識してるみたいで癪なんだよなぁ! 美夢さんはどうせまた真っ赤になって色々言うんだろうけどさ)


 美夢さんに背を向けたまま私は固まってしまい、しばし沈黙が流れる。早くシャワーに行かないと変に思われる。美夢さんを喜ばせるだけかもしれないけど……もうどうにでもなれ。私は意を決して振り返った。


「あのさ美夢さん、悪いけどあっち向いて……って、ん?」


 そこには予想外の絵面があった。美夢さんが床に座り込んで足を組み、手も体の前で合わせて独特の印を結んでいる。背筋を不自然でない程度に伸ばし、顎は軽く引き、目は仏像のそれを思わせるような半眼をキープ。既に一個の静謐な物体と化した美夢さんの姿に、私は大いに困惑した。


「……何しとん?」


「座禅を組んでいます」


 唇の隙間から吐息を漏らすように、美夢さんが答える。うん、座禅は見ればわかるんだけどさ。


「これから香織さんがシャワーを浴びます。それは同じ部屋の中で香織さんが衣服を脱ぎ生まれたままの姿になるということを意味します。玉のお肌が湯を浴びて紅潮し、洗い髪が艶やかに照り映えます」


 ワードチョイスが気持ち悪いけど、端的に言えばそうだね。


「わたしとしてはかなり僥倖なのですが……悔しいことに情緒がそれに耐えられる気がしません。香織さんの入浴など想像してしまっては、わたしはときめきすぎて昏倒してしまうことでしょう。そうなっては護衛の意味がない……なのでこうして座禅を組み、瞑想状態に入ることで無我の境地に至ろうとしているのです。ご心配なく……何かあればすぐ目を覚ませるよう訓練はできています。ご用の際はお声をかけるか肩を叩いてください。ああもちろん服を着た状態でお願いします。裸体を直視してしまっては座禅も効果がないかもしれませんので。そうだ、ひとつだけ聞かせていただきたいのですが、体を洗う時はどちらの脚から……香織さん? 香織さんそこに居ますか?」


 何か美夢さんがブツブツ言ってるようだけど、私は途中で聞くのをやめたので既にシャワーの最中だった。素直に疑問なんだけど、あの人本当に私とえっちする気あるのかな。大人の癖にあんな思春期未満の情緒じゃ私を裸に剥くことすらできなさそうなんだけど。


(全く、こんな幼児体型を相手に何を緊張してるんだか。それともあれかな、美夢さんってロリコンの気があったりする? それはそれで不本意だけどね……私だって一応高校生だぞ?)


 同級生のメメちゃんと比べてもなお未発育な我が身を洗いながら、私はそんなことを思って苦笑した。泡で体を擦っていると、今日できた擦り傷に少し沁みた。


《つづく》

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