Season 5 ここから
この物語は、私が見た夢をもとに作った物語です。
「全season5」
夕方になった。
保健室の窓から、柔らかな光が差し込んでいた。
私はベッドに座ったまま、外を眺めていた。
朝は、あんなに学校から逃げたかった。
今も教室に戻ることを考えると、少し怖い。
でも、朝とは何かが違っていた。
「明日、どうする?」
養護の先生が聞いた。
私は少し考えた。
「……分からない」
「うん。それでいいよ」
また同じ言葉をもらった。
分からなくてもいい。
今すぐ答えを出さなくてもいい。
「A先生」
「ん?」
「明日、教室に行けなかったら……」
「その時は先生に言って」
「途中で苦しくなったら?」
「その時も言って」
「何も話せなかったら?」
A先生は少し笑った。
「『しんどい』って一言だけでもいいよ」
私は小さく笑った。
「それなら……できるかも」
N先生も頷いた。
「それで十分」
私は先生たちを見た。
今日一日、たくさん迷惑をかけたと思っていた。
でも先生たちは、一度も私を責めなかった。
「先生」
「うん?」
「私、ちゃんと助けてって言えるようになりたい」
言った瞬間、少し恥ずかしくなった。
けれど、先生たちは笑わなかった。
「それでいいよ」
A先生が答える。
「でも、言えない日があっても大丈夫」
その言葉に、胸がいっぱいになった。
私はずっと、「助けて」と言えない自分は駄目だと思っていた。
でも違った。
言えない時でも、苦しさは誰かに見つけてもらえる。
先生たちは、私が言葉にできなかったSOSに気づいてくれた。
そして、そばにいてくれた。
保健室を出る前、私は振り返った。
「……また来てもいい?」
「もちろん」
その答えを聞いて、私は頷いた。
まだ怖い。
明日もきっと、苦しくなるかもしれない。
それでも、もう完全な一人じゃない。
教室に戻ることよりも先に。
まずは、自分がここにいていいと思える場所を探していけばいい。
私はゆっくり歩き出した。
今日、先生たちが見つけてくれた私のSOSを、今度は私自身も見失わないように。
――ここから、少しずつ変わっていけばいい。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
この作品は、夢の中で見た場面がとても印象に残ったことから生まれました。
夢の中では、主人公が何度も逃げようとする一方で、先生たちはその変化に気づき、ずっとそばにいてくれました。
私はその姿が心に残って、小説にしてみたいと思いました。
「助けて」と言うことは、簡単なようで難しい。
本当に苦しい時ほど、言葉が出てこなくなることもあります。
だからこの物語では、主人公が言葉にできなかった気持ちを、先生たちが少しずつ見つけていく姿を大切にしました。
夢から始まった小さな物語ですが、最後には「ここから少しずつ変わっていけばいい」という気持ちを残せたらと思っています。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。




