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将門炎舞記 中巻  作者: 浮島太郎
第2章 風を分かつ

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若武者との出会い

国豊は鍛錬を怠らない。

物部の祭祀が終わり、数日が経った。

ふと、馬場の方を見るが、この日は、兼遠の姿はなかった。

だがそこに、一人の若武者が立っていた。

肩幅が広く、目はまっすぐで、どこか将門を思わせる気迫がある。


若武者は国豊に歩み寄り、無遠慮に言った。

御曹司おんぞうしが、物部の大弓で星を射抜いたってか?」

国豊は静かに頷いた。

「・・・其方そなたは?」

若武者は胸を張った。

「我は物部の郎党、志田成家しだなりいえ。若様の弓が見たくてな」

国豊は眉を上げた。

「我を試すか?」

成家はにやりと笑った。

「試すのはお互い様だ。まずは・・・我は馬で、若君は弓で勝負だ」

その挑発に、国豊の胸が熱くなった。

―将門さまと初めて出会ったときも、こんな気持ちだった。


馬場に二人が並ぶと、荒武者たちが集まってきた。

成家は荒馬に軽々と飛び乗り、馬を走らせながら的に向かって叫んだ。

「御曹司! 其方の弓で俺の馬を止めてみろ!」

成家の馬は速い。砂煙を上げ、風を切る。

国豊は弓を構えた。

(兼遠なら、どう射るだろう。)

国豊は深く息を吸い、心で射る感覚を思い出した。

放つ・・・

成家は目を見開き、やがて笑った。

矢は成家の馬の前、わずか数寸の地面に深々と突き刺さった。

馬が驚いて止まり、成家は見事に手綱を立て直した。


国豊は、馬から降り一礼した成家に、

「我は、この地で名を刻む。東国の風に恥じぬ武者になる」

「なればこそ、我がその道を開く手伝いをしよう」

成家は力強く頷いた。

国豊の胸に熱いものが込み上げた。


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