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親切な人たちに出会えた幸運

 わたしの尋問の時の受け答えから、何らかの教育を受けた子供だと推定されたらしい。なので、教会孤児院に照会がいく。


 もちろん、該当者なんて無い。



 金稼ぎのために奉公してた商家ってのはどこだ?と問われたので、子供らしく名前はハッキリ覚えられていない風を演じて、隣国の貿易商っぽかったと言っておいた。これなら、身元の確認など出来ないだろう。

 実際問題、わたしみたいな子供がどこから湧いてきたのかが分からないと、その後の対処が難しいらしい。


 こりゃ困ったなぁと手をこまねいて思案する衛兵たちに、わたしは路銀が底をついただけだ、ほんの少し、乗り合い馬車の路銀を稼げたら旅をつづけるから、何か仕事無いか?と聞いてみた。

 憲兵たちは皆、若くて親切な青年ばかりだった。親身になってくれて、馴染みだという居酒屋の女将に話をしてくれた。



 ところが居酒屋の女将が激怒した。


「こんな小さな女の子に何を言ってるんだい!たかだか馬車で一日の隣街までいくってんなら、あんたらが連れて行ってやればいいじゃないのさ!」

 供述が嘘かどうかも、言ってる目的地に連れて行ってから確認すればいいだろう。


 確かにそれもそうだ、と今頃気づいたわという顔で、衛兵の青年が手を打った。子供の家出かもしれないが、行き先がハッキリしてるなら一度行ってみればいいんだ。

「お嬢ちゃん、俺の非番は明後日だ。それでいいなら送っていってやるよ」

 勤務中は担当区から離れられないから無理だが、休みなら多少の遠出も出来る。衛士のお兄ちゃんは気さくに笑ってくれた。


 二晩くらいならウチに泊まっていきな、と居酒屋の女将も言ってくれて、その親切にわたしは心から感謝した。

「このご恩は必ずお返しいたしますわ」

 膝を曲げ頭を下げたわたしに、衛士のお兄ちゃんと女将さんは顔を見合わせ不思議そうに首を傾げてた。



 泊めてもらった二日間、居酒屋の雑用手伝いをし、ご飯を食べさしてもらって、女将さんや他の従業員、お客さんたちに可愛がられた。

 賄いの作り方も見せて貰ったし支払いのやり方も教えてもらった。全部が新鮮で楽しい。


 お客さんの中にわたしが物乞いしてたのを見てた人もいたらしくて、気になって心配してたんだけど良かったね、と言ってくれた。なんて優しい人たちの住む町なんだろうか。

 ここがフェアネス領の一部ってのが、ちょっとだけモヤッとするけど。



 最後の夜、湯浴みでさっぱりさせてもらい、衣服も綺麗に洗濯してもらった。

 あぁわたし、ココん家の子供になりたいわ……。


 心地良い疲労感と共に、穏やかな眠りについたのだった。






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