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王弟殿下

 王弟からのお茶のお誘いに、うへっとなった。子供を夜中に自分の部屋なんかに呼びつけんなよ…。


「あ、応接室?を、特別に?用意したって言ってましたよ?」

 アビゲイルの適当な伝言に、理不尽に腹が立った。そんな別にありがたくもなんもない事で恩着せられても困るわ。



 前は王弟殿下に会ってお願いしたいと思ってた側だけど、ぶっちゃけ今となっては嫌だ。それくらい、パーティーでの初対面の印象がよろしくない。


 直感的に、肌が合わない。


(フェアネス侯爵の盟友ってのが、致命的なのかなぁ?)

 まぁでも、断れないわな。



 観念して、招かれた応接室に向かう。

 それにしても、王城宮殿内で話せる事なんて限られてない?王弟殿下の立場としたって王太子妃候補かつフェアネス侯爵令嬢のわたしの立場としたって、こんなほぼ公の、どこで誰が聞いてるか分からないとこで腹を割った話なんて出来やしないでしょ。

 王弟殿下がどういうつもりか分からないけど、少なくともわたしの方から王太子殿下との婚約を無しの方向に持って行って欲しいとは、ここでは言えない。



「アンネセサリー・フェアネスです」

 ちょんっとスカートをつまみ身をかがめたわたしを、重厚なソファに座ったまま如才ないニヤケ顔が鷹揚に頷いて受ける。

「やはりロジャーとジュリーの娘だな、所作が美しい」

(フェアネス侯だけじゃなく、母とも親しいのか?)

 あぁ、学園時代からの仲だと言ってたから、父とも母とも同窓生になるのか。


 王弟殿下に関しては、夢の中でもお会いしたことがない。どういう人物か、噂話程度でしか分からない。

 けど、晩餐会でわたしを品定めしてた視線からは、わたしに好意を持ってる人物ではなさそうだ。父と母、両方との馴染みにしては不思議だ。


(侯爵の友人だというから、わたしの事も厄介者だと聞いてて、馬鹿にしてるのかもね)

 そこまでウチの恥部を見せてるとは思わないけど、もしかしたら、わたしの恥ずべき出生の経緯も伝え聞いているのかも知れないね。



 王弟殿下はニヤニヤと笑ったまま、当たり障りのない会話で様子見するように、わたしの反応を窺ってくる。

「君みたいな才媛が、王家の一員になってくれるとは心強いよ」

 軽薄に、思ってもないだろう事を言う。(こんなのが貴族連中から支持されてんの?)と呆れてしまう。

 わたしに対してだけの態度かもしれないけど。


「君の父君とは、学生時代からの悪友関係でね」

 君の事も家族のように感じている。これから仲良く出来たらいいと思っているよ、親しい家族のようにね。

 張り付いた笑顔に笑ってない目。



(あぁヤバい、王太子に取り入ってスパイになれって言ってるわ…)


 王家と侯爵家の婚約成立はもはや既定路線だと踏んで、それなら利用出来る分は利用しようって方針に変わってしまってる。こりゃあ婚約解消の助言求めても、鼻で笑われるだけっぽいなぁ……。


 実際は侯爵家は、どっちかといえば昔の誼で王弟側っぽいだけで、その家の大きさからどちらかに肩入れするのは国の分断を招くと中立を保ってる風をみせてる。

 だから王弟も、なるべく早くハッキリと侯爵家を自陣に引き込みたいのだろう。それには、わたしの動きを押さえておくのも有効だと考えて不思議ではない。


 やっぱ逃げ出すしかないかぁ…、物理的に。



 それにしても王弟殿下は、ちょっとわたしを買い被りすぎてる。

 わたしが王太子妃候補に指名されたのは侯爵が自分の実子である妹を出したくなかっただけで、切り捨てる前提のわたしは王太子を操るとか勢力伸ばすとかの能力を期待されてるわけじゃない。


 なのに王太子側の次期宰相も、わたしを買ってるとか嘘寒い持ち上げ方して、フェアネス侯爵家からあれこれ便宜を図れるように協力しろ、と暗に言ってくる。


 八歳になったばかりの、じゃりんこに。



(やるわけないじゃん、馬っ鹿じゃないの?)







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