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【完結】書籍化決定 愛されなかった社畜令嬢は、第二王子(もふもふ)に癒され中  作者: かのん


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14話

 二時間程度の睡眠の後、オスカーは起き上がると入浴を済ませてから朝の鍛錬へと向かう。


 体を動かすことで頭をすっきりさせることが出来る。


 全身しっかりとほぐしながら訓練を行い、オスカーは一通り終えると水浴びをしてから部屋へと一旦戻り、騎士の制服へと着替えてから兄の元へと向かった。


 結局のところ、昨日の出来事はあの一回だけだったのだけれど、今後どのようになるか分からない。


 早々に獣へ変身してしまうのを、自由自在にできるように訓練しなければならない。


 兄であるルードヴィッヒにはすでに手紙で会いに行く旨を伝えているので、少しくらいならば話す時間があるであろう。


 部屋へと行くと外に控えていた騎士に伝え、それから中に入る許可をもらい部屋へと入った。


 ルードヴィッヒは朝の支度をすでに終えており、オスカーが来たのを見ると、他の者達に下がるように伝える。


 部屋に残ったのは二人だけであり、オスカーは朝の挨拶を済ませると単刀直入に自分の体の異変についてルードヴィッヒに伝えた。


 するとルードヴィッヒは大笑いを始め、ひとしきり笑い終えると楽しそうに言った。


「あはははは! いや、すまん。だが、お前の頭に猫耳は……っく。すまん、どうしても、はははは!」


 楽しそうなルードヴィッヒの姿にオスカーは少しむっとすると腕を組んで眉を寄せた。


 その姿を見て、ルードヴィッヒはどうにか笑いを引っ込めると、コホンと咳払いをしてから言った。


「そうむくれるな。だがそれは困ったな……今まではなかったのに。どうしてそうなったのだ?」


「分からないんだ」


「では、そうなった時、何を考えていた?」


「え? えっと……たしか、メリル嬢のことを……考えて……」


 その言葉にルードヴィッヒは少し驚いたように目を丸くすると、口元に手を当ててにやりと笑う。


「お前が女性のことを考える日がやっと来たか」


「は? あ、いや、そう言う意味ではない! 兄上、からかわないでくれ」


「だが、お前から女性の名前が出ること事態がめずらしいではないか。今まではやれ剣だ、やれ防具だ、訓練、訓練、訓練……私はある意味お前が心配だったんだが、どうやら春が来たようだな」


「な!? 兄上そんなこと考えていたのか? い、いや、春とはどういう意味だ! 違うぞ。言っておくが、メリル嬢とはまだ出会ったばかりで」


「恋に時間は関係ない。それにメリル嬢であれば、家柄もよく釣り合いも取れる」


「だ、だが、その、まだ二人で出かけたことだってない」


「まだ……」


「あ……」


 オスカーは自身の顔を両手で覆うと、大きく、そしてゆっくりと息を吐く。


 何故自分がこんなにも動揺しているのか分からないのだというオスカーの様子に、ルードヴィッヒは驚く。


 弟のそんな姿など見たことがなく、眉を寄せた。


「なるほど……初恋か」


「っ!? ……分からない。今までだって他の令嬢と関わることはあったが、このように相手のことが気になることなどなかった。何が違うんだ?」


 呟くようにそう言うと、オスカーは小さく息を吐いて宙を見上げた。


「兄上が王位を継いだ時、俺は結婚しなくてもいいと思った。俺が結婚をすればいらぬ諍いの原因にもなるだろうし、そもそも異性への興味が俺にはなかったからな」


「私はオスカーの子どもを愛でるのが夢なので結婚してほしいがな」


「……自分の子を愛でろよ……」


 悩むオスカーの姿に、ルードヴィッヒは言った。


「今回の古代魔法信者の件はまだ解決していない。なのでメリル嬢との繋がりもある。せっかくだからこの機会を通して仲を深めてみろ。その上で自分の感情と向き合いどうすればいいか決めればいいさ」


 その言葉にうなずくと、オスカーはため息をついてから姿勢を正しルードヴィッヒへと視線を向けた。


「話は変わるが、王城の仕事について少し聴きたいことがあるのだ」


「どうした」


「メリル嬢が昨日の夜中に突然仕事場に呼び出されてな、それで仕事をしに向かっていたのだ。あの様子だと、今回が初めてではないようなのだが、王城ではそういうことが普通なのか? 騎士団だと日勤、夜勤と分かれているが」


「緊急性の高い何かがある時もあるから、日勤夜勤の勤務体制が取られるのが基本だが、その話の様子だと夜勤というわけではないのか……ふむ。少し調べてみるように伝えておこう」


 それからオスカーは昨日の状況について話しをした。一体何が起こったのかそしてどう解決をしたのか、それを伝えていったのであった。


 それに伴い、魔法陣をメリルが使ったということは、大量に魔力を有していること説明せずにいることは難しく、話さなければならない。


 それは分かっていたのだけれど、その一点に関して、一度メリルと話をしてからと思い、ルードヴィッヒには、調査と確認をしてからそこについては話をしたいと伝えたのであった。


 部屋を出る前、ルードヴィッヒは言った。


「仕事も大事だが、獣人化についてもある程度制御する練習をするように。メリル嬢と交流する時間を持ち、耳としっぽが何故は得たのかについても検証しておけよ」


 ルードヴィッヒはメリルとの心境の変化が体に影響していると考えているようで、そう提案をされたのだけれど、オスカーは部屋を一礼して出てから小さくため息を漏らした。


「交流……か」


 どうすればいいのか、オスカーは頭を掻きながらまたため息をついたのであった。


台風がくる時期がやってまいりました(/ω\)ひえぇぇ!


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