第一話 逆行
続きを書きました。良ければ読んでください。
先ほど見たら、もう数人、評価やブックマーク登録をしてくださった方がいたみたいです。
ありがとうございます。
6/5 23:05 文章を少し変えました。
話の流れは変わりません。
・・・全ての条件を達成、承認を確認します
・・・承認確認が完了しました
・・・構築を開始します
・・・構築終了、???を起動します
・・・起動完了しました
またどこかで無機質な機械音声のようなものが聞こえた気がした。
「あああああああああああああ!!!!!!」
自分の叫び声で飛び起きた。
「はあ、はあ、今のは一体・・・。
ただの夢・・・いいえ、違うわね。夢にしては鮮明だったわ。」
自分のものと思われる、1000回の18年に及ぶ人生と死の記憶が一気に流れ込んできた。
だが、それだけで特に変わった様子はない。
「うーん、あのことも夢のはずないのだけれど・・・」
自分の頼みを聞いてくれるなら、復讐できるようにしてあげるといったあの人との会話を思い出す。
「さて、以上が君に頼みたいことだけれど、引き受けてくれるかい?」
「私に好都合すぎます。本当にいいんですか。」
「うん、いいよいいよ。やっちゃって。僕は今の状態だと手が出せないんだ。君に干渉するのにもかなりの力を使ったからね。だから、引き受けてくれるならとても助かるんだ。復讐が先でいいからさ。復讐のついでによろしくね。
全部終わったら、君の魂だけここに戻ってくるようにしておくよ。お詫びしたいから、何がいいか考えておいて。」
「分かりました。ありがとうございます。」
これで復讐ができる・・・!!
「あ、今から戻ってもらうわけだけど、どこに戻りたい?君の好きなところでいいよ。」
「ループしていたのはどの時点からだったのですか?ずれていたら怪しまれませんか?」
「学園の入学式の前日、君の婚約者と男爵令嬢が出会うちょうど一年前だ。君が処刑される2年前と言った方が分かりやすいか?
ま、どこでも大丈夫だと思うよ。それくらいなら、不審に思われないようにすることができるはずだ」
さっき、手が出せないとか言ってなかったかしら?
それくらい、ってこの人の基準がいまいち分からないわね。
まあ、神様だものね・・・。人間とは比べない方がいいみたい。
でもこれ以上は・・・さすがに・・・。
「いえ、それで大丈夫です。ここまでしてもらっておいて、これ以上手を借りるわけにはいきません。すでにかなり力を使ったとおっしゃっていたではありませんか。」
「う~ん。でも、力を使いこなせるかい?
君が死ぬまでの時間を考えると、短くて1年、長くても1年半しかないのだよ?」
「使いこなしてみせます。復讐しなければ気がすみませんから。」
この憎しみ、忘れてなるものか。今にも狂いそうなくらい、叫びそうなくらい憎しみにあふれている。
でも、少し不安だわ。私が自分が甘い人間だと知っている。
あんなに虐げられていた家族にだって、無駄だって分かってても愛されたかった。
心の底からは憎めなかった。処刑された今は違うけれど。
ルナードだってリアネという女に篭絡される前は尊敬できる皇子様だったのだし、側近の皆様も立派だった。すべて、あの女が出てきてから狂っていったのだわ・・・。
戻るのはリネアに会う前・・・堕落する前のルナードに会ったら憎しみが揺らぐかもしれない・・・
戻ってすぐのルナードはまだ何も私にしていないのだし・・・
「うん、君が今、考えていることは大丈夫だと思うよ。心配いらない。
でももしあれだったら、元婚約者と男爵令嬢が出会って、同じような行動を取り始めたら復讐を開始すればいい。君はもしかしたら、変えられるかもしれないと思っているんだろう?まあ、無駄だって断言できるけど、一応頑張ってみれば?」
「それは、どういう・・・」
「戻れば分かると思うよ?
向こうに戻すの同時に1000回分の記憶もすべて戻しておくよ。頼むから壊れないでね?君なら平気だと思うけど。」
壊れる・・・?
一体、何を言っているのだろうか。
「一応、言っとこうかな。僕の頼みは何があっても絶対にこなしてもらうからね。復讐はどっちでもいいけど。したければすればいいし、もういいや、疲れたっていうならしなくてもいい。」
「復讐は自分の意志です。あなたに言われることじゃない。」
「分かってるよ、念のため、ね。じゃ、契約成立ってことで」
手を取られ、一瞬、焼けるような痛みが走る。
「じゃ、いってらっしゃい。力はできるだけ隠しておくんだよ」
その言葉を最後に、一気に後ろへと流されていく。
「あの、いろいろと、ありがとうございました!!」
手を振ってくれた神様が見えなくなって・・・
視界が白く染まっていき・・・
「夢じゃない・・・現実だわ。」
戻る間際、神様に触れられた右手を見る
銀の文様が浮かび・・・すーっと消えていった。
戻る前とは明らかに違う、強い力を感じる。
「私にこの力を使いこなせるのかしら・・・。さすが直接渡されただけあって、かなり強い。
使いこなせなかったらどうしよう・・・いいえ、やるしかないのよ、私。絶対、復讐するのだから」
それにしても、1000回の記憶は強烈だったわね。どうしてこんなにも繰り返しておきながら何も思い出さなかったのかしら。あの人以外にも誰か・・・。いいえ、今は考えるだけ無駄ね。情報が少なすぎる。
それよりも私が心配していた事態にはならなそうで良かったわ。
1000回も裏切られ続ければ憎しみは揺らぎようがない。
どの記憶も同じような展開なのに、それを変えられるかもしれないという希望を抱くのもばかばかしい。今更無理ね。
壊れないでねと言われたけれど、大丈夫だったみたいね。
確かに、1000回死んでループした記憶がすべて戻ったのだもの。普通なら壊れるのでしょう。
私には復讐の糧にしかならないけれど。
それとも、もうすでに壊れているのかしら?
どちらにせよ、今の私にはどうでもいい。
まあでも、自分で思っていた以上に憎しみが強いみたいなのは確かね。
あの人はすべて見通していたのかしら?
まあ、それはそうとして・・・
いまは・・・午前3時か。起きるにはまだ早いわね。もう少し、寝ておきましょう。どうせまた家族に罵られるのだから。
今にみていなさい、二度とあなたたちになんか期待しない。
1年後が楽しみね・・・
破滅に導いてあげるわ。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
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