episode7『新たな出会い』
episode7
『新たな出会い』
[part1]
『深度1・田園エリア』
田園のド真ん中、ポツンとした駅に電車は止まる。空は暗くなり、地平線の彼方が赤く染まっている。するとnullが目を覚ました。
null「……あれ?僕、寝てた?」
ウミがくたびれた声を上げる。
ウミ「あのな〜大変だったんだぞ?」
3人は電車から降りて、田んぼ地帯を歩く。
ウミは先程の赤い顔の女を説明する。
null「それはタイミングが悪かったね。僕も睡眠なんて初めてだったし」
ソラ「どういう意味ですか?」
nullは歩きながら話す。
null「僕はアベンドだから、睡眠なんて不要でしょ?そのはずなのに意識を失うっていう経験は今までなかった。これは完全に想定外」
ソラ「原因ってわかりますでしょうか?」
nullは珍しく長考する。
null「……コントロールによる反動……世界の理……調律……」
ウミ「あーーもう、つまり結論を……」
null「思考中に話しかけないで……あー調律が乱れた」
ウミ「……まぁいいけどさ、ほら、何か言うべきこと……あんじゃねーの?」
null「君達のコンディションは良好だね」
ウミ「いやいや、もっとこう……」
null「?……想定外の出来事だったからね。君達に負荷をかけてしまったコトは詫びるよ。これからは事前にスリープ状態になることを告知するから」
ウミ「……な、なんか違う……」
ウミはため息をした。
話の話題は先程の怪異に……。
null「赤い顔が写り込んだり、笑い声が聞こえたのは非実体型アベンド、『さえずり』だよ」
ソラ「アベンドだったんですね」
null「そのアベンドは観測することで精神汚染を拡散させる呪いのような存在。まあ、汚染は時間で消えるけどね」
ソラ「え!?時間で治るんですか?」
null「うん、そ」
ソラ「…………」
少し落ち込むソラにウミが声をかける。
ウミ「結果、オーライ……ってやつ。気にすんな」
[part2]
田んぼ地帯は涼しい風と秋の虫達が音楽を奏でていた。
ウミ「なーんもねーじゃん。DDあるの?」
null「あるよ」
ウミ「……お、おう」
途中で道がなくなり、畑を踏みながら歩いていく。
ウミ「ソラ、スカートの裾、大丈夫か?」
ソラ「汚れませんよ?私達、魂ですから」
ウミ「あーそうだった」
更に歩くと大きな河川が。
ウミ「これ、迂回できないか?」
ソラ「このまま水に浸かりながら渡りません?」
ウミ「(呆れながら)おい〜〜一応俺達だって人の子なんだからよ〜」
null「そうだね。視界不良は不意を突かれやすい……例えば水の中から……とかね」
ウミ「怖いこと言うなよ」
ソラは川に近づき、撮影する。
ソラ「……危ないですね。水の中に黒い子供のような影がたくさん写りました」
ウミ「うわ……」
nullも水面を眺める。
null「あー」
ウミ「お前のお得意の力でなんとかならんの?」
null「『不可解領域』のこと?そんな乱発できたら僕、最強になっちゃうじゃん」
ウミ「現に最強だろ……いいや。(剣を生成しながら)やるしかねーな!」
ウミは水面に斬撃をいれる。その刹那、水の中から笑い声と共に大量の黒い影が姿を現す!!
ウミ「虫みてぇなヤローだな!!」
彼は斬撃を続けて黒い影を処理していく。ソラも応戦しようとするが……。
null「ソラは地上の敵を処理して?僕は近づく奴らを片付ける」
ソラ「地上?」
ソラは言った直後、地面から複数の黒い影のアベンドが出現!顔は笑顔だ。それぞれ刃物、銃、そしてチェーンソーを所持している。
ソラ「こっちも!敵だらけです!!」
ウミ「川側は任せろ!!」
川辺にウミ、陸側にソラ、そして双方をアシストするnull……激しい攻防が始まった。
ウミの斬撃から逃れたアベンドをnullが瞬間移動で接近!ナイフを刺すこむと影は消滅する!次にソラの撮影による攻撃……人型の影は怯む。しかし、銃を所持したアベンドがソラに発砲!ソラは……弾丸を撮影して消去する!
ソラ「グリッチ因子のおかげか動体視力がよくなってます!」
null「親に感謝だね」
nullはチェーンソー持ちのアベンドに高速接近!喉元にナイフを刺す!それと同時に拳銃を生成し、川辺のウミ付近のアベンドに発砲!敵を蹴散らす。
null「片付けるより、散らかしてるね」
ウミ「あぶねーよ!?クソ野郎!!」
ウミの罵声が飛ぶ。
null「君には当たらないよ?僕、下手くそだから」
ウミは無視して川に飛び込み、回転しながらアベンド達を切り刻み、薙ぎ払う!
更に遠い視界に四つん這いの影が複数こちらに迫ってくる!!アベンドの増援だ。
null「ソラ、こいつら素早いけど撮影できる?シャッタースピードは速くしてね」
ソラ「できます!!」
ソラは四つん這いのアベンド達をカメラで捕捉して撮影!
ソラ「ああ!ブレてます!!」
四つん這いを何体か追い払うかソラに接近を許してしまう!
ソラ「!!?」
金切り声を上げて鋭利な刃物を振りかざす!ソラは……バク転をしながら回避、更に空中でカメラを構えアベンドを撮影!!四つん這いは叫び声を上げて消滅する。それを見てnullは感心する。
null「グリッチ因子適合者の動きはひと味違うね。recefiaが目につけている理由があるわけだ」
ウミ「手ぇ、動かせ!手!!」
ウミ側の無数のアベンドも大分数が減らせたようだ。
null「うん、動かす」
そう言ったnullはコートの裾の中から黒い影の手を生やし周囲のアベンドを切り裂く。フリーの両手はソラを襲うアベンド達にナイフを投擲して支援。
null「(アベンドに対して)君達、重罪だね。コーヒータイム妨害罪……広告配布営業妨害罪……僕の調律を乱し罪……パパっと消えてよ?申し訳ないけど」
nullから生やす黒い手はアベンド達を容赦なく解体していく。
ソラ「(やや、ドン引きしながら)null君……流石に性癖の暴力ですよ……」
…………3人の猛攻により、黒い影達は片付けられた。
回収したDD
『リスト』
有害型、テキストファイル
・名前と年齢が100人程表示される
『ばいばい』
思念型、動画ファイル
・子供向けイラストの少年少女がひたすら手を振っている動画、時刻は夕方のようだ
null「『リスト』の年齢、全員バラバラだね」
ウミ「気味わりーな」
ソラ「何か法則があります?」
null「有害データ……犯罪者リスト?でも子供も混ざっている……おそらくネガティブな情報だと思うけど」
ウミ「ネガティブ……なぁ……まさか……」
ウミの一言で全員が察する。一同は黙り込む。
しかし、nullが言葉を放った。
null「川……への飛び込み」
ソラ「……やめましょう!」
null「次に『ばいばい』。教育テレビの切り抜きかな?」
ソラ「これ……CMですよ。現世でよく流れてました」
ウミ「あー、そういえば見たな」
ソラ「でも……よく思い出せません」
ウミ「まーアレじゃね?スポンサーが自粛すると流れるCMあるじゃん?」
ソラ「ありますね。多分そうです」
null「じゃあ、ロジカルに考えよう。これらと『しあわせさま』の関連性は?」
全員で再び長考する。
null「『しあわせさま』が現世に降臨。人々を笑顔にした。『リスト』、『ばいばい』に『しあわせさま』が間接的に関わっていると定義したら?」
ソラ「神様が降臨したことによる……笑顔の弊害ですか?」
ウミ「まだ憶測しか語れないな」
null「そうだね。もっと情報が必要」
3人は先へと急いだ。
[part3]
田園エリアを抜けると暗い森にたどり着いた。
nullがライトを照らし前方を確認する。
null「建物が見える」
ウミ「建物?」
ソラ「教会っぽいですね」
ウミ「廃墟か?」
null「いや、古びてる様子はない」
森を抜けると教会があらわになった。外観は木造建築で街灯があり、綺麗に整備されている。
ソラ「ここは……普通ですね」
ウミ「警戒は怠らないけどな」
null「(扉に近づいて)鍵は開いてるみたい」
ソラ「入りますか?」
nullは扉を開ける。そこには広いホールのような空間があった。奥の祭壇にステンドグラスの光が反射している。
そして……白髪に近い水色のロングヘアーの少女2人がお互いの手を繋ぎ、微笑んでいる。少女達の格好は赤色のドレスと青色のドレス。彼女らは双子であった。
青色服の少女「フセ……必ず守ります」
赤色服の少女「……それは……こっちのセリフだ……リミ」
リミ、フセと呼ばれた双子、そして教会。この空間はあまりにも異様だった。
episode7
END




