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episode33-1『絶海の孤島』

episode33-1

『絶海の孤島』



[part1]


『深度1・虹と青空の草原エリア』


null、ソラ、ウミはツカサの捜索をする。

ソラはカメラでツカサの残した足跡を追跡するがとある問題が……。


ソラ「痕跡が上空に向かってます……!」


ウミ「(俺達)空に行くのか!?どうする!?」


その問いにnullは黒い巨大な箒を生成する。


null「これで飛ぶ」


ウミ「でか!」


思わず叫ばずにはいられない程の巨大な箒、全長3mはある。


null「ソラ、カメラを動画モードに変更、常時撮影してくれない?」


ソラは頷き、カメラを弄る。


ソラ「OKです!」


nullは箒の先端に腰掛ける。ソラとウミも続く。


null「空中散歩ツアー開始」



箒は瞬時に高度100m程上昇。辺り一面に虹と青空が広がる。ソラは片手でカメラを所持、ウミも必死に箒にしがみつく。


ウミ「お前(null)、空飛べるのかよ!?」


null「コスパ悪いから今まで使わなかっただけだよ」


3人は高速で風を切りながら進むと……。


ソラ「ノイズが激しい場所が見えますよ!?ツカサちゃん、多分ここです!」


ウミ「信じていいのか!!?」


null「君(ウミ)より信憑性高い」


ウミ「おい……」


そんなやりくりを繰り広げながらノイズに接近!空間移動が発生する!!



[part2]



気がつけば箒に乗っていた3人は何故か海面のボートに座り込んでいた。時間帯は夜で周りは霧に囲まれ視界が悪い。ウミはこの光景に呆れる。


ウミ「ホント、コレだよ……意味わかんね」


null「もう慣れたでしょ?」


木製のボートでオール(漕ぐやつ)を手に取り、ゆっくりと前進していく。


ソラ「(カメラを覗く)方角はこっちですね」


nullはオールを使ってソラの指示に従う。しばらく漕いでいると前方に大きな島……そして古い西洋の建物……。


ウミ「洋館……?」


ウミの言葉に対してnullが反応。


null「絶海の孤島……ってやつ。殺人事件の舞台だね」


ウミ「絶対ここ……加害者しかいねーだろ……」


彼はため息をする。ボートで岸辺に近づき、上陸する。


ソラ「ツカサちゃんの痕跡は洋館に続いてます」


3人は洋館の門を開けて庭に入り、そしてご立派な玄関を見つける。ドアノブに触れるとドアは重厚な音を立てて開いた。




『深度1・孤島の洋館エリア』



エントランスホール。洋館は西洋の建築で豪華な装飾品や絵画が至る所にある。2階建て構造のようだ。nullはライトの明かりをつける。ソラはカメラを構え、ウミも剣を手にする。


ソラ「痕跡……階段の裏……です」


ウミ「裏?」


2階へ上がる大階段の裏手部分にツカサの痕跡であろうノイズが濃く走る。一同はそこに向かう。


ソラ「痕跡の先は黒いドア……」


ウミは直ぐにドアを調べる。


ウミ「ダメだ。開かねぇ……」


するとnullが。


null「ソラ、黒いドアを撮影して?」


ソラはnullに従う。


ソラ「(撮影)小さな赤い木と青い花が写りました」


ウミは頭を掻く。


ウミ「なんだよ。力づくでなんとかなんねーのか!?」


null「ただツカサを帰すだけなら力づくでもいいけど……まー一筋縄にはいかないと思うし……」


ウミ「はぁ……わかった、わかった。探しますよ……ったく」


ウミは諦める。


一同は左手側のドアを調べて開ける。ドアの先は薄暗い廊下。廊下の窓からは月明かりなどもなく、心もとない白熱灯が灯っている。ライトで辺りを照らすと廊下の右側にドアが複数ある。しかし、開けることはできなさそうだ。


ウミ「前しか……ないか」


先陣を切ってライトを手にするnull。突き当たりのドアに触れようとしたが……。


null「?」


ドアには無数の歪んだ人の顔が写りこみ、nullを睨む。すかさずソラは撮影。


ソラ「ダメです。触れると怪我するかもしれません……」


ウミ「おいおい……じゃあ引き返すしか……」


nullが首を横に振る。


null「後ろもダメだね……閉じ込められた」


ウミ「!?」


ウミは慌ててエントランス側のドアへ向かう。


ウミ「こっちも顔だらけだ……!」


「オォォォォォン!!」


電子音のような獣の雄叫びが廊下に響き渡る。戦闘態勢に入る3人。開口一番にウミが叫ぶ。


ウミ「天井にいる!!」


天井を見上げると細長い黒い影、顔の部分に白いお面をつけた物体は音を立てずに静かに忍んでいた。


null「『クリーパードッグ』……2体……」


ソラ「それって殺意を感知して反応するアベンド……ですよね!?」


null「そう」


nullは続ける。


null「捕食行動時のみ無防備になる敵。今の所は……」


ウミ「今回はちゃんと解析してくれ」


null「……できるかな」


ソラ「え?」


nullは周囲を確認。


null「まだいる……不可視な奴が……」


ぐわーん、ぐわーん、ぐわーん、ぐわーん。


機械的な無機質な音がエントランス側のドア周辺から聞こえてくる。ウミは顔色が青くなる。


ウミ「……マジ……か」


null「『シュレッダー』。不可視で斬撃を与えてくるアベンド。音に反応する奴ね」


シュレッダーから放つ機械音がこちらに近づいてくる。


null「時間がない……こりゃ」


3人が限られた時間の中で試行錯誤する。するとnullが口を開いた。


null「クリーパードッグに接近して一斉攻撃」


ウミ「は?」


ソラ「でも殺意で反撃してくるんじゃ!?」


null「指示通りに動いて!!」


ソラとウミは戸惑いながら、影の犬に接近、攻撃を行う!!


カメラの撮影と剣による剣戟。2体のクリーパードッグは……殺意を感知してかすりもしなかった。そして敵の反撃が襲ってくるその刹那!


null「進行方向に避けて!!」


一同は突き当たりのドアまで素早く移動!クリーパードッグの攻撃を回避!そして……。


ザン!


2体のクリーパードッグは不可視の斬撃によってバラバラにされた。


ソラ、ウミ「!!?」


ソラとウミはこの状況に困惑したがウミが察した。


ウミ「音による陽動でシュレッダーが反応して犬どもを攻撃したってことか……」


null「正解」


しかし、ソラを疑問をnullにぶつける。


ソラ「いえ……でもそれはおかしいですよ?クリーパードッグって殺意を感知して普通避けるんじゃないですか?」


nullは淡々と返答。


null「鋭い指摘だね。でも若干解像度が低いよ?」


ソラ「え?」


null「シュレッダーは存在そのものが破壊行動を取る。つまり、殺意が無いんだ。地震や台風に殺意が無いのと同じこと」


nullは続ける。


null「殺意を感知できないクリーパードッグはなす術もなく、シュレッダーの攻撃が命中するって訳」


ソラ「あー!」


ソラは妙に納得をした。


ぐわーん、ぐわーん、ぐわーん、ぐわーん。


シュレッダーの機械音がまだ部屋に響いている。


ウミ「どうするよ?」


nullは進行方向のドアを覗く。無数の顔は消えていた。


null「進もう……」


ウミ「オーケー」



[part3]


廊下を抜けると広い部屋に出た。天井は高く、シャンデリア、カーテン付きのベランダ、部屋にはピアノや大きな暖炉が置かれている。しかし、全て埃が被り古めかしい雰囲気。


ソラ「ここは……客間ですか?」


ウミ「だな……」


3人は警戒しながら先へ進む。すると……。


null「また閉じ込められた」


ウミ「なに!?」


nullがポツリと呟くとドア付近に無数の顔が浮かび上がる。ソラとウミは武器を構える。


ウミ「クソ!またかよ!」


ウミが呆れながら叫ぶと前方、地面に魔法陣が展開、2体の謎の物体が出現する!!


null「ん?新種だね……見たことない……」


ウミ「マジか!!でもやることは一緒だ」


ウミはソラを見つめる。ソラは覚悟を決めて頷いた。


ソラ「ツカサちゃんを見つけないと!!」


null「もちろん」



3人は新種のアベンドを観察。1体は赤い枯れ木のような物体、もう1体はかなり異形な姿をしていた。

その姿は人型の黒い影だが、首先が無い。首の根元から青い綺麗な花が咲き誇っている。


null「うわ……キモ」


すぐに2体のアベンドは戦闘態勢に入った。赤い枯れ木は触手のような枯れ木を伸ばし、部屋を枯れ木で覆う!それと同時に青い花が咲いた人型は金切り声を上げる!!


ソラとウミは思わず耳を塞いだ。nullは平常運転。


金切り声と共に部屋に大量の黒い人型のアベンド(通称スマイル)を召喚する!!


ウミ「おいおいおい!数が増えてんぞ!?」


ウミは怒鳴り、nullにぶつける。


null「とりあえず、解析したいから24時間耐久レースがんばって」


ウミ「3分でやれ!!」


ウミの罵声と共にスマイルは飛び掛ってくる!!

ウミは剣戟でスマイル達を薙ぎ払う!!しかし……。


ガキン!


不可視な壁にウミの剣が弾かれた!!そしてスマイルの反撃!!


ソラ「ウミ君!!」


ウミがスマイルの攻撃を許すその瞬間にソラがカメラで撮影!スマイルは一瞬怯み、ノックバックをした!


ウミ「え!?なんだよ!!?通らねーじゃん!」


null「いつもと違う……」


サク!


nullはスマイルに手にしたナイフで突き刺す。スマイルは断末魔を上げて消滅。


null「あーなんか新種のアベンドのせいでシールドが展開されるっぽい……ウミじゃ火力不足……」


ウミ「火力不足!?」


若干ウミは凹んだがめげずに別のスマイルへ追撃をする!が。


ザザザザザザ!!


ウミの地面から突如、棘のある枯れ木が発生!伸縮させてウミを貫こうとする!


ソラ「まずい!カメラ……!」


ウミはバク転で避けた!


ウミ「大丈夫だソラ!俺は相手の先の行動が勘で分かる!!自分の心配をしろ!!」


ソラはすぐに順応し、新種のアベンドかスマイル達のどちらへ攻撃するか悩む。nullがアドバイス。


null「スマイル達の攻撃は自力で避けて、新種を狙って」


ソラ「は、はい!」


ソラはすかさず赤い枯れ木を撮影!枯れ木は怯む!しかし、その隙に青い花のアベンドが咆哮を上げる!


ソラとウミは再び耳を塞いで汚染に抵抗!なんとか耐えたが……。


null「もっとシールド展開が強くなった……ソラの攻撃じゃ通らないかも……」


ソラは驚愕してスマイルをカメラで撮影。しかし、やはり不可視のシールドが攻撃を阻んでしまった。


ウミ「(剣で攻撃しながら)駄目だ!弾かれる!」


null「一旦、壊滅させよう」


nullはコートの下から無数の黒い手を生やし、スマイル達を貫く!スマイルはノイズになって消滅。


null「これだと解析ができない……」


nullの愚痴と共に青い花の人型アベンドが咆哮。再度、スマイル達を出現させる!!


ソラ「ああ!また!!」


ウミ「いや!今だ!新たなスマイル共なら攻撃は通るはずだ!俺も気合で殴る!!(剣で)」


ソラ「バフが無ければ通るってコトですね?」


null「バフ?」


ウミ「null!スルーしろ!」


null「うん」


そんな会話のやり取りをしていると枯れ木が振動!壁に覆った枯れ木が牙となり、全員を襲いかかる!


ソラは一つ一つを動体視力で躱し、ウミは剣で全て弾いた!


ウミ「こんなのやってられるか!?null!『不可侵領域(nullの支配能力)』で!?」


null「もったいない(きっぱり)」


ウミ「ハァァァァ!!?」


nullも涼しい顔でナイフで枯れ木の棘を切りさばく。


null「ほら……君達、気合で攻撃して?対象はスマイル固定で?」


ウミ「あーそうかよ!!」


ソラとウミの気合の攻撃でスマイルのシールドを看破してダメージを与え、青い花の咆哮前にスマイルを消滅。nullはその隙に新種のアベンド達に瞬間移動、ナイフで刺す!


新種のアベンド達は金切り声を上げながら大きく怯んだがまだ倒せる気配はない。そしてカウンター。


赤い枯れ木のアベンドの力強い棘の突きをnullが受けた!


ウミ「null!」


nullの表情は変わらない。しかし、身体からノイズがこぼれる。


null「解析やっと終わった……24時間じゃなくてよかったね」


ウミ「早く!」


ウミは赤い枯れ木の猛攻を避けながらnullに聞く。


null「解析結果、『レッドツリー』と『ブルーフラワーヘッド』。レッドツリーは部屋を拘束して全方位からの棘攻撃を多用。ブルーフラワーヘッドは雑魚どもにシールドを展開、防御力を上昇……それと雑魚どもの召喚」


ウミ「雑魚!?スマイルか!?硬かったら雑魚じゃねーよ!?」


null「じゃあレベル不足だね……」


ウミは枯れ木の攻撃を弾きながら文句。


ウミ「知らねーよ!!」


「ホォォォォォ!!!!」


ブルーフラワーヘッドから咆哮。またしてもスマイル達を召喚させる!


ソラ「これ無限ループですよ!?」


ソラが嘆きnullがいつもようにスカして返事をするはずだったが……。



ザザザ!



空気が凍る。空間の様子がおかしい。



null「ん?この部屋、変」



nullは辺りを見つめると白黒のノイズがチラチラと写ったり消えたりした。


null「これ……まさか……」


nullは一瞬、嫌な感覚を味わった。具体的にはvoidに閉じ込められた時の感覚。


null「調律……長期滞在……異常……イレギュラー……」


ソラとウミは再びスマイル達へと攻撃。なんとか無数のスマイルを撃退。


nullが突如、ソラ達に問う。


null「今、地獄……後で地獄……どっちがいい?」


ウミ「はぁ?」


null「(アベンドを躱しながら)どうする?」


ソラ「え?……どうするって……」


困惑しながらシャッターを敵に切るソラ。nullはため息をする。


null「もう少し具体的に言おう。『不可侵領域』を今使うか……ツカサの為に後に取っておくか……後者の場合、君達はこれからぐちゃぐちゃにされる……」


ソラ、ウミ「…………!!?」


2人は言葉を失う。しかし、時間の猶予はない。既にレッドツリーの枯れ木が地面から無数の棘を次々と発生、ブルーフラワーヘッドが咆哮で新たなスマイル達が召喚している。


ソラは苦渋の表情を浮かべたが、決断を述べた。


ソラ「ツカサちゃん最優先……今は耐えましょう……」


ウミ「ソラ……」


nullは無表情のまま。


null「わかった……」


nullはナイフと拳銃を駆使してスマイル達を牽制しつつ、黒い手でレッドツリーとブルーフラワーヘッドを切り裂いた。


レッドツリーとブルーフラワーヘッドはノイズとなり、消滅。しかし……。



バシッ!



空間が変異する。視界が真っ暗になり、世界が白と黒に支配された。


♪~♪~♪〜


三拍子の陽気な音楽が流れ始める。声は非常に電子音でどこか子守唄のような、または鎮魂歌のようにも聞こえる。


ソラ「これ……なんです……?」


ウミ「視界が……色が……無い……!?白黒しか……!?」


白と黒のノイズ塗れの世界……。


♪~♪~♪~


気が抜けたような音楽と状況が全く合ってない。残ったスマイル1体、体中にグリッチアートのようなノイズをまき散らす。


null「1体か……まだましか……」


ウミ「まし……?」


スマイルは不敵な笑み浮かべながらゆっくりと3人に近づく。ソラとウミは最大限に警戒して武器を構える……しかし。


シュ!


あまりにも早い斬撃がソラを切り裂いた……。


ソラ「……!?」



ソラの首が……飛んだ。



♪~♪~♪~


部屋中に陽気な音楽がゆったりと響く。ソラの綺麗な白い服が……赤になった。



ウミ「ソ……ラ……?」



nullはその光景を見つめている。ソラの首元から小さなカメラレンズがうねうねと生えてくる。大元の首はノイズとなって消えた。


ウミ「……あ……ああ……」


ウミは目を見開き、口を開けたまま。


♪~♪~♪~


null「空間が異常状態……イレギュラーに移行した……」


nullの言葉を理解できないウミだった。



episode33-2に続く

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