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episode25 『異変』

episode25

『異変』




[part1]


明日には再び世界の調査を始める……。


nullを含む全喫茶店メンバー(ソラ、ウミ、ナギ)はそれを同意していた。


深夜帯、カウンターでいつものように砂糖塗れのコーヒーを嗜むnull。店主のrecefiaも平常運転だ。


……しかし次の瞬間、異変が起きた。


バチンッ!!


突如、照明がダウンする。nullはマグカップをテーブルに置いて周囲を確認。


null「recefia?ブレーカー戻して?」


店主の反応はない。


null「recefia?」


nullはカウンター越しをライトで照らすとrecefiaがいない。nullはため息をしてスマホを取り出し彼女に連絡する。


null「………………」


null「『お掛けになった電話番号は現在使われてません』……ってさ」



nullが漠然としていると2階からソラとウミが駆け下りて来た。


ウミ「なんだ!?」


null「recefiaがいない……ナギはいる?」


ソラは首を横に振る。


ウミ「とりあえず明かりをつけよう!敵とか紛れこんでないよな?」


nullは少し黙ってから言う。


null「たぶん……ね」


室内も外も異音なようなものはない。


一同はブレーカーがある配電盤を見つけてレバーを上げ下げするが……。


ソラ「ダメです……ね」


ウミ「なんでだよ!?そんなアナログな世界じゃねーだろ!」


null「…………だろうね」


ソラは背筋を震わせながら口を開く。


ソラ「まさか固有空間……とかに囚われて……」


nullはライトを手にしながら答える。


null「recefiaがその辺のアベンドの固有空間に飲み込まれる?……いや、ないない」


ウミは腰に手を当てる。


ウミ「んじぁこれ……なんだよ?」


null「……わかんない」


ソラ「わかんないって」


nullはいつも以上に深刻な表情をする。


null「(独り言のように)recefia……仕事してよ」


ぶつくさ文句を言うnull。


ウミ「このまま夜が明けるまで一晩過ごすか?それとも……」


null「いや、窓やドアの開閉、地下室、2階の客室を調べよう」




一同は玄関や窓に触れる。


null「ビクともしない……力でも無理そう」


ウミ「つまり、空間そのものが?」


null「だろうね……」




次は2階の客室(ソラやウミ、ナギなどの部屋)、客室は6部屋用意されている。しかし。


ウミ「(ドアノブを回す)ダメだ」


暗闇はずっと続く。頼りになるのはnullのライトのみ。いつもの安息地が闇に染まるだけでそれは異常に溢れかえっていた。


ソラ「あ、シャワー室……」


ウミ「あ、そうだったな」


シャワー室は……何故か開いた。



凄惨な状況だった。


シャワーヘッドから真っ赤な液体が雨のように振りかざす。


ウミ「うわっ!!なんだよ!!?」


慌てて水栓を止めるが……液体は止まらない。


null「出よう……よくない」


ソラとウミはnullの言う事に従った。




廊下に出る。相変わらず、電気はつかないまま。他に調べられる所は……。


null「地下室……行こう」


一同は1階店内の厨房から繋がる地下室へ向かった。ハッチを開けてハシゴを降りる。


地下室は漆黒の闇だ。ただだた何もない空間が広がっている。壁は無骨なコンクリート。


ソラ「こんな所……あったんですね」


null「recefiaには内緒だよ?彼女のプライベートルームだから」


ウミ「何もねーのに?」


null「そう」


nullがライトを照らして探索。そこまで広くない為、探索はすぐに終わる。


ウミ「いや、ねーじゃん」



キーン。



突如、全員に甲高い金属音が響き渡る。更にスマホが振動し始める。


nullはスマホの画面を見つめる。


…………非通知着信が100件以上入っていた。


null「キモ……」


ソラやウミはいつでも戦えるようにカメラや剣を持ち続けている。


ウミ「ワケわかんねぇ……」


正直nullも余裕はなさそうだ。


null「絶対安息地……『Point nemo』。アベンドが侵入するなら流石に僕もキレると思う」


ウミ「キレるな」


ウミの軽快なツッコミ。


甲高い金属音と共にトランペットを低音にした地鳴りのような……金属を引きずる音が下から響き始めた。


ソラ「アポカリプティックサウンド(世界を終わらせる天使のラッパ音)……」


ウミ「……あったな……そんな都市伝説」


null「地下室もダメだね」




一同は1階の店内へ戻る。そこはもういつもの喫茶店の空気ではない。



コンコン。



玄関からノック音が。


ウミ「recefiaか?」


null「違う」


nullの一言は少しだけ早口で放った。


ソラ「やっぱり……シャワー室……怪しいですよね?」


null「あんまり行きたくないけど……」




一同は2階へ向かう。


階段を登り終わる途中でウミが……震えながら呟いた。


ウミ「なあ?この喫茶店……ってさ?」





ウミ「3階…………ないよな?」




nullとソラは頷く。


null「ないね」


だがおかしい。明らかに3階へ続く階段あるのだ。


低く重厚な金属音が世界に響き渡る。時折、謎の唸り声が重なって耳を襲う。


null「行こう……」


ウミ「マジか……」


するとnullが自信なさげに言う。


null「あのさ……風の噂だけど……」


ソラ「なんですか?」


null「……まあ、いいや。その時言うよ」


ウミ「まったくよぉ……」


ウミはやれやれとため息をする。




3階へ登り、廊下に出る。廊下は漆黒の闇。


高音と低音の金属音、唸り声が止まらない。


特に部屋は無く、突き当たりにドアがあるだけ。前方にライトを照らしながら進む一行。


nullはドアノブをひねる。酷く腐食して錆びた音が聞こえた。奥の廊下に侵入。



突如ライトが付かなくなる。



ウミ「おい、ライト」


null「アレ?」


ボタンを何度も触ると再び明かりが付く。


null「ついた」




明かりを付けた瞬間、





そこは悪夢のような世界に変貌していた。




視界を支配するのは、深淵のような絶対的な暗闇と、巨大な赤い泡。


壁も、天井も、そして足元に至るまで、無数の円形の泡が蠢くように層を成し、空間全体を埋め尽くしている。


闇の中から浮かび上がる赤い泡の一つひとつが、まるで生き物のように不気味な光を放ち、周囲の空間を重苦しい熱気で満たしている。



ソラ、ウミ「…………!」


言葉を失う。


しかしnullは口を開いた。


null「やっぱり……そうだ」




null「『深度2・void(ヴォイド)』」




episode25

END

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