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episode24 『反省会』

episode24

『反省会』



[part1]


ウミ「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っーーー!!!」


喫茶店『Point nemo』の自室で嘆き叫ぶ彼。


ウミ「これじゃ!俺が猿じゃねーかよ!!!」


ベッドの枕に顔を乗せてバタバタする。



あのあと、ソラとウミはnull、ナギと合流し、2人の疲弊から喫茶店に帰還した(いつもの転移能力で)。その時のnullの会話を反芻するウミ。



『回想』


null『君達が巻き込まれた固有空間は擬態のアベンド、『ミミック』だね』


ソラ『『ミミック』ですか?あの宝箱の?』


null『いや、ミミックって擬態の意だから……えーと、説明すると……現世に擬態したアベンドだよ?』


ウミ『現世に擬態……?アレが?』


null『君達の帰りたい欲、平穏な日常への願いをうまーく突いてきた厄介者』


ソラとウミは話を聞いている。nullは続ける。


null『擬態を見抜けず、願望に溺れると記憶や能力すら奪われて……ようは人間らしくなっちゃう』


ウミ『うっ……』


ウミは気まずい感情に襲われる。nullは……無慈悲にも……直球に彼に質問する。


null『ソラと一緒だったみたいだよね?……大丈夫だった?』


ソラとウミは顔面が沸騰してしまった……。そこで今まで黙っていたナギが薄ら笑う。


ナギ『ニヤニヤ……ニヤニヤ』


わざと口で発言して2人を煽ってくる。


ウミは沈黙を続けたがシビレを切らしてソラが口を開いた。


ソラ『大丈夫です!全年齢対象で……済みました』


ウミも便乗する。


ウミ『そう!……そう!!!全年齢対象だった!!いや!マジで!!』


null『ふーん』


nullは相槌をする。そこまで関心はなさそうだ。


null『まあ、そうじゃなかったら……喫茶店に帰れてないからね……』


ウミ『そ、そうだな……』


ウミはあの公園(状況)の先を想像したが、恐ろしすぎてすぐにやめた。それとnullは付け加える。


null『ようは……『ミミック』の固有空間を上回る力の双子(リミとフセ)のアベンド……彼女らが空間を書き換えたんだよ』


ソラは目を細める。


ソラ『そうですね……』


null『運がよかったね』


ナギがnullに質問する。


ナギ『それ……色んな意味で!?』


null『そう……』


再びソラとウミは気まずそうになる。


『回想終了』




ウミ「あー!!もう!!そんなんじゃねーのに!!!」


ウミは自分を責め続ける。わかっていた。記憶を失い、人間らしさ(欲求など)を取り戻した先に何があることを……。


ウミ「…………ううぅぅぅーー!!」


それだけ極限状態だったと言えばそれは言い訳にもなる。彼はなんとかあの状況に理由を探したが……やはり……答えは1つだった。


……でもその答えを彼は濁し続けた。


ウミ「……ソラに謝るか……」




[part2]


ウミはソラの部屋を訪ねる。彼女は意外にも招き入れてくれた。


ウミ「ソラ……」


ソラはすぐにゲーミングチェアに座る。そしてぶつぶつと呪文のように呟いた。


ソラ「解釈違いです解釈違いです解釈違いです解釈違いです解釈違いです解釈違いです解釈……」


ウミ「ごめんって!!」


するとソラは首を横に振る。


ソラ「そーじゃないんです!!私の行動が解釈違いなんですよ!!」


ウミ「ん?」


ソラ「15年の激重感情百合厨が男に走るわけないじゃないですか!!?」


ウミは困惑しながら少しだけ淋しい気持ちになった。


ソラ「推しに人生を捧げている私がそんな本能の欲求で動くわけない!!アレは私じゃありません!!」


ソラ「全部アベンドの仕業ですよ!!?大体ウミ君、テストステロン無さそうじゃないですか!?」


ウミ「テストステロン?男性ホルモン?」


ソラ「あのウミ君はおかしいです!!別人なんです!!あの時だけなんか出てたんです!!」


ウミ「はぁ!!?」


ソラは手を振りながら熱弁する。


ソラ「もし!あの時に地震が発生しましたら私は一生推しを推せなくなってしまいます!!だって!推す度にウミ君の面を思い出してしまいそうなので!!」


ウミ「地震!!?俺の面!!?ひでーな!オイ!!」


ソラ「忘れましょう!忘れましょう!忘れましょう!!」


ウミはソラの暴走に耐えきれず、呆れて部屋を出てしまった。




[part3]


ガチャン。


nullはカウンターでコーヒーをすすっていると黒い三角帽子の自称魔女が来店した。


null「いらっしゃい……邪魔ならどくけど」


ツカサ「……構いませんわ」


null「あそう」


ツカサは一番端のカウンターに座る。


recefia「ご注文は?」


ツカサ「バームクーヘンとカフェラテ……」


recefia「砂糖は?」


ツカサ「……察しなさい」


recefiaは頷いて調理に入る。



null「で?僕達と行動する気は?」


4席ぐらい空いた距離でnullがツカサに話しかけた。


ツカサは無視してそっぽを向く。


しばらくするとカフェラテとバームクーヘンがテーブルに置かれる。もちろんコーヒーは砂糖入りだ。しかし、彼女は更にスティックシュガーを数本投入した。


null「不健康だね」


ツカサ「あなたに言われたくない……」


null「僕は良いんだよ」


ツカサは再び無視をする。そしてバームクーヘンを吟味するように見つめる。


ツカサ「バームクーヘン……」


そう呟いてフォークを手にして生地の外側を削り、器用にフォークで乗せて食べる。


null「独特な食べ方をするね」


ツカサ「昔からこの食べ方ですわ」


少し機嫌が悪くなるツカサ。でも不思議と表情は穏やかだ。


nullは一応彼女を気遣い、外出をする。




ツカサはカフェラテを半分ぐらい飲み干した。


ツカサ「……支配……支配……支配こそが……支配……でも」




ツカサ「……もう、支配するものが……ない……」




どこか複雑な表情を浮かべている。




食べ終わるとツカサは席を立った。


recefia「記憶を探しに行くのね」


ツカサ「…………」


するとrecefiaはとある提案をする。


recefia「現世に帰りたい意志が強ければ……記憶を完全に思い出す必要はないわ」


ツカサは黙っている。


recefia「その記憶は……本当に必要かしら?」


ツカサ「…………」



ツカサは玄関に向かい、一言だけ言う。


ツカサ「決めるのは……わたし……わたくしよ」


彼女は玄関を開けた。




[part4]


ウミはまだ不貞腐れていた。気分が優れないので自室から出て、廊下を歩く。


バリン!!


ガラスの破損音が部屋から聞こえた。ナギの部屋だ。


ウミ「ナギ?」


ウミはナギの部屋を訪ねる。


ウミ「大丈夫か?」


反応はない。ウミはドアノブに手をかける。当然開くことはない。


ウミ「ナギ?大丈夫か?」


ガチャン。


ドアが開く。そこにはいつものワンピース姿の彼が。


ナギ「んー?どうしたの?」


ウミ「いや、なんか大きなモノが割れた音がよ……」


ナギ「気のせいだよ!気のせい!ウミ君!ここって異空間だし……たまに奇妙な音がするんだよね」


ウミはナギの言動に違和感を感じた。彼の勘は鋭い。


ウミ「……鏡だな……割ったんだろ?」


ナギ「え?」


ナギは目を大きくする。


ウミ「多分、部屋も元に戻ると思うが……あまり荒らすなよ……」


ナギは声を大きくして慌てる。


ナギ「違うよ!!鏡なんて……この部屋ないって!!」


ウミはますます彼を怪しむ。すると一瞬だが視界の奥に大量の飲み薬が見えた。


ウミ「ナギ?ちょっとよ……?」


ウミは部屋に入ろうとするが……。





ナギ「……入るな」





ドスの聞いた低い声。もちろん彼の声質はかなり高いがそれでも威圧を感じる程の声だった。



ウミ「ナギ……?」


ナギはハッとする。


ナギ「え!?……今!?」


彼はすぐに可憐な少女のような表情をとりつくろった。


ナギ「ごめん!!なんか……ちょっと閉めるね!!?」


バタン。


ウミ「なんだよ……」


ウミは彼に対して得体の知れない恐怖を感じた。




episode24

END

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