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episode13『マサト』

episode13

『マサト』



[part1]


マサトという背の高い少年は肉厚のハンバーガーを頼みバクバクと食らいつく。


マサト「うっめぇ〜!!マジでうめぇっスね〜」


null「ソレ、食べ終えて一服したら色々聞いていい?」


マサト「え?何?まだサービスあるの!?」


null「単なる質問だよ」



ソラとウミはちょっと離れた場所で小さく呟く。


ウミ「なんだよアイツ……ちょっとは気を使えよ……」


ソラ「陽キャってやつですね……」



nullは淡々と質問して応じたマサトの話をまとめる。


null「ようは君も現世からこの世界に迷い込んだ人間だね」


マサト「うぇ!?おいおい帰れんのかよ〜www夜、友達とゲームする約束してたんスよ〜」


null「まあ、ゲームは諦めて……それと君の能力、グリッチ因子は『敵対しない』能力だね。現世で使ったことある?」


マサト「そうそう!最近なんだけどさ〜話しかけるとみんな喜んでるんスよ〜?マジィで楽!遊び仲間増えたし!」


するとマサトはソラを見つめる。


マサト「え?マジ可愛いくね?マジ?服とかマジで可愛いし!君、どっから来たん?」


マサトは立ち上がり、ソラへ近づく。


ソラ「え?あの……私達も現世の人で……」


マサト「俺さぁ〜!サッカーやってるんだけど……サッカー好き〜?名前なんて言うの〜?」


ソラ「ソラです」


マサト「ソラちゃんかー!マジ可愛いスね〜!ちょっとメシとかコーヒー飲みにいかない?あ……ここが喫茶店だったわwww」


ソラの隣にウミが近づく。


ウミ「おーいー……ナンパかよ?」


マサト「えー彼氏?マジモテてるっスねー」


ウミ「彼氏じゃねーよ……同期だって」


マサト「マジ?じゃあソラちゃんこの後どっか行かない?ここよくわかんねーけど……」 


ソラは険しい表情をして言う。


ソラ「あの、すみません。私、同性愛者なんで……」


マサトは唖然とし、肩を落とした。


マサト「ちょ……マジかよ……無理ゲーじゃん……」




[part2]


食後のコーヒーを堪能するマサト。そして、やっぱり同性のウミに絡んでいく。


マサト「ウミだっけ〜?彼女とかいんの〜?」


ウミ「いねぇよ……」


マサト「付き合ったことはあるっしょ〜?」


ウミ「ない……!」


マサト「俺ェ思うに5回は告られた経験あるっしょ〜?」


ウミ「3回だよ。でも全部断った」


マサトは目を見開く。


マサト「マジ!!?もったいねぇー!なんでよー?」


ウミは頬杖をつく。


ウミ「『とりあえず彼氏作るか』みてーな奴ばっかでよ……女売ってる奴嫌いなんだよ……」


ソラ「そうなんですか!?」


これにはソラも驚愕する。


マサト「えー?彼女いないと遊ぶこと少ないっスよー?作ったほうがいいってー」


ウミ「ほっといてくれよ……」


ウミは不貞腐れながらコーヒーをすする。


null「ちなみに『キャンディスペース』って知ってる?」


マサト「なにそれ?」


null「……OK。君も5年前の人物か……」


ウミ「時代が合わないって……話合わせんの大変なんだよな……」




食事とコーヒーブレイクを終えて、マサトに世界観マニュアルを見せるnull。当然、マサトは遠い目をしてる。


マサト「いやぁ〜なんかゲームみたいっスね〜」


ウミ「ゲームなら良かったのにな……」


マサト「え、他に人っていないの?」


null「現時点では……僕らだけだね」


それを聞いてソラは複雑な表情をする。


マサトは背伸びをする。


マサト「んじゃあ、女の子探しっスねー」


ウミ「なんで女限定だよ……」


マサト「だってぇー新しい彼女欲しいスよ〜」


ウミ「マッチングアプリじゃねーんだよ!もう!」


マサト「まあまあ〜」


マサトは笑い飛ばす。ソラはボソッと呟く。


ソラ「今度こそ……」


マサト「え?なんすか〜?」


ソラ「い、いえ……」




[part3]


『深度1・ホテル街エリア』


一行は探索に入る。夜のホテル街だ。ビジネスホテルからピンク色まで……ウミはホテルから目線を逸らす。


ウミ「こんな所もあんのかよ……」


null「宿泊施設がこれだけあればイベントやコンサートに困ることはないね。ねーソラ?」


ソラ「私はライブは音がしんどいので行きません」


きっぱりと否定するソラ。


null「あそう、残念」


マサトはウミに語りかける。


マサト「ホテル直行は確率低いっスよ〜?オススメしないっス」


ウミ「バカ!聞いてねーよ!」


ウミは顔を赤くする。


null「で?どこ行くの?ピンク?」


ウミは思わず吹き出す。


ウミ「お前が言うなよ!」


ソラ「ウミ君、純粋ですね……」


ピンク色のホテルに直行する一同。マサトは抵抗なく入店する。


マサト「誰もいねーっス。マジ貸切」


ウミ「気をつけろよ?バケモンは出てくるから」


景観にお金をかけており、エントランスホールは噴水が設置されてる。


ソラ「これ、全部部屋を確認するんですか?男女は解釈違いなんですけど……」


ウミ「最後の一言、余計だわ……」


null「多分、開けられる部屋だけだね」


3階へ向かい、カーペットの廊下を歩く。足音がしないほど質が良い。


マサト「知ってるスか?こういうホテルって『出る』んスよ〜マジで」


ウミ「まあ、欲望まみれだからな」


廊下をぞろぞろ歩いて1つずつ部屋を調べる。開かないドアばかりだ。


ウミ「中入りたくねぇよ……」


マサト「社会勉強っス!社会勉強!」


開くドアを見つける。一同は部屋に侵入した。


部屋はゴージャスだ。紫色の間接照明にダブルベッド……その他、金色の獅子の像が飾られている。


null「初めて来た……」


ウミ「あーよかったわ」


ソラ「私もです……」


ウミ「お前が知ってたら絶叫してたわ……」


null「面白い回答だね」


しかし、特に得られるものはない……が5階の502号室に異変が起きた。


一行は部屋に入ると男女の声が耳に入ってきた。




女『まーた不審死……今月で何人だっけ?』 


男『24人だったような……先月より少ないよねー』


女『みんな心臓発作っておかしくないー?絶対陰謀だよ!』


男『そーゆーの信じるのよくないよ!』




ソラ「……これ、いつの時代ですかね」


null「20xx-5だね……」 


マサト「あー!なんか今、流行ってるらしいスよ?まあ、不健康のツケとかなんじゃねースか〜?」


ソラ「あれ?マサトさん?『ばいばい病』って知ってます?」


マサト「えー?知らない」


ウミ「まあ、この近年だからな……その『ばいばい病』」


nullが顎に手を触れる。


null「これもっと調べたいね……」


ウミ「ん?」


null「この不審死……あまり、よくない現象かもしれない」


ソラ「……『しあわせさま』関連ですか?」


null「……そうだね」


ウミは話を否定する。


ウミ「いや、神様の降臨は20xxだろ?これ5年前の話じゃねーか?」


null「『ばいばい病』と話を混在してる?多分、違うよ」


ソラ「え?」


null「まぁとりあえず、もっと探索しよう」




また別の部屋へ。その部屋に入った途端、すーっと黒い人影がこちらに近づいてきた。


ウミ「アベンド!?」


マサト「これっスか?」


マサトは興味津々だ。


しかし、黒い影は何もしてこない。


ソラ「襲ってこないですね」


null「マサトのグリッチ因子が反応しておとなしくなってるみたい」


マサト「おーー!すっげ!」


nullはナイフでアベンドを消滅させる。


マサト「え?倒すの!?」


ウミ「厄介なんだよ……こいつら……」


マサト「そうっスか……」


nullは奥へ進む。


null「この部屋……ベッドが盛り上がってるね」


マサト「え?それやばくね?」


ウミ「……多分……な」


nullはシーツをめくる。




ベッドのシーツの下は隆起したドアが付着している。


ソラ「なにこれ……」


null「隠し通路だね……」


nullはドアノブに手をかけて扉を開いた。




奥は漆黒の闇の通路だ。


マサト「これぇ……落っこちたりしないスかねぇ」


null「壁が床になってる……歩けそう」




[part4]


『深度1・趣味部屋』


コンクリート造の空間が広がっている通路だ。所々に部屋がある。


ソラ「イマドキのホテルってこうなってるんですか……」


ウミ「んなわけねーよ!」


思わずツッコむウミ。


null「部屋の中に黒いノイズ……DDあるね」


マサト「んー?」


null「ダークデータね」



DD

『冷たい人形』

有害型、音声ファイル

・「良い時代だ!こうやって容易に手に入るんだから……」

「……そうか。こうなって……こう……こう……こう……」

「夢が……叶った!よーし!やるぞ!!」

「ああああぁぁぁ!!」




null「解析終わり……感想どうぞ」


ソラ「キモすぎです……」


ウミ「うわぁ……」


マサトも引きつった顔をしている。


null「次の部屋へ」


次の部屋は剥き出しのコンクリート造の壁で中央にテーブル、そして寸胴が置いてある。


ソラ「この中身、トマトスープっぽいですね」


ウミ「いやいやいや……もう想像できるわ……」


寒気がするウミ。



null「じゃあ、次」


更に次の部屋に入ると……。


ウミ「剥製された人々……」 


人の剥製にして飾ってある。


マサト「シリアルキラースかねー?」


ウミ「でもよ当時、ニュースになってねーぞ?」


ソラ「逮捕……されてない……とかですかね」


null「残念ながら、犯人は警察官……だね」


マサト「マジィで!!?終わってるな日本……」




null「次の部屋」


その部屋に入った瞬間、絶句する。


死体安置所だったのだ。スライド式の死体安置棚が壁面にびっしり設置されている。


ウミ「不審死……ご遺体を回収、売買してたのか……?」


null「不審死は老若男女で起きてたからね。モノ好きの格好の餌だったんじゃないかな」


マサト「さすがに死者の冒涜ッスよね……」


null「その倫理観を欠落した人が世にはいるってこと。あ、ごめん、ご遺体確認していい?」


ウミ「ん?なんだよ?」


null「表情の確認」


nullは死体安置棚の取っ手を持ち、スライドさせる。


null以外は少しだけ距離を取る。流石に抵抗があるようだ。


null「(確認して)やっぱり、()()


ソラ「笑顔って『しあわせさま』の影響じゃないですか?」


null「その線があるね」


一行は速やかに離れて、次の部屋へ。


null「資料室……」


部屋の中央にはDDが。



DD

『不審死について分析』

思念型、テキストファイル

・死因は心臓麻痺

・年齢による法則性はなし

・死後の表情は笑顔

・被害者数は月に数十人、多い時は数百人

・この不可解な事件をきっかけに精神疾患者が多発

・この事件は極秘で取り扱う。通称『小規模による汚染』と定義する

・この『小規模汚染』の傾向は屋外に多発している(関連DD『避難』)




ウミ「『小規模汚染』!?」


ソラ「『小規模汚染』によって不安からの精神疾患が増える……この精神疾患って後に『ばいばい病』じゃないですか!?」


null「話が繋がってきたね」


マサト「おーー!なんか探偵みたいスね……」


ウミ「あのなぁ〜」


ウミはマサトを見つめて呆れる……が、ふと部屋の隅に()()()()()()()()()()が佇んでいた。


ウミ「!?」


マサト「え?どした?」


ウミ「おい……そこに……」


ウミは指を指す。nullやソラもそちらに振り向く。しかし、反応が鈍い。


null「壁だね」


ソラ「何もありませんよ?」


ウミ「ウソだろ?ほら、いるだろ?」


マサト「えー?」


ウミは必死に説得するが、既にソレは消えていた。


ウミ「なんだよもう……」


null達は廊下に戻ると………。



そこは別空間の暗闇の通路になっていた。



マサト「うわっ!なんすか!?」


ソラ、ウミは警戒をする。すると赤いランプの照明は回転しながら光る。音は無音だ。


マサト「ポリ?」


マサトはキョトンとしている。


ウミは剣を構える。


ウミ「マサト……武器とかは?」


マサト「さっき拾ったバットなら」


ウミ「ないよりマシか……」



ぐわーん、ぐわーん、ぐわーん、ぐわーん。



微かな機械音が奥から聞こえてくる。


ソラ「何か聞こえません?」


マサト「ああ?確かに……」


null「ソラ、撮影」


ソラはカメラを構えて撮影する。カシャリ。


ソラ「写ってないです」



ぐわーん、ぐわーん、ぐわーん、ぐわーん。



音は徐々に大きくなる。


null「新種のアベンドかも……」


ウミ「マジか?」


マサト「仲良くなれないスかね?」


ウミ「やめたほうがいい。嫌な予感がする……」


null「レセプションモード(接待)。僕が奴を解析してみる」


ソラ「どうします……?」


null「観察行動……視認不可、

交流……恐らく会話不可……

洞察行動……微かな機械音アリ……」


マサト「なんか始まった……」


null「洞察行動……周囲の痕跡を……確認。引っかき跡を観測……」


ウミ「一体……」


nullは続ける。


null「観察行動……物理行為による反応」


nullはコートの下から黒い手を生やして遠くの壁を叩く。


マサト「わっ!ヤバッ!!」


ザザザザッ!!


壁を叩いた黒い手が粉々に切断させる。


null「あー」


ソラ「え!?大丈夫ですか!?」


null「陽動による音に反応……アベンドそのものの高速移動兼、切断攻撃……解析終了。名称、『シュレッダー』。

存在そのものが不可視の斬撃で相手を切り刻む。音に敏感で直線的な移動を行う」


マサト「うへぇ……ヤバいっスね!」


ウミ「逃げたほうがいいのか?」


null「マサトの和解能力はこのアベンドにはリスクがある……それに多分効かない」


マサト「マジで!?」


null「対策は音を立てないでやり過ごす……もしくは静かに攻撃するか」


ソラ「私が撮影します。写真なら距離は関係ないのと音を発生させないので……さすがにシャッター音は大丈夫ですよね?」


null「まあ、そのくらいなら」


nullは指を指す。アベンドの場所確認だ。


ソラはシャッターを切る。


空間から聞こえた機械音が消えた。


null「アベンド……消滅」


するとウミが周りを見渡す。


ウミ「そうでもないみたいだ……」



ぐわーん、ぐわーん、ぐわーん、ぐわーん!




背後から大量の機械音が一同を襲う!


マサト「やべー!走って……」


null「走らないで!音で寄ってくる!」


マサト「ういっす」


一同は忍び足でゆっくり、アベンド達から離れる。


しばらく通路を進むとエレベーターが。


エレベーターに乗り、扉が閉まるまで大人しくするnull達。やがてエレベーターは上昇していく。


ウミ「あー危なかった……」


null「ウミ、危機感知能力にキレがあるね」


ウミ「単に不安症なだけだ」


null「僕の知識にも限界がある……今後は全員の協力が必要か……」


ウミ「チュートリアル終了ってわけだな」


エレベーターはどんどん上昇していった。



episode13

END

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