スヌーズ・クラーク2
スヌーズ・クラーク2
「状況を整理します。」
「「うす」」
勝手に司会進行を始めた時野谷に俺等はついていくしかなかった。
「香さんと一肇さんは先ほどのタイムリープを含め3回程タイムリープをしたわけですね?」
「ちょ、ちょっと待って!穂香ちゃん、全然タメ口でいいよ!コイツはともかく。」
香は俺を指差す。
「そうですね。じゃあ香ちゃんって呼びます。良いですね?一肇さん。」
「なんで俺に聞くんだよ…。」
「…嫉妬しちゃわないかなって思ったんですけど……。大丈夫そうですね。」
コイツ舐めてるだろ。なんでこの程度で嫉妬すると思ってんだ。いや…時野谷が男だったらワンチャンある。
「話を戻そう…と思ったんですけど、酒入ってないと無理っすわ。香ちゃんなんかいる?」
まぁそうだよな、と思った。タイムリープがどうのこうのなんてシラフで語れるはずもない。こんな状況を飲み込むにはやはり酒しかないのだ。
「え〜、じゃあ生ビールで!」
「俺も同じのを頼む。」
「は〜い。」
時野谷はテキパキと注文用タブレットを押して注文を終える。
「え〜と、んで持ってお二方、1回目のタイムリープのときはどんなんだったんっすか?」
俺は脳内に複雑に絡み合った時間を解くように思い出す。確か、あの時は酔いつぶれた香をおぶってマンションまで連れて行ってやってたんだ。
「あん時は、酔いつぶれて使い物にならんくなってた香をおぶって家まで送ってったぞ。」
「えぇ⁉何やってんの香ちゃん‼」
「お恥ずかしい……。まぁでも日常茶飯事だから仕方ない。コイツも慣れてるでしょ。」
そういう問題じゃね〜…。だがまぁここ一ヶ月くらいはコイツを送ってって無い気がするな。コイツも反省して節度を守ってたってことだろ。
不意に、ガラガラガラッと扉が開く音が聞こえた。
「生ビール3杯お持ちいたしまし…た……。」
入ってきた男の店員は時野谷をみて、ギョッとしてみせた。
「おつかれ。あ、あたし辞めたから。」
「ガチっすか先輩…。僕が1人前にキッチン担当できるようになるまで教えてくれるって言ったじゃないっすか!」
時野谷…コイツどんな約束してんだよ。まぁ、この男の子には申し訳ないけど正直クソおもろいわこの状況。
「まぁ、シフト終わったら付き合ってやるからそう落ち込むなって」
そう時野谷がなだめて、男の子はトボトボと奥へと帰っていった。
「え〜、何の話ししてましたっけ?」
罪なやつだ…。香もそう思ったに違いない。
「あ〜、そうだそうだ。香ちゃんのの酔いつぶれ事情について話してたんだった」
ギクッと香が肩を揺らして、恥ずかしそうに話す。
「覚えてた……。話してた内容…。」
そんな香をクスクスの笑いながら、俺は記憶を辿る。「」
「まぁでもここ一ヶ月くらいは香も酔いつぶれて無いし、最近おぶってったのは今日くらいだな。」
俺がそう言うと、香が首を傾げた。
「あれ?そうだっけ…あぁ、そっか。」
なんか勝手に自己完結しやがった。俺が今なんも「そっか」出来てねぇよ。
だが、本当にここ最近こいつが酔い潰れてた記憶がない。…。あれ?最近コイツと飲んだっけ?
まだ納得いってなさそうな香を見つめながら、時野谷はぐいっとビールを一口飲んだ。




