足掻き、そして消える
ヤツが包丁の様なもの地面に叩きつける直前に俺は、笑いながらあのクソみたいな環境で唯一の副産物である能力を発動させる。
「身体強化!」
そのまま反射的に横に回避するーーーが流石というべきなのか、高Levelのヤツの力はそう簡単に逃してくれなかった。
ズガァァァァァァァン!!!!!
包丁が俺の横を通り過ぎ、地面に到達した瞬間、明らかに異常な衝撃波が周囲を、俺を襲った。
「なっ………ぐぅ⁉︎ がはぁ!!!!!」
回避で精一杯の俺にはソレを防ぐ術などなく、そのまま壁に叩きつけられ、そのまま壁ごと粉砕されてそのまま地面に落ちた。
全身の骨がバラバラになったと思わせる程のな衝撃、肺にある空気を強制的に吐き出させられる不快感はいくら変わったと言ってもコレは普通に辛いし痛い、あまりの激痛に笑っていた顔が歪む
……いってえな。流石ガリア騎士団部隊長様が尻尾を巻いて逃げるだけはあるな。本当に化け物だろ、コイツ。
それに、幸か不幸かまだ生きてるしなぁ俺。
生きてることに喜べばいいのか、死んでないことに悲しめばいいのか、もうわからないな。
あまりの力の差、生きるなど可能性として0に近いがそれでもいい。俺は決めたんだ。
足に力をが入らない、身体中が痛い、頭だってクラクラする、壁に寄りかかってないと立ってられない程、状況は最悪だった。だが、それでも
諦めずに足掻いてやる、足掻いて、足掻いて、足掻いて足掻いて足掻いて足掻いて足掻いて足掻いて足掻いて足掻いて足掻いて足掻いて足掻いて
絶対にこの地獄から抜け出して、俺は……
「俺は俺の為に、俺のしたい様に生きる!!!!!」
「グォォォォォ!!!!!」
俺の声に張り合う様にヤツも叫び、包丁の様なものを持って突進してくる。虚勢を張ったが今の俺に逃げる余裕なんてない。
はは……ヤバイな、本当
乾いた笑いを浮かべながら、単純な疑問を思い浮かべる、どうでもいい、率直に思った事だった
アレ……?そういえば何で、ダンジョンの壁の中にこんな空洞が…?……まぁいいか。
ヤツの突進に備える為に身構えようとするが、ふらついてしまう。
くそっ……壁を利用して……!!!!!!!
再び壁に手をつけて、突進をどうにか躱そうと考えた瞬間…………ヒュン!
空気を切り裂く様な音と共にーーー
八坂 誠はその場から消えた。
…………………は?
何処だよ………此処?……天国か?
いや、違うな。さっきから身体が死ぬ程痛い。
訳がわからない、今さっきヤツの突進をどうにかしようと考えていたのに、いきなり景色が切り替わった様に今の場所に立っていた。
そこは小さな空間だった、その空洞の様な場所そのものが青白く発光していた。
その中でも、床全体に描かれている魔法陣はその中でも一際光を放っていた。
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