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ナニカの咆哮

最近忙しすぎて、ツライ…

 

 ガリア王国。

  それが今回神託を受けて勇者を召喚した国の名前

 である。その国土はアレクシア帝国に続いて世界第2位の広さを持ち、またいくつものダンジョンを保有しているため資源も豊富で、いくつもの町や村もあり、他国との貿易も盛んである。


  今回、勇者を召喚した事を大々的に発表して国としての立場をかなり高めたらしい。

 実力主義の帝国と違いこの国では歴史や文化が大切にされていて、貴族達が実権の一部を握っているとかいないとか。

 

 そんな国に召喚された俺 八坂 誠は現在馬車に乗って、冒険者になったばかりの人が多く通うと言われているらしいダンジョンに向かっている。

 ……勿論一人じゃない、他の勇者御一行とLevelが48とそこそこ高いガリア騎士団の部隊長も同行している。何かあった時の為の保険らしい


  戦闘訓練を経て最低限、ダンジョンでも立ち回れると判断されたのでダンジョンがある場所へ向かう事となった。この世界に来てから初めて王城内から出ることができた。今まで割と窮屈だったからな……





 ダンジョンの本当に近くにある(50mくらい)村に馬車を止めて、そこから歩いていく……がその行動は人目についてしまう。人というのは、話のネタがあるとどうにも話さないと気がすまないらしい。


「…あれが噂の勇者御一行様か、すげぇな」

「まだ、育成期間内だって。育ったらこの国も安泰だね〜良かったー」

「……あ、あいつが例の奴じゃない?あの使えない勇者ってのは」

「はぁ⁉︎着いてきたの?他の勇者様の経験値を取らないでよね、ただでさえ弱いって噂なのに足引っ張るとか最低」



 ああ、仕方がない事は分かっている。俺が弱かったから、みんなの期待に応えてやれない俺が悪い事は分かっていた。それでも理不尽にも程があるだろ


 知ってるんだよ、ダンジョンについて行っても他の勇者の様にはいかないのくらい。俺自身が充分理解しているし、そんなに陰口を叩かなくてもそれくらいわかる。


 それでも、『勇者』だから。そんな枷の様な義務感がたまらなく鬱陶くて、たまらなく悲しかった





 



 ダンジョンに入って1時間くらいが経過した、勇者御一行は(俺も含めて)最初こそ苦戦したり、戸惑ったりしたもののこのダンジョンでは『ノースバット』というちょっと大きなコウモリや『ノースアント』というこれも大きな蟻の様な化け物などと流石初心者のダンジョンと言われるだけあって強い相手は出てこなかった。

 Levelも俺以外は3まで上がり(俺は5)、そろそろ切り上げようかという話が出てきた


「そろそろ切り上げた方がいいな…お疲れ様でした勇者様。初めてにしては中々の戦いぶりでした」

「まあ、俺らなら余裕だろ……あ、一人例外がいるけどな」

「ぷっ…笑わせないでよ、蓮」

「ぁ………う、ん」

「二人とも辞めないか!何で君たちはいつもいつも……」


 あー、また始まった。蓮が俺を馬鹿にして花崎がノリノリで話をする、綺咲は…何か言いかける事が多いけど最後には同調して、田畑が怒る。

 玉来はあくびすらして、話に混ざってこない。

 流石にもう慣れた、という他の陰口とか嫌がらせがキツすぎてもうこんな事では動じなくなってしまっているんだ。


 ダンジョン内の戦闘でも、やたら俺を前に押してくる癖に苦労してダメージを与えた敵を横から掻っ攫う様な事をしてくれたし……あれ?なんか本気でイラッとしたんだけど、珍しいな?



 その時は気付いていなかったが誠自身の心がもういっぱいすぎて、既に心の許容限界を超えていたこと。


 そして心そのものが崩壊を始めた事が原因となって今まで耐えていた怒りなどの負の感情が込み上げる様になっていた。それらの事が初めて自身に起こった為か自分では良く分かっていなかった


だが、すぐに理解する事になる







 蓮と田畑の諍いも終わり出口へと向かう途中、それは起こった。


『グオオオオオオオオォォォォォォォォォォォ!!!!!』



 ナニカの咆哮がダンジョン全体に響く

 そして



「くっ……は、あはははははは!」


  俺の物語が遂に始まる。


 



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