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目覚め、戸惑い

 

 ……ある夢を見ていた。


 全てが尊くて、幸せで、こんな事がずっと続くと思っていた。楽しそうな笑い声、穏やかな顔…それらが全部眩しくて、大切で


 ……それも、……あぁ…違うな。

 あの時から壊れていたのかもしれないな

 人を助けるのが当たり前と思う事、人の裏を見て見ぬフリをする事、自分が正しいと思う事、それは嘘だ、嘘だった。




 それでも助けたいと思っていた…でも、誰も俺を助けてはくれなかった。ただ利用されてただけだったんだ。


 知ってた、理解していた、キチンと読み取れた


 あぁ、うん。やっぱり人間て馬鹿でクズだなぁ


 自分が決めた事ですら真っ当出来ないなんて…



 ………………最後に心から笑ったのいつだっけ?






「はっ、あ!!!!!…………あ、れ……?」



 周りが暗い、頭が痛い、自分が何なのか、何をしていたのかそれすらわからない。

 なんだ?なんだっけ……?


 …………あ、そうだ。俺、は。


 思い出した、思い出したよ。このクソみたいな現実を、復讐すると決めて心に宿した暗い炎を。



「………というか、此処は何処だよ」


 さっきはわからずにそのまま寝てしまったていたがこの閉鎖空間は一体なんだ?

 確か壁に手をつけて………壁?


 やはりあるのか?この世界にも。


 暗がりにようやく慣れた目を凝らして、その何かを探すと、それはすぐにわかった。


「多分コレだろうな………転移魔法」


 壁に描かれている六芒星型の紋章の様な物、推測だがあの時丁度俺の手が何処かにあるであろうもう一つの紋章に偶然手が触れて飛ばされた…んだろう。異世界ならその程度の非常識があるだろうしな。



「……此処をさっさと出たい所だが、な」


 本当はこんな薄暗い場所なんぞオサラバしたいのだが、問題は外に居るであろうあの化け物だ。

 まだ居る場合は今度こそ俺は死ぬだろう


 どうするべきか……ふっ、考える事も無かったな


 どうせ一度は死んだ様な物…奇跡的に拾った命だ。それにこのまま何もしないなら餓えて死ぬだけだ。

「無我の境地」でレベル上げしても焼け石に水程度だろうし…それにさっきから空腹で喉も渇いている。

 どのくらい眠っていたか知らないが、流石に地上に出て何か貰った方がいい。

 あの村の奴らにどれだけ嘲笑われても、耐えればいい。後で地獄を見せてやるだけだからな。


 紋章に手を当てて、何が起きても良い様に直ぐに動ける様に身構えて…………何も起こらなかった。



「…………あぁ?何も、起きねえ」




 ただ原理を知らない無知な人間が戸惑い、困り果てているだけだった。



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