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ダンジョンのカギ貸します!  作者: サイミ・ヨージ
第2章 「ダンジョンはじめました」
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イソメ②

・・・。



「おいコイケ!どういうつもりだ」



深い地の底、莫高窟百五階にイソメの怒声が炸裂した。



「あん・・・イソメ、おまえ・・・なに言ってんだよ」



「なんだと!」



あらい息、衣擦れの音。地上の光が消して届かない深い闇の奥で激しく争い合う音が響く。



「ちょっと・・・やめなよ!」



「二人共落ち着けって!」



やがて誰かが『マナ』を焚きその灯火があたりの輪郭を浮き上がらせると、よこたわる巨大な獣人の死体の前で小競り合いするふたりの男の姿が闇に浮かんだ。



戦いの後か周辺には強く血の臭いが漂う。



「てめー、いてえんだよ」



洞窟の壁に体を何度かうちつけられたあと、コイケと呼ばれた男は襟元に掛かるイソメの手を振り払いながら叫んだ。



「イソメ、お前なに怒ってんだよ!」



「おまえっ」



コイケの言葉に激高し、さらに飛びかかろうとするイソメをあわてて周囲の人間が抑えこむ。



「イソメ・・・とりあえず落ち着けって」



「イソメ君やめて!」



副書記の吉川がかぶさり、紅一点の水地が腕を掴む。彼らが口々に唱えるなだめの言葉をイソメは振り払うように怒りで体を波打たせ、叫んだ。



「落ち着いてられるか、こんなこんな!」



ついに二人を振り払ったイソメは、勢い余りたたらをふんで床に倒れこんだ。


そしてそのまま上半身をおこすと天を仰ぐようにして叫んだ。



「人が死んでるんだぞ! 死んだんだぞ!・・・俺たちのせいで!」



イソメの叫びは誰にこたえられることなく静かに闇にのまれていった。



・・・



世間において『全地連』の莫高窟踏破では誰も犠牲者がでていないといわれいる。



それはある一点においては正解だが、全体においては不実である。



実際には死者は出ていたのである。『全地連』のメンバー以外に。



・・・

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