6話 僕、混乱する
「…ここは?」
ルシフェルさんと共に紫色の渦を通り抜けると、そこは広くて真っ暗な部屋だった。しかし、なんとなく“ナニカ”がいるのを感じる。…というか、いきなり説明もなしでこんなとこ連れてきて何するんだよ!普通に怖いんだけど!しかも、周りにいるのどう考えても人じゃないよね?!そんな風に内心考えていると、ルシフェルさんが話し始めた。
「フフフ…ここはあなたにとって特別な場所ですよ、エディエンヌ様。…さあ!あなた達!準備はできていますか?我らが王が参りましたよ!」
「っ!?(うわっ!眩しい)」
そうルシフェルさんが言い放つと、突然視界が明るくなり、思わず目を瞑った。何が起きてるか分からず恐る恐る目を開けると、そこに映っていたのは…
「「「「お誕生日おめでとうございます!!魔王様!!」」」」
「………えっ?」
こちらに向かって笑顔を見せている3人の人(?)たちと、美味しそうなごちそうやケーキが並べられているパーティ会場だった……はぁぁぁ!?!?!?
「驚かれましたか?エディエンヌ様。これはサプライズです」
「いや~、この日のためにルシさん頑張って計画してたっすからね~」
「…本当に魔王様にこのようなことをしてもよかったのか…?」
「相変わらず頭が固いねぇ、あんたは。魔王様も許してくれるよ…多分」
いやいやいや、サプライズ!?サプライズナンデ!?まさか、あんなシリアスそうな雰囲気出して攫っといて目的は僕の誕生日会!?そしてさらっと言ってたけど、魔王!?僕が!?ちょっと!こっちに向かって満面な笑顔浮かべてる堕天使さん!説明してよ!後、よく見たら美形だからやっぱこっち見ないでほしい!美形の笑顔眩しすぎる!
「…あ、あの、さっきから聞く魔王って…?」
そう僕が戸惑いながら疑問に思ったことを聞いた瞬間、にぎやかだった雰囲気が一瞬にして固まった。え、なにこれデジャヴ。
「…ルシフェル、あんた説明してないのかい?」
「ああ、そういえば説明していませんでしたね。申し訳ございません」
「え、じゃあどう言ってお連れしたんすか?」
「特に何も言わずに、ただ迎えにきましたと言っただけですが?」
「…まさか、我らのことも言っていないのか?」
「はい、その通りですが?」
「「「はぁ!?!?」」」
ルシフェルさんがそう言うと、その場に居た3人(?)が驚いて声を出した。えっ?全員知ってたんじゃないの?
「ちょちょちょ、魔王様!本当に何も聞かされてないんすか!?僕らのことも!?」
「は、はい…あなたたちこそ聞かされていなかったんですか?。僕、”目覚めの儀式”が終わった途端にルシフェルさんに攫われたんですけど…あ、正確には付いて行ったの方が正しいかも(そこらへんの判断は難しいかな?だけど僕が自分の意思で付いて行ったのは事実だし…)」
そんな風に悩んでいたが、ふと話しかけてきた青年(仮)を見てみると顔を青ざめていた。しかも、その青年(仮)以外の2人も顔を青ざめている。そして、打ち合わせしたかのように一斉に顔を見合わせ、ルシフェルさんに向かって叫んだ。
「「「あんた(お前)何やってんだ(やっている)!!」」」
「(あ、この3人案外まともかもしれない)」
うん、少なくともルシフェルさんよりはまともだ。そんなことを考えていると、いつの間にかルシフェルさんVS3人(?)の口論になっていた。
「しょうがないでしょう、何せ勇者と癒手が思っていたより速く来てしまい説明する時間が無かったのですから」
「だからって、僕らの存在すら言ってないのはひどいっすよ!!」
「しかも、ろくに説明すらしていないじゃないかい!」
「せめて、簡単な事情ぐらいは言えなかったのか…?」
「別にいいじゃないですか、それぐらい」
「「「よくない(っす)!」」」
……収拾がつかなくなってきたからそろそろ止めるべきかな?
「あの…そろそろ説明してくれませんか?僕、まだよく分かっていないんです」
「ああ!申し訳ございません、ただいま説明いたします。っと、その前に…改めまして、私の名はルシフェル。魔王軍七魔将の一人でエディエンヌ様の補佐役です」
「…今は魔王様に事情を説明するのが優先ね。初めまして魔王様、私は魔王軍七魔将の一人・レヴィアと申します」
「はぁ~これだからルシさんは…。僕は魔王軍七魔将の一人・リュークです。これからよろしくお願いします」
「全く、お前というやつは…。我は魔王軍七魔将の一人・シキと申します」
「「「「我らは、貴方様のためにこの身全てを捧げましょう」」」」
…………マジかよ、重すぎるわ!