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ちょう
夏になれば、孵化して動き出す幼虫
秋になれば、逃げる様に身を守る蛹
冬になれば、微動だにせず安住する
春になれば、羽化して飛び立つ蝶々
これが、普通で当たり前なことだった。
周りの皆も、そして僕も蝶になった。温かかった蛹の中を出るのは、とても躊躇われた。うまく飛び立てるかとか、状況が変わり、姿が変わっても生きていけるかとか、不安は沢山あった。それでも、未知との遭遇への好奇心に掻き立てられて殻を破り捨て、僕は蝶になった。外の景色は綺麗だった。綺麗なことばかりではなく、汚いところもあったけれど、それでも殻に籠もっていた時よりも確実に、
ずっと、色付いていた。