二ー参話・・・・・ライオウとの戦い 前半
…僕とオリオン達は、それぞれのライオウと対峙していた。
僕はバータックさんに、逃げる様に指示を出した。
「バータックさん、今のうちに遠くへ!」
「はい。すみません、後はお願いします。」
バータックさん達は、急いで離れようと駆け出した。
ガオォォォォォォォ
それに気が付いたライオウ達は、同時に雄叫びを上げ、雷が周囲を包む様に降り注いできた。
ドッゴォォォォォォォォォォォォォ
先に駆け出した一人が、雷に巻き込まれ声を上げる間も無く、黒焦げになり息絶えた。
ライオウは僕達を逃がさない様に、雷による結界を周囲に張り巡らした。
この結界はライオウ自ら解くか、ライオウが意識を失わない限り解けることが無い。
僕はオリオン達に向かって
「オリオンさん、僕達の計画は潰されました。無理でも無茶でもして、この二体を倒さないと全滅します。そっちは攻撃より防御を中心に戦闘をし、生き残ることを考えてください。」
「お前はどうするんだ?」
「今言ったように、こいつを何とかして、そっちに合流します。」
僕は剣を構えて、気合を入れた。
「ハァーーーー! 行くぞ!」
先ほどと同じように、目にも映らない速度でライオウの側面に回り込み、斬撃を打ち込んだ。
ガキンッ
やはり、先程とは違い油断なく、攻撃を止められてしまう。
「無理か。なら、連撃でどうだ!」
シュッシュッシュッシュッシュッ
ブォーーーン
僕の連撃はライオウの一薙ぎで弾き返された。
「くっ!」
僕は体ごと、後ろに飛ばされて体勢が崩れた。
ガゴォォォォ
ライオウは体勢の崩れたところを狙い、雷球を吐いてきた。
僕はそれを避けれず…いや、避けようとしなかった。
ドッゴォォォォォン
◆ ◇ ◆ ◇
ライオウは、もう仲間の方に向おうと、体を返した。
「まだ終っていませんよ。」
ライオウは、本来は聞こえてこない声に警戒し、砂煙の中を見据えた。今までの経験上、雷球をまともに当たって、姿が残っていた人間なんていなかった。まして、他の生物でも生き残ることすら、稀であった。
では、今対峙しているのは何者か?
ライオウは生まれて始めて、未知なる者への恐怖に似た感情が生まれた。
◆ ◇ ◆ ◇
僕は砂煙が晴れて、ライオウを見ると今までとは違い、体勢を低くし警戒していることがわかる。冷静に状況を整理すると、雷球を受けて無傷でいることに警戒していると思う。今ここで攻め立てなければ、勝機が無くなる。そこからは、人としての限界を超えた攻防を一進一退で繰り広げていた。
◆ ◇ ◆ ◇
オリオン達はサークの言った様に、無理に攻めずに防御を中心に立ち回る。オリオンは自分達の実力より、サークの実力の方が格段に上だと認め、サークが来るまでこの一体を惹きつけ様とした。
セイがいきなり大声で叫んだ。
「サークがやばい!」
横目で見てみると、体勢の崩れたところに、雷球を受けていた。
「サーク!」
そして、サークの相手していたライオウが、こちらに向って来ようとした。
「くそ!」
このままじゃ二体に瞬殺されるかもしれないと思ったとき、
「まだ終っていませんよ。」
声が聞こえて、ライオウはサークがいた方に向き直した。
「生きていたか。しかし、どうやって?」
オリオンはあの雷球からどうやって生き延びたのか、疑問に思ったが答えはこの場面を生き残って、後で聞けばいいと思うようにした。その後は、サークの動きは人としての限界を超え、ライオウと攻防を一進一退で繰り広げていた。オリオン達はその動きに驚きを超え、呆れるしかなかった。しかし、同時にサークに希望を持ち始めた。
「お前達、サークが一人であれだけの活躍をしているんだ。俺達も時間稼ぎぐらい満足にするぞ!」
「まかせろ!」
「わかっているわ!」
セイ、ルイーズはオリオンの掛け声に、返事を返してきた。だか、相手はライオウ。国の一軍を相手出来る様な高ランクの幻獣であり、現実は非情である。セイがライオウの爪を捌き切れずに裂かれて絶命した。
「セーーーーイ!」
オリオンが駆け寄ったが、セイは即死だった。
「ライオウ! セイの仇だー!」
オリオンはライオウに突っ込んでいった。
◆ ◇ ◆ ◇
セイがライオウの爪で遣られて、オリオンが叫びながらライオウに突っ込んでいく。
「オリオン! 止まれーーー!」
僕の声は届かず、辺りに響いただけであった。オリオンはライオウの雷球を正面から受け、手足の先を残して消失した。ライオウは残ったルイーズに飛び掛り頭を食い千切って、バータックさん達の方へ向った。
「…やめろ…やめるんだ!」
僕は必死に叫んだ。直ぐにバータックさん達のところに向いたいが、こっちのライオウもその隙を狙って攻撃を仕掛けてくる。向ってきたライオウに一人は、完全に恐怖に飲まれ、我先にと逃げ出した。
「見逃してくれ!」
無駄だと知りつつも、ライオウに声を掛けた。ライオウは、動いている人間に落雷を浴びせた。
ゴロゴロ、ドッカーーーーーン!
「ギァッ!」
一瞬の断末魔。雷で出来た、クレーターだけを残し灰すら残らなかった。バータックさんは子供達の前に立ち、庇うように手を広げた。
「子供達は助けてくれ!」
子供達には、父親として最後まで誇れる姿を残すかの様に、ライオウを見据えていた。ライオウは一瞬止まり、バータックさんを睨み付けた。そして、ライオウはバータックさんに飛び掛ろうとした。
「ウォォォォォ!」
バータックさんは無謀にも、ライオウに向って突進していった。ライオウは予想外の突進に目測を誤り、バータックさんを跳ね飛ばした形になった。結果、バータックさんは即死を逃れ、全身打撲(一部骨折あり)の気を失う結果となった。しかし少しの時間稼ぎにしかならず、次に子供達が狙われた。
一人、二人と次々とライオウの犠牲となり、残りはリリアとアイシャのみとなった。ライオウは何の躊躇いも無く、2人に対して振り上げた爪を下ろそうとした。
「キャーーーーー! サーーークさーーーん!!!」
「やめろーーーーーーーーーー!!!」
その時、僕の視界が暗転し、意識が……
◆ ◇ ◆ ◇
私はアイシャを庇いながら、叫び声を上げました。
「キャーーーーー! サーーークさーーーん!!!」
私はここで終わりなんだと思い、今までの記憶が走馬灯の様に思い出されます。生まれて十四年でしたが、悔いが無いように生きてきたつもりです。でも、好きな男の子がいないのが残念に思います。しかし、今回知り合ったサークさんの事をもっと知りたいと思っていたのは、恋心だったと思う。
なんだ、私ちゃんと好きな人が居たんだ。
実際にもしもの話は無いが、もっと早くに知り合えていたら、恋人になれたかな? そんな事を考えています。そして、気絶からまだ目を覚まさない、アイシャに小さな声で
「ごめんね。貴女を守って上げれなくって。お姉ちゃんを許してね…」
私はなかなかこない衝撃に、不信に思い上を見上げました。すると、ライオウの攻撃が途中で止まっています。よく見ると、私達の周りにドーム状の光の壁が出来ており、ライオウの攻撃を防いでいるようです。私はどうなっているのか分からず、サークさんの方を見てみると、左手を私達の方へ向けています。
「サークさん、後ろ!」
サークさんが戦っていたライオウが、後ろから飛び掛ってきます。
ガオーー!
サークさんは体を少し捻り、左手でライオウを受け止めた。サークさんは自分の何倍もあるライオウを捻り倒しました。
ドッシィィン
その光景は、私の常識では考えられない信じられない光景でした。サークさんは私達の元に歩いて近くに来て、もう一体のライオウと戦い始めます。
殆どの攻防は見ることも出来ない速度でおこなわれています。時々立ち止まった時に見せる姿は、サークさんが戦闘を有利に進めていることが分かります。途中から、先程倒されたライオウも起き上がり、一緒に攻めてきます。
それでも、サークさんは傷一つ負う事も無く、ライオウより格上の存在であることを見せ付けています。
二体のライオウ達は段々と傷を負い、動きが鈍くなってきました。
◆ ◇ ◆ ◇
ライオウは確実に敵を殲滅する為に、弱い者から倒そうとした。最後の子供達をこの攻撃で終らそうとしたが、子供達の周りに結界が張られた。ライオウは自分の攻撃を防がれる事は無いと思っていた。
しかし、自分の攻撃が防がれてしまい、そして向こうで戦っていた相手が、こちらに歩み寄り、接近戦を挑んでくる。仲間が攻撃を仕掛けたが、止められて、逆に倒されてしまった。
ライオウは今までの人間を思い返したが、戦いにならず、一方的な虐殺・・・いや、単にゴミを除ける様に掃ってきただけだった。ライオウは、サークを人外の者と認識し、同時に敵と認めた。
全力で殲滅する為、持てる全ての力、能力をぶつけた。
途中からは二体で攻撃をしたが、避けられ、無効化され通じなかった。ライオウ達は、傷が増え動きが鈍くなっていった。
何を相手にしているのわからなかった。
人の形をしているが、攻撃が全く効かない。
効かない処か、雷撃を無効化される。
今までにない、未知なる者への恐怖に支配される。
少しづつ傷付けられ、削られていく体力。
大陸の生命の中で高ランクに位置し、今まで立ち塞がる者と出会った事が無かった。
しかし、目の前にいる者は違った。ライオウ達は死を覚悟し、大人しくなった。
◆ ◇ ◆ ◇
「……う~ん。」
わたしは目が覚め、目の前にはお姉ちゃんが涙目になって何かを見ています。わたしは何時の間に寝ていたんだろう? 不思議に思いながら、何があったか思い出そうとしました。
確か、居なくなったロロア君達をサークお兄ちゃんが探しに行き、わたし達はお姉ちゃんと一緒にお父さんに言いに行ったんだ。お父さん達がいる所の手前で、ロロア君達は小さな白い猫さんを虐めていました。
小さな猫さんは脅えて、震えています。わたしはそれを見て、怒りを覚えて
「ロロア君! 猫さんが可哀想よ。止めてあげて。」
言うのと同時に小さな猫さんを抱きかかえました。ロロア君達はわたしから、小さな猫さんを取り戻そうと手を伸ばしてきます。
「アイシャには関係な…」
ガッオォォォォォォォォォ
言葉の途中で、咆哮で掻き消された。
ピッカッ!!!
ドッゴォォォォォォン
そして、ロロア君達は光と爆発の中居なくなってしまいました。その後に大きな白い猫さんが出てきて、小さな猫さんは駆け寄っていきました。大きな猫さんは愛しそうに小さな猫さんを嘗め回します。その後のことを思い出せません。
そして、記憶を思い出そうとしたらわたしは凄く気分が悪くなり戻しそうになりました。
「お姉ちゃん、わたし起きたから。」
お姉ちゃんに、起きたことを伝えて離してもらいました。サークお兄ちゃんの方を見ると、あの大きな猫さんに剣を向けて、斬ろうとしています。
「お兄ちゃん、ダメ~!」
大声で叫んだ。サークお兄ちゃんの剣は途中で止まり、こちらに顔を向けました。
ビクッ!
わたしは、驚きました。サークお兄ちゃんの表情は冷たくお人形みたいでした。そして、瞳は見たことの無い金色に輝いていました。しかし、直ぐに瞳の色は黒っぽい藍色になり、いつもの表情になりました。わたしは安心し、サークお兄ちゃんに話し掛けました。
「その大きな猫さんはお父さんとお母さんなんだよ。ロロア君達が子猫さんを虐めたから、怒ってきたんだよ。」
◆ ◇ ◆ ◇
「お兄ちゃん、ダメ~!」
…僕の意識は覚醒し始めた。




