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モブな私は自由なはず‥‥うるさいですわよ!ヒロインども!!  作者: おかき


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54話 新しい衣装を提案します

フェリクスを部屋に入れようとすると、廊下に人の気配を感じた。


エリアナは扉から外にヒョコッと顔を出し廊下を確認する。

そこには緊張しているのか、ガチガチに固まる特待生が三人壁を背にして立っていた。


「トニーさん、マークさん、ジルさんも中にどうぞ。」


三人はいきなり名前を呼ばれ、驚いて声がする方に顔を向けた。


そこにはなんと!敬愛するエリアナ様が顔を出していたのだ!


「「「可愛い……。」」」

ボーっとしながら三人が声を揃え呟いた。


エリアナの後ろからフェリクスが顔を出し、

「アナは確かに可愛いが、性格は可愛いくないぞ。」

フェリクスが三人にそう伝えるが、三人の顔が次第に顔面蒼白に変わっていった。


エリアナとフェリクスがどうしたのか尋ねようとすると、トニーがエリアナの後ろを震えながらを指さした。


エリアナとフェリクスが振り向くとそこには、冷たい空気と冷たい視線のセドリックが立っていた……。


廊下には沈黙が流れる……。


三人はエリアナ様に会える!と、緊張しながらも楽しみにやって来た。


なのに……フェリクスのせいで、とんでもない空気の中にいる羽目になった。


「アナと愛称で呼ぶのは止めて貰おう。お前の事情は殆どの者が知らないのだから、リアが疑いの目で見られる。」


冷たい声でそう伝えた。


「あーそうだな。すまん。エリアナと呼ぶようにするよ。」


セドリックの不躾な態度も言葉も、フェリクスは気にしていなかった。


セドリックはフェリクスを無視して、エリアナの手を取ると個室の中にスタスタ入って行く。

入り間際に、

「リアに会いに来たのだろう?貴方達も中に入ると良い。」


セドリックは特待生三人に声をかけてくれた。


因みに、フェリクスにはガン無視を通していた。


フェリクスは苦笑いをしながら、特待生に手招きをして中へ入るように促した。


「僕はお邪魔だから殿下のとこに戻るよ。」

フェリクスは手をひらひらさせて戻って行った。


全員がそれぞれソファーに座った。

エリアナはセドリックに引っ張られ、二人掛けのソファーに座らされた。


「えと。こうやって話をするのは初めてよね。名前はお互い知ってるから自己紹介は私達は無しね。

こちらの女性はケイシーの姉で、アーネット。隣の彼はセドリックで私の婚約者よ。」


特待生はアーネットとは初めて会話するが、セドリックとは既に顔見知りである。


だが、それを伝えて良いのか悩んでしまう。

セドリックがすかさず、

「話すのは初めてだね。エリアナの事を宜しく頼むよ。」


初めましての体で挨拶をする。


「宜しくお願いします。」

三人はペコリと頭を下げるが、内心苦笑いだ。

「ケイシーの姉のアーネットよ。貴方達の噂は聞いているわ。凄く優秀な三人だって。」


優しい口調で三人は褒められ、少しだけ照れていた。

「ジルです。」「マークです。」「トニーです。」

三人は名前を告げた。


「私と話したかったと聞いているけど……。」

エリアナが三人に問いかけた。

 

「あ!はい。僕達は憧れのエリアナ様と領地経営科で一緒になったので、いつかお話出来事ることを楽しみにしていたんです。ですが……。入ってみたら、クラスはあんな状態でしたし……。その……。」


トニーが最後は口籠りながら話をする。


「あー。そうね。あんな状態だったわね。」

エリアナは入学直後のクラスを思い出し、苦笑いを浮かべた。


三人は視線をお互い合わせると、小さく頷いた。

「「「エリアナ様。すみませんでした。」」」


エリアナに向かって、勢い良く頭を下げた。

エリアナは突然の謝罪に驚いて、慌てて頭をあげさせる。


「なぜ謝罪をするの?頭を上げてちょうだい。」


三人は顔を上げると、罰が悪そうにしている。


「エリアナ様が悪く言われているのを聞いて、事実ではない事を僕達は知っていました。ちゃんと調べて、何があったのかを知っていたんです。

でも、僕達は各々がお貴族様に後ろ盾になって貰っています。家門には迷惑をかけれなくて、クラスでは傍観者に徹したのです。だから……。」


三人は今にも泣きそうな顔をしている。


(三人は自分達の選択した行動を恥じているのかしら……。それに、きちんと調べたって言っていたわ。やっぱりこの三人は賢い……。)


エリアナは項垂れる三人を高く評価する。


「あの状況での貴方達の選択は間違っていないわ。私もちゃんと解っているしね。貴方達は悪くないわよ?貴族のいざこざに巻き込んでしまったのだもの。逆に私が謝罪しなければ。」


エリアナは直ぐ様姿勢を正し、三人に体を向けた。

「巻き込んでしまって、申し訳ありませんでした。」

軽くだが、三人に向かって頭を下げた。


それに対して三人が大慌てて席を立ち叫んだ。。


「「「エリアナ様!頭を上げて下さい!」」」


三人は焦りに焦る。

自分達が謝罪したかっただけであり、エリアナに謝罪して欲しかった訳ではなかった。


エリアナは三人を見てニコリと笑う。


「これで、お互いわだかまりも無くなった事にして、これからは領地経営科でも仲良くして下さいね。」


(((ニッコリ笑顔のエリアナ様は、やはり優しく聡明で美しい人だ。)))

三人の心の声は、エリアナへの賛辞で溢れかえる。


それからはエリアナは特待生達と沢山話をし、楽しい時間を過ごした。

アーネットとケイシーは出されたケーキに夢中である。


「あ!そうそう。ちょっと待ってて。」

エリアナは何かを思い出し、急いで部屋を出た。暫くするとエリアナが大きな籠を持って入ってきた。


「新しく作ってみたクッキーなの。三人の後ろ盾の貴族家の分と家族の分を用意したから、持って帰ってみて。

私の名前は出さず、このお店の名前の「アマル」を言って貰えれるかしら?

出来れば、感想を聞いて教えて貰いたいの。」


「これはエリアナ様が考えたのですか?」


「お店の食べ物は全て私が考えて出しているの。でも、この事は秘密ね。」


エリアナ様の秘密は守る!!

決意の固い三人は強く頷いた。


家族へのお土産として他にも沢山のお菓子を貰った。

ニコニコご機嫌で、三人は殿下の元に帰って行った。


三人を部屋から見送るエリアナだが、

「三人は何故フェリクスと知り合いなのかしら?殿下のとこに戻ったけど……。」


エリアナの漏らした言葉にセドリックが内心慌ててて説明をする。

特待生にスパイ活動をさせてるとは知られたくなかった。


「優秀な特待生だから気にかけていると聞いた。これから学園に入る特待生が今回みたいな貴族のいざこざに巻き込まれた時にどうするかの意見も聞いてるらしい。」


つらつら話をするセドリック。

エリアナとケイシーは、良かったと安心する。

アーネットだけは、セドリック達の裏の行動に気が付いていた。


皆でケーキを堪能し、楽しい時間を過ごす。


邸に戻り遅い夕食を終えると、セドリックから部屋に来るように言われる。


エリアナがセドリックの部屋をノックし、中へと入る。

セドリックがエリアナの部屋に来る事はあるが、エリアナがセドリックの部屋に来るのは初めてだった。

若干そわそわするエリアナ。

セドリックがソファーへエスコートしてくれ隣り合って座る。


「後数日で長期休暇になりますね。」


エリアナはセドリックの言葉に頷く。


「長期休暇中にリアが喜ぶ何かをしてあげたくて、色々考えました。

学園に入ってからは大好きな冒険者をする事が出来なかったでしょう?

エルランドさんに相談して、何か良い依頼がないかを探していたのです。」


セドリックが用意していた書面をエリアナに渡した。

エリアナはセドリックの顔を見て、書面に視線を落とした。


「こ…。ほ…。い…の?」

エリアナからはポツリポツリと、意味不明な言葉しか出て来ない。


  これは。本当に。いいの?


と、言いたいのだろう……。


「リアが一番喜ぶと思いましたが。どうですか?」

セドリックが書面に見入るエリアナを覗き込んだ。


「嬉しい!本当に嬉しいわ!ありがとうセド。」

エリアナは勢い良くセドリックに抱きついてお礼を伝える。

セドリックは喜ぶエリアナを抱きとめ頭頂に口付けを落とす。


「まだ贈り物がありますよ!」


セドリックはエリアナを優しく離すと、隣の部屋に入り手に衣装を持って戻って来た。

エリアナを立たせ、衣装を合わせる。


その衣装は以前エリアナがあったら良いなー。と、口にした衣装だった。


冒険者をする時にもエリアナはスカートを着用している。

前世の時もズボンを好んでは履かなかった。


エリアナが合わせている衣装は、スカートパンツだった。

セドリックは部屋から次々と型の違うスカートパンツを出してくる。

型の違う衣装はどれも素敵だった。


呆然とするエリアナに、セドリックはエリアナの手を取ると自身の気持ちを伝えた。


「いつもクラスの皆の為に頑張っている可愛い婚約者へのプレゼントです。マリーさんにお願いして作って貰いました。デザインは私が考えましたが、気に入ってくれましたか?」


セドリックが固まったまま動かないエリアナに問いかけた。


エリアナはゆっくりとセドリックに視線を向けると、涙を浮かべ何度も頷いた。

泣きながらも「ありがとう」を伝える可愛い婚約者。

セドリックは贈って良かったと心の底から思った。


「今期の最終日に学園に直接エルランドさんが迎えに来るそうです。リアが好きな衣装を着ましょう。私の衣装も全てリアと揃いですから。」


セドリックはエリアナと一緒に衣装をどれにするかを相談する。

エリアナはどれも素敵過ぎて、その日は結局決めれずに終わったのだった。



翌日の騎士科だが。


エリアナが宣言したように指導したクラスメイトは、筋肉痛で悶えていた。


今期終了まで三日と迫る中、エリアナは基礎を短い時間で叩き込んだ。

「長期休暇では冒険者ランクを一つ上げて下さい。冒険者ギルドの受け付けの「マリーさん」に私から紹介を受けたと言えば、皆さんにあった依頼を出してくれます。」


エリアナとクラスメイト達はランク上げする事を約束して、今期を終了した。



騎士科は学園で一番早く授業が始まる為、終わるのも一番早い。


エリアナとセドリックは制服から冒険者の服に着替え、学園の正門の内側で待っていた。


エリアナが選んだ衣装は見た目は真っ白の衣装に見えるが、衣装に光があたると薄っすらと青く輝き始める。

エリアナ自身、淡い髪色と瞳を持つ妖精姫と言われている容姿を持つ。

腰に差したレイピアに美しい衣装を合わせると、本物の妖精かと見紛う程に神々しさを放っていた。


授業が終わった生徒達はエリアナ達を眺め始め、人集りが出来てしまった。


しかもエリアナとセドリックが会話をする相手が、学園長であり王弟のアーサにギル宰相であるのだ。


生徒達は皆興味津々である。


暫くすると、正門から大きな四頭引きの馬車が学園内に入って来た。


普通の馬車の二倍以上はある大きさ。

しかも馬車を引くのは馬ではなく、魔馬だった。

魔馬は冒険者ギルドしか所有していない。


ならば……。


馬車が止まり降りて来たのは、ギルドマスターのエルランドにAランク冒険者のヤヌス達だった。


冒険者にとって、憧れの面子が勢揃い。

学園は一気に黄色の声が上がった。


リーダーのヤヌスがエリアナに近付くと、頭をポンと叩き優しい表情で会話をしている。

ギルドマスターもエリアナの頭をポンポンし、次には何やら真剣な話へと変わったようだ。

その会話の中に学園長や宰相も交ざり始めた。


生徒達はその異様な光景をただ、じっと眺める事しか出来なかった。


(エリアナ嬢はやはり凄い!)


(エリアナ嬢は悪女では無かったのか?)


生徒達の意見は二つに別れていた。


だが、後者を事実と認識していた生徒達は、

(エリアナ嬢は本当に悪女なのだろうか……。)

そう考える者も出て来た。


エルランドとヤヌス達が先に馬車に乗り込む。エリアナとセドリックは学園長と宰相に礼をし馬車へと歩き始めた。


エリアナが一歩前に足をだすと、ヒラリと揺れたスカートからタイトなズボンが見えた。


女生徒達からはどよめきがおき、視線はエリアナのスカートに釘付けである。

薄い生地のスカートだと思ってはいたが、中にズボンを履いているなど想像していなかった。

初めて見るスカートに、冒険者をしている女生徒達は視線を外せなかった。


エリアナが馬車に乗り込む時も、捲れるスカートからズボンがチラリと見える。


セドリックは女生徒の反応を見て、口角を上げる。

マリーさんにはスカートパンツの販売の許可は出していた。

それ以外の型もあるが、それは売りには出させない。


隣国から帰って来た時の女性冒険者の衣装は、きっと変わっているはず。

マリーのお店はまた売り上げを伸ばし、王都で頭角を現すだろう。


しかしだ。

セドリックは衣装を売る家門に制限をかけた。

母であるセリーヌの名を出させ、マリーに頼んだのだ。


帰って来てからの騒ぎを楽しみに、腹黒セドリックはエリアナの後に馬車に乗り込むのだった。


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