第一話†目覚めたら‥
朝。
それは、いつもと変わりのない朝の筈だった‥。
そう。その日が彼の16の誕生日で有る事を除けば‥。
世界は全く変わり様のない。
いつもと同じ朝の筈だった‥‥。
おはよう。
真っ白い世界に、少しだけ上擦った声が滑り込んで来た。
「おはよう。起きなさい!!」
今度は‥もっとハッキリと聞き取れ‥。
突如として、毛布をはぎ取られ。
彼は身震いをしながら丸くなり‥、声の主を恨めしげに見つめた。
彼女は彼と同じ深い緑の眼を潤ませ‥。
恥ずかしそうにもじもじとしながら言った。
「おはよう。○○。今日はお城へ行き日よ。早く支度なさい」
彼女‥と、言うには余りにも若くはない‥と、言うか。
まだ彼女。そう言ってしまって良いような若さが彼女には満ち溢れていた。
まるで少女のように顔を赤らめ、彼を見つめる‥。
彼は独り言を呟くかのように訪ねてみた。
「あの‥。イイ年して、恥ずかしくない?」
その後、彼女に彼が昏倒され。
城まで引きづられて行った事は言うまでもない、お話。
それは‥。
いつもと変わらない朝の筈だった。
ある日、突然目覚めたら。
某ゲームの如く、16になったのだから。
さぁ、お城へ行き。冒険を始めなさい。‥なんて‥‥。
想像すらしていない世界だった。