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第42話「瘴気って?」

投稿がまた遅くなってしまった><。。


何にせよ3月中に投稿できてよかったです。

第42話「瘴気って?」




アゲインが依頼に来た次の日、クヨウは細かい事情をミリアにも説明していた。


「随分すごい事態になってるんですね~、その割には落ち着いてるみたいですけど」

「あんまり実感がないからね。実際いつ世界が崩壊するかわからないっていう状況でもないし、焦ってもしかたがないんだよ」

「きっちり1ヶ月っていう期限があるから、逆に気楽にもなれるわよ」


補足をするならば、1ヵ月後に世界が滅亡するわけでもない。仮に対策が取れなくても、アゲイン自身が管理人になってからなんとかする可能性もあるし、他の管理人がどうにかする可能性もある、最悪瘴気に満ちた世界をアゲイン毎切り捨てれば済むのだから。


「まぁ、重大な依頼として最優先でなんとかするけどね、他人任せにするつもりもないし、してもいけないから」

「リンスちゃんにも相談して対策をとりますか?」

「ん~、僕が行き詰ったら相談するよ。リンスちゃんはうちの従業員じゃなくなったから、依頼を受けた側としてはあまり、内容を漏らすわけにもいかないからさ」

「そうね~、基本的に依頼内容は秘密厳守だもん」


依頼を受けた側は基本的に依頼内容は秘密厳守である。信用問題にも関わってくる商売人としては譲れないところだ。なので、現在従業員であるミリアには話すがレナリンスには話さないのだ。ミリアにもそれを徹底させる。


「とりあえず、アゲインさんから瘴気に関する論文が届くまでは何も出来ないからいつも通りでお願いね」


流石に瘴気というものがどのような物なのか?というのを知らずにただ浄化させるというのはまず不可能である。事前にある程度案は考えておいてはいるが、論文の内容次第ではまったくの無意味になる可能性もある。なので、今は待機状態なのであった。


そして、この日も朝から開店したのだが、客はあまりこなかった。1年以上の閉店というのは流石に大きかったらしい。事実、開店したことも知らない人もいて『たまたま店の前を通ったら開店してた』と言う人もいたくらいだ。


「当分新しい従業員はいらなさそうだね」

「そうね~、昨日は結構人が来たから忙しかったんだけど。これが普通なのかもね」

「何か新しい目玉商品を出すしか方法はないでしょうね」

「家電系じゃインパクトに欠けるのかな」


クヨウが新しく商品として出した『給湯器』や『コンロ』は初日の反応が悪かった。すでに機能が新しすぎて普通の人じゃ手を出しづらいというのもあり、実際に売れ行きが伸びるのは相当後になってからである。


「クヨウさん、学園の生徒がここを見学したいって言ってたんだけど、いいかな?」

「学園の?別にいいですけど、何でまた?」

「世間で人気の『天才魔法具職人』が出してる店ですからね、生徒でも憧れている人は多いんですよ?」

「ん~見学はいんですけど、その『天才魔法具職人』っていう響きは嫌だな~」


クヨウ自身、マンガやゲームのネタをパクってるだけなのだが、事情の知らない人にしてみればわかるはずもない。この世界ではクヨウのオリジナルということになる。


「そういえば、学園に道具科っていうのがあるんだっけ?」

「ええ、聞いた話だと異次元バッグとかが売れ出した時は道具科の生徒数がかなり増えたらしいですよ」

「子供にとっての憧れっていうやつね。まぁ、目標があっていいんじゃないかな?」


そんな話をしていたときであった。作業着を着た見知らぬ男性が店内に入ってきた。普通にお客さんかな~?と思ったが、ふと見ると、男性は分厚い紙の袋を持っていた。


「すみません。クヨウ・キサラギ殿はいらっしゃいますでしょうか?」

「ああ、それは僕です。どのような御用件ですか?」

「私配達業をしています、クルルと申します。アゲイン・ルイゼフさんからのお届け物になります」

「っ!あ~と、ありがとうございます」

「この紙にサインをお願いします。はい、ありがとうございました。では失礼します」

「お疲れ様です~・・・・まさか本名で送ってくるとは・・・」


アゲインの組織の人が来ると思っていたのだが、まさか一般の配達業を、しかも本名を使って送ってくるとは思ってなかった。一応世界指名手配の魔王なのだから、その辺りはある程度自重して欲しいなと思うクヨウだった。


「こんな形で送ってくるとはね」

「あははは、なかなか大胆ですね。でも、悪くは無いです。こんな形で送ってくるなんて誰も思わないから、変なところに疑われることもないです」

「こっちの心臓にはあまりよくないけどね」


クヨウは論文が入っているであろう袋を持って店の奥へ入っていった。

流石に100ページ以上の論文を最初からじっくり読むのはきついので、軽く目を通していき・・・・そのままばったりテーブルに頭を打ち付けた。


「・・・・眠い・・・」


内容が難しいのと、普段ならまったく興味を惹かない内容だったので、集中力がまったくもたなかった。


「これはなかなかの難敵だな~・・・・」


それでも悪戦苦闘しつつ論文を読んでいるとヒカリがトコトコと近くへ寄ってきた。


「お父様、大丈夫?」

「ああ、ヒカリか。眠いたいだけだから大丈夫だよ・・・・・・あれ?え?」


ゆっくりヒカリに目線を向けると、ヒカリは首をただ傾げているだけだった。混乱するクヨウであったが、ふと店のほうをみるとサクラとミリアがお腹を抱えて笑いを堪えていた。


「まったくもう。いや、流石に驚いたね」

「えっと・・・ごめんなさいお父様」

「ヒカリは気にしなくてもいいよ、それより何時から話せるようになったの?」

「今日です。さっきお昼寝から起きたら話せるようになってました」


やっと笑いが収まったのか、サクラが店の方からやってきた。


「面白かったよ、クヨウさん」

「驚いたよ、ヒカリがいきなり話し出すからね」

「お母様、ヒカリ言うとおりにしたよ?」

「うん、ばっちりよ~。もう、話すと余計に可愛く見えるわ♪」


サクラがヒカリを抱きしめている光景をみて和んでいたクヨウだったが、ふと疑問がわいた。


「サクラさん?僕とサクラさんへの呼び方はサクラさんが教えたの?」

「え?ううん、最初からそうだったわよ。だからこそ、余計に可愛くてね~」

「あの・・・・駄目ですか?」

「ああ、大丈夫。大丈夫だから泣かないで!」


ヒカリが涙目になると慌ててフォローするクヨウだった。ヒカリは元々育ててくれたクヨウとサクラを親と認識していた。もっとも今まで話せなかったのでわからなかったが、話を聞いてクヨウもサクラもそれを了承した。


「私も驚いたわ、窓際で昼寝してたヒカリちゃんが目の前で『おはようございます』って言ったんだから。いつも『く~』って鳴いてただけだから」

「へ~、まぁいいか。これからもよろしくね、ヒカリ」

「はい!」


ヒカリは返事と同時にクヨウに飛びつき顔をペロペロ舐めていた。余程嬉しかったのか、尻尾をかなりの速度で振っていた。それを横目に、サクラが若干不機嫌そうな顔をしていた。


「ねぇクヨウさん?」

「はい?なんでしょう?」

「・・・・・ずるい」

「え?え~と・・・サクラさん?」


サクラはかなり不機嫌な様子であったが、クヨウは理由がわからない。恐らくヒカリが思い切り抱きついてきたのが羨ましかったのか?と予想してみるが、生憎と的外れもいいところだった。


「クヨウさん?私たちって付き合いはじめて結構経つよね?」

「うん、1年以上にはなるね」

「じゃあ・・・・そろそろ敬語は禁止!」

「はい?」


クヨウがヒカリに対しての認識をペットから娘に変わったため、口調を変えたのだがサクラはそれが羨ましかったのだ。そもそもクヨウは基本的に敬語っぽい話し方をしているが、例外がいる。それはレンヤとヨーゼフだった。レンヤは前の世界からの付き合いで、ヨーゼフはこの世界にきてからのある意味、2人目の父親のようなものだ。つまり、クヨウは極めて近しい人にはあまり敬語を使わないのだ。サクラからしてみれば、自分はまだまだ先なのか?と思いがあった。

しかし、ここであっさりヒカリがそこへ入り込んでしまったので、サクラが不機嫌になるのも無理はなかった。もっとも、クヨウの中での位置付けはサクラが一番高かったりするのだが、態度に出てこないため誤解してもしかたがないのだろう。


「というわけよ。だからせめて呼び捨てて呼んで!」

「あ~うん、ごめん。えっと・・・・サクラ・・・でいいかな」

「よろしい」


ようやく満足したのか、サクラが笑みを浮かべる。それと同時にヒカリがサクラに抱きつき「お母様~」と顔を舐めていた。

ちなみに、店番をしていたミリアは『お腹いっぱいです。ご馳走様』といった気分であったという。



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夕方になったころ、クヨウは大の字になって天井を眺めていた。論文を一通り読んだ後どうしたらいいか、わからなくなった為である。クヨウの『瘴気』に対するイメージは一言で言えば『呪い』のようなものであった。瘴気に汚染されたモンスターは凶暴化し、汚染された人間は廃人になる。呪われることによりそういう現象が起こりうるとある種ゲーム的に考えていた面は否定できない。しかし、実際の瘴気とは別物だった。実際は『汚染物質』というのが正しい表現であろう。地球と言う大きな化学工場から廃棄された汚染物質が瘴気なのだ。ではどうやって浄化もしくは無力化するのか?といったところで行き詰ってしまった。


「どうしようかな~」


普通、化学工場の汚染物質は何らかの薬品を混ぜるなりして無害な物へと変化させる。今回の場合もそうするのが手っ取り早いのだが問題があった。それは瘴気という汚染物質をどうすれば無害な物へと変えられるのかということだった。何かの薬品を混ぜればいいといっても、薬品の数は膨大であるし、何より効果があるのかもわからない。結局地道に試していくしかないのだが、そんな時間はない。1ヶ月という期間は短すぎるのだ。じゃあどうすればいい?と考えてみても答えはでず、一旦クヨウは考えることを止めた。


「あ~疲れた・・・・サクラさん・・・じゃなかったサクラにも相談してみようか」


こういう時は無理に1人で悩むよりはまず誰かに話すほうがいい。他人に話すことにより、自分の考えが一旦整理されて違う考えが生まれたりする。また、相談相手の何気ない一言で考えが進むこともある。


「ヒカリと遊んで癒されにいこう」


とりあえず、一旦店の仕事をしつつヒカリと遊ぶことを決意するクヨウだった。


今回からヒカリが喋ります、話します。でも見た目は人型じゃないですよ?

見た目はあくまで御狐様です。


今回はよくよく考えればわかることなんですけど、星が出してる『廃棄物質』が『瘴気』なので早々浄化できるわけないんですよね。それを何とかできるかは今後次第です(笑)


では、次回をお楽しみに~。


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